Hosting Department:ホスティングを活用するための基礎知識

第23回ホスティングサービスで使えるOSS紹介

ホスティングサービスでは、利用者がさまざまなコンテンツを提供できるよう、多彩なソフトウェアが利用できるようになっています。OSS(オープンソースソフトウェア)も数多く用意されており、無償で利用することが可能です。そこで今回は、CMS(Contents Management System)とEC(Eコマース)ツールで多く採用されているOSSを紹介しましょう。

Webサイトを容易に構築できるCMS

CMSは、Webサイトのコンテンツを編集、管理できるシステムです。レイアウトやデザイン、テキストや画像といったWebコンテンツを構成する情報をデータベースと連携して一元的に管理できるため、Webサイトの構築や更新が容易に行えるようになります。

新しいページを追加する際にも、統一のデザインが自動的に適用され、ページ間のリンク情報なども動的に生成されます。HTMLなどの知識を必要とせずに利用でき、ブログのような感覚でWebサイトを管理できるので、工数を大幅に削減することができます。PHPやデータベースといったシステムと連携する必要がありますが、CMSを提供しているホスティングサービスはこれらも用意されていると考えていいでしょう。ここでは「WordPress」「XOOPS Cube」を紹介します。

WordPress

WordPressは、OSSでは世界で最も利用されているCMSといわれています。特にブログツールとして広く認知されており、ブログサイトの構築に数多く採用されています。b2/cafelogというオープンソース・プロジェクトから枝分かれして成長した経緯や、ソフトウェアを配布しているWordpress.orgとレンタルブログ(ASP/SaaS)サービスを提供しているWordpress.comが存在するなど複雑な点がありますが、開発者、利用者がともに非常に多いためフォーラムも活発で、バージョンアップやセキュリティ対策、機能拡張や改善なども頻繁に行われるなど情報が多く勢いのあるCMSと言えるでしょう。

インストールが容易で、使いやすいインタフェースによる管理画面を採用しているため導入や構築がしやすく、動的なページ生成が可能なので更新も簡単に行えます。また、機能を拡張できるプラグインやデザインテンプレートのテーマが豊富に提供されているのでカスタマイズ性も高く、表現力の豊かなWebサイトを制作できることも特長です。

大規模な企業サイトやポータルサイト、携帯電話向けのサイトの構築も可能ですが、この場合のカスタマイズにはHTMLやCSS、PHPといった専門知識が必要となる場合があります。

XOOPS Cube

XOOPS Cubeは、XoopsFoundationとその傘下のプロジェクトによって開発されているXOOPSから、日本版として2005年に派生したCMSです。XOOPSをベースとしながらも日本独自に開発やリリースが行われているため、XOOPS Cube本体はもちろん、豊富な拡張機能においても日本語による情報が多いことが特長となっています。

モジュールによる機能追加が可能で、掲示板や新着情報、投票などのコンテンツを容易に追加することによりコミュニティ機能を搭載したポータルサイトを構築することが可能です。また、管理者機能があるため複数のスタッフでWebサイトを運営したり、複数のWebサイトを管理することもできます。ユーザ自身が自分のページをカスタマイズできる機能も提供されています。

その反面、管理画面の構成が独特なため操作に慣れが必要であることや、標準的なインストールには必要最低限の機能しか用意されていないため、モジュールなどによって機能を追加していくことが必須となります。さらに独自の機能を実装していくためには、HTMLやCSS、PHPといった専門知識が必要となることもあり、この面ではWordPressと同様です。さらには、XOOPS Cube本体や新機能の追加、機能改善といったバージョンアップの頻度が減少する傾向にあることは懸念材料と言えます。

Eコマースに対応したOSS

Webサイトで自社製品などを販売するECサイトを構築するためには、いわゆるショッピングカート機能を実装する必要があります。ショッピングカート機能には、商品管理機能や顧客管理機能、決済機能などがパッケージ化されており、ASPで提供されるほかサーバにインストールするECツール、ショッピングモールなどを利用する方法もあります。

ECツールとしては、⁠EC-Cube」「osCommerce⁠⁠、⁠Zen Cart」などがOSSとして提供されています。ショッピングカート機能はユーザの使い勝手が重要となるため、表示速度やカスタマイズ機能、登録できる商品数、支払い方法の種類、SSLへの対応、携帯電話端末への対応などが選択のポイントとなるでしょう。ここでは「EC-Cube」「osCommerce」を紹介します。

EC-Cube

EC-Cubeは、株式会社ロックオンが開発した日本製ECサイト構築パッケージです。以前は有償パッケージとして販売されていましたが、2006年にOSS化して無償で公開されており、同社が引き続きメンテナンスや機能拡張を行っています。日本製ということもあり国内での導入実績が多く、ECツールのトップシェアを獲得しています。

Webページのレイアウトをドラッグ&ドロップにより変更できるなど直感的なインタフェースを搭載しており、コンテンツをブロック単位で作成、管理できるCMS機能も搭載しているため、誰でも容易に独自性の高いECサイトを構築することが可能です。多彩なデザインテンプレートもEC-Cube公式ストアで安価に提供されています。PC向けのWebサイトを作成することで、携帯電話3キャリア向けのページも自動生成されます。クレジットカード決済はもちろん、Webマネーや各種ポイントにも対応し、携帯電話キャリアの決済に対応していることも特長です。

RSSによるニュース配信やメルマガ送信機能も用意されており、ショップ会員機能により顧客管理も可能で、クレジットカード情報を保存し2回目以降のカード決済を容易にする「ワンクリック決済⁠⁠、会員情報の保存による送付先など情報入力の省略、ポイント機能なども搭載しています。有償のものと比較しても遜色のない機能が用意されているECツールと言えるでしょう。

osCommerce

osCommerceは、osCommerce.comを拠点とする国際的なオープンソース・コミュニティによって開発が進められている、ECサイト向けCMSの元祖とも言えるECツールです。世界数十カ国に対応しており、導入実績も豊富です。日本においても、osCommerce日本語化プロジェクトにより日本語へのローカライズや日本独自の支払い方法、配送手段などへの対応が進められており、株式会社ビットスコープが窓口となってosCommerceの最新版やサポートドキュメントなどの提供を行っています。

必要な機能がパッケージ化されているので、特別な知識を必要とせずに短期間でECサイトを構築することができ、テンプレートも豊富に用意されています。人気商品の紹介やカスタマーレビューの掲載にも対応しているため、オリジナル性の高いECサイトを実現します。商品の登録や管理はブラウザ上から容易に行うことができ、受注、決済、出荷処理、配送といった一連の流れを一覧表示できるので、注文管理も効率よく行うことができます。使い勝手の良さは顧客管理においても同様で、アカウントの発行やログイン認証、購入履歴表示といった機能が提供されるほか、メールマガジンの一斉配信によってショップの最新情報をアピールすることも可能です。

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