Hosting Department:ホスティングを活用するための基礎知識

第4回ホスティングサービスを取り巻く技術

今回はホスティングサービスを使用する際に関係する技術について紹介します。テーマは「アクセス分析」⁠インターネットVPN」です。

アクセス分析

インターネットというメディア

Windows 95の登場以降、PCは1人1台という考え方があたりまえとなりました。これにより、それまでは研究者や学生など、特定の分野で利用されていたインターネットが一般家庭に普及するようになりました。今では、誰もがPC、さらには携帯電話やPDAなどさまざまなツールを使って、インターネットを活用しています。

このように、世界中誰もが使いこなせるようになった「インターネット」というメディアには、情報収集だけではなく、エンドユーザからの情報発信、さらには、双方向でのやりとり、オンラインビジネスなど、多くの可能性を秘めています。

そして、その可能性を広げるための手段の1つに「アクセス分析」という概念があります。

アクセス分析―足跡チェック

Webサイトを構築/運用する目的の1つは、多くのユーザにアクセスしてもらい、情報発信を活発にすることです。しかし、アクセスしてもらいっぱなしというのは、実は非常にもったいないのです。なぜなら、アクセスすることを分析すれば、新たなビジネスチャンスが生まれるからです。

このアクセス分析とは、簡単に言えばWeb情の足跡をチェックする作業を意味します。たとえば「このページにはどこのネットワークからアクセスしている」とか「このWebサイトは、平日午後◎時のアクセスが一番多い」といった具合です。こうした情報を収集することで、そのWebサイトの特徴が見えてきます。

ところで、物販関係でマーケティングなどを行っている場合、店舗に来る客のリサーチを行い、その結果を分析し、製品開発の判断材料にします。今後は、Webという新たなメディアでもそのようなビジネスモデルができるでしょう。そして、それを実現するのが「アクセス分析」です。

ホスティングと連携したアクセス分析

現在、多くの企業がホスティングサービスを利用して、企業サイトの構築/運用を行っていることと思います。上述のように、単にWebサイトを作るだけではなく、どのようなユーザがアクセスしているのかを分析するのが、Webサイトの新たなステージです。

ホスティングサービス上にWebサイトを構築している場合は、その業者が提供しているアクセス分析のオプションを利用したり、各自で専用のアクセス分析ツールをインストールすることで対応できます。

これを読んでいるWeb担当の方も、ぜひアクセス分析を意識して、Webサイトの運用を行ってみてください。

 Googleが開始したアクセス分析サービス「Google Analytics」
図 Googleが開始したアクセス分析サービス「Google Analytics」

インターネットVPN

堅牢な接続をするために

シームレスな通信を実現する手段として「インターネットVPN」があります。VPNは使い方次第で、より堅牢な通信を可能にします。最近では、各種ホスティングサービスでも利用できるようになりました。

公衆回線を使ったプライベートネットワーク

事業所が1ヵ所にしかない企業では、社内にEthernetによるLANを敷設するだけで、全社ネットワークを構築することができます。しかし、複数の拠点のある企業では、拠点間を結ぶ専用回線がない限り、プライベートな全社ネットワークを実現することはできません。その専用回線は利用料が非常に高額であり、日本全国の拠点を専用回線で結んでいるのはほんの一握りの大企業に限られます。

そこで登場したのが「VPN(Virtual Private Network⁠⁠」という技術です。VPNは、公衆回線のパブリックネットワークを利用しながらも、あたかも専用回線を利用しているようなプライベートネットワークを実現するものです。当初のVPNは電話回線を利用したものでしたが、その後は通信事業者が所有する広域IP通信網を利用した「IP-VPN」へと移り、現在はインターネット回線を利用した「インターネットVPN」が主流になろうとしています。高額な専用回線を低料金の公衆回線で代用するので、コストを大きく削減できるのが特徴です。

インターネットVPNを実現する技術

VPNを実現する技術には、Microsoftが提唱する暗号化プロトコル「PPTP(Point-to-Point Tunneling Protocol⁠⁠、アプリケーションプロトコルに依存しない「SSL(Secure Socket Layer⁠⁠、IETF(The Internet Engineering Task Force)が策定中のインターネット暗号化通信標準規格「IPsec(Security Architecture for Internet Protocol⁠⁠」などがあります。その中で現在主流になっているのがIPsecです。

VPNを実現する技術としてまず「トンネリング」が挙げられますが、これは通信パケットにヘッダを追加することによってカプセル化する技術です。これにより、本来はルータを超えることができないプライベートアドレス、特殊なローカルエリアだけで利用している特殊なプロトコルなどを利用することが可能になります。IPsecでは「認証ヘッダ」が用意されており、パケットが通信途中で改竄されることなく届いたことが保証されます。

もちろん、トンネリングだけでは、ネットワークを流れている間に盗聴される可能性はゼロではありません。そのためにVPNには暗号化という重要な機能もあります。

インターネットVPNを利用するには

インターネットVPNを利用する場合、インターネット接続回線は問いません。固定IPサービスを契約することで、家庭向けに提供されているADSLやFTTHを利用することもできます。ただし、VPN機能を備えたルータを用意する必要があります。このルータに搭載されているソフトウェアがトンネリングや暗号化などの機能を担当します。また、インターネットVPNでは、1対多のセッションを確立することができるので、全国各地に小規模の営業所、店舗のあるような企業では、とても有効に活用できるでしょう。

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