Flashのアニメーションは、「キーフレームアニメーション(フレームアニメーション)」と「トゥイーンアニメーション」に分けられます。作品の多くは、この2つの手法を必要に応じて組み合わせながら作られています。
第1回でご紹介したCS4のモーショントゥイーンは、ステージ上のモーションパスを制御したり、タイムラインのトゥイーンスパンを編集して、詳細な設定が可能になっています。CS3までのモーショントゥイーンでは手作業もしくはキーフレームアニメーションの手法を組み合わせないと実現不可能だった複雑なモーションも容易に作成することができます。さらに、新しく搭載された「モーションエディタ」によって、動画の表現を増幅するだけではなく、アニメーションワークを飛躍的に効率化することが可能になりました。
今回は、このモーションエディタについて解説していきたいと思います。
モーションエディタって難しい?
モーションエディタは、デフォルトのワークスペースの下部に配置されており、タブで[タイムライン]と切り替えます。After Effectsや3次元のアニメーションソフトなどではお馴染みのグラフエディタですが、触れるのが初めての人にとっては、何をどうしてよいのかわからないと思います。以前参加したCS4の勉強会では、(モーションエディタについて)以下のような反応がありました。
たしかに、タイムラインの操作で大半のアニメーションワークをこなしていたデザイナーさんにとっては、難解なイメージがあるかもしれません。一見、タイムラインにちかいインターフェイスになっていますが、縦の並び(行)はレイヤーではありません。X、Y、Z(基本モーション、回転、伸縮)、カラー効果、フィルタ、イージングなどのプロパティです。グラフの領域に表示されている線は「プロパティ曲線」と呼ばれ、プロパティキーフレームを追加したり、(X、Y、Z以外では)ベジェ曲線をコントロールするように編集していきます。
プロパティ曲線を編集すると、ステージ上のオブジェクトがどのように変化するのか見ていきましょう(以下の手順は、書籍のPart-4 Lesson-1 STEP03「基本モーションの[Y]プロパティを編集する」と同じ作業です)。
- [基本モーション]の[Y]をクリックしてプロパティを展開する
- フレームインジケータを12フレームにあわせる
- プロパティ曲線を右クリック(Macは[Control]+クリック)して、[キーフレームを追加]を選ぶ
- 追加したキーフレームを上方向にドラッグする
基本モーションの[Y]プロパティでプロパティキーフレーム(コントロールポイント)を追加し、上方向にドラッグすると、ステージ上のオブジェクトは下方向に移動することがわかります。
- 基本モーションの[Y]プロパティでY座標(垂直方向)の値を変更できる
- プロパティキーフレーム(コントロールポイント)を上方向にドラッグすると、ステージ上のオブジェクトは下方向に移動する
- 下方向にドラッグすると、ステージ上のオブジェクトは上方向に移動する
では、基本モーションの[X]プロパティを編集すると、どうなるでしょう?
[Y]プロパティと同じように試してみましょう。以下のような結果になるはずです。
- 基本モーションの[X]プロパティでX座標(水平方向)の値を変更できる
- プロパティキーフレーム(コントロールポイント)を上方向にドラッグすると、ステージ上のオブジェクトは右に移動する
- 下方向にドラッグすると、ステージ上のオブジェクトは左に移動する
まずは、モーションエディタのグラフ編集によってステージ上のオブジェクトをどう制御できるのか理解しておきましょう。
イージングを適用してみよう
モーションの加速・減速の効果を適用する「イージング」機能は、プロパティインスペクタで設定することができますが、モーションエディタを使えば、スプリングやバウンス、のこぎり波など、複雑なモーションを簡単に適用することが可能です。CS3までのモーショントゥイーンでは、大量のキーフレームが必要になる複雑な動きを数ステップの操作で実現します。
それでは、実際にやってみましょう。
まず最初に、オブジェクトが左から右へ移動するアニメーションを作成しておきます。
このアニメーションに特殊なイージング効果「スプリング」を適用してみましょう。スプリングは、コイル状のバネを引っ張って、離したようなモーションです。この動きをステージ上のモーションパスで実現するのは(不可能ではありませんが)大変です。
モーションエディタを使えば、以下の手順で簡単に適用することができます。
- モーションエディタのフレームインジケータを1フレームにあわせる
- 一番下の[イージング]のプロパティを表示する
- 右端の[+]アイコンをクリックして、イージングリストから[スプリング]を選ぶ
- 基本モーションの[X]プロパティをクリックして展開する
- [イージングなし]をクリックして、メニューから[スプリング]を選ぶ
いかがでしょう? バネを引っ張って離したような動きになっていますよね。
この効果だけでは、たんなるサンプルでしかありませんが、アニメーションの中の特殊効果として組み込むことで、表現の幅がグッと広がっていきます。
まとめ
モーションエディタは、高機能ツールですから段階的に使い方のレベルを上げていく必要があります。また、グラフ編集についても試行錯誤を繰り返しながら、勘を身につけていくことになるでしょう。できれば、いきなり仕事で実践!ではなく、遊び感覚でさわってみることをお奨めします。
さて、次回は「モーションプリセット」を取り上げます。基本的な使い方と自分だけの(モーション)ライブラリ構築について解説する予定です。