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第4回覚えて便利なコピー・テクニック

QuarkXPressになくて、InDesignにある便利な操作で一番目に思い浮かべる操作は何でしょう?いろいろな答えが聞けそうですが、そのなかでも[元の位置にペースト]は、ベスト上位に入る操作と思います。

[元の位置にペースト]にショートカットを

不幸にして[元の位置にペースト]を知らない方に、簡単におさらいしておきましょう。たとえば、新しい章になると必ず登場する「タイトル」のテキストフレームがあるとします。⁠選択ツール]で既存の「タイトル」のテキストフレームを選択して[編集⁠⁠→⁠コピー]を行い、次に、新しいページに移動して[編集]メニューから[元の位置にペースト]を選択すると、ページ上の同じ位置に「タイトル」のテキストフレームがペーストされます。

使ってみると確かに便利。いろいろなところで使える機能ですが、こんなに便利なのに、InDesign CSとCS2では[元の位置にペースト]にショートカットがありません。

実は、InDesign CSやCS2の英語版では、⁠Shift][Command][Option][V]キー(Windowsは[Shift][Ctrl][Alt][V]キー)というショートカットが付けられています。ところが、日本語版では、そのショートカットキーを日本語版特有の機能である[グリッドフォーマットを適用せずにペースト]に割り当てているため、⁠元の位置にペースト]のショートカットキーが「なし」になってしまったようです。

InDesign CS2の初期設定では、⁠元の位置にペースト]にショートカットが割り当てられていない
InDesign CS2の初期設定では、[元の位置にペースト]にショートカットが割り当てられていない

頻繁に使うことの多い[元の位置にペースト]には、やはり、⁠編集]メニューの[ショートカット編集]を使って、ユーザー独自のショートカットキーを設定したいところです。ただし、キーの組み合わせは、英語版の[Shift][Command][Option][V]キーが必ずしもよいとは思えません。頻繁に行う操作ですから、4本の指を使うのでは作業効率の意味でマイナスです。

お勧めのキーの組み合わせは、⁠Shift][Command][V]キー(Windowsは[Shift][Ctrl][V]キー)です。初期設定では[選択範囲内にペースト]のショートカットになっていますが、⁠選択範囲内にペースト]はそれほど多くは使わないはずなので、⁠元の位置にペースト]のためのショートカットキーとして設定し直してもよいでしょう。

移動先にコピーを作る

コピー操作の方法でよく行う操作のひとつに[Option]キー(Windowsは[Alt]キー)を押しながら、マウスでオブジェクトを移動する方法があります。この操作は、アドビ社のソフトに共通で、IllustratorやPhotoshopでも同じ操作で、移動先にコピーができます。

マウス操作ではなく、移動する距離をコントロールパレットに数値入力することでも、同じように、移動してコピーが可能です。操作方法は次のようになります。

オブジェクトを選択して、コントロールパレットの[X][Y]欄に、プラスマイナス記号と移動したい距離を入力します。たとえば、現在[X]「100mm」で右方向へ「10mm」離れた場所にコピーを作りたいのであれば、⁠X]欄の「100mm」の後ろに「+10」を入力します。続いて、⁠Option][Return]キー(Windowsは[Alt][Enter]キー)を押せばコピーができます。

オブジェクトを選択して、⁠X]欄の数字の末尾に「+10」を入力して、⁠Option][Return]キーを押すと、10ミリ移動してコピーができる
オブジェクトを選択して、[X]欄の数字の末尾に「+10」を入力して、[Option]+[Return]キーを押すと、10ミリ移動してコピーができる

このような「移動してコピーを作る」という操作は、⁠編集]メニューの[繰り返し複製]を使ってもできます。ただし、1個だけコピーを作るようなときは、上のようなコントロールパレットを使う方法のほうが簡単です。

繰り返しコピーする

Illustratorでは、移動してコピーを作成したのち、続いて[Command][D]キー(Windowsは[Ctrl][D]キー)を押すと、さらに同じ距離だけ移動してコピーができます。Illustratorの[Command][D]キーとは[変形の繰り返し]のショートカットで、Illustratorユーザーがとてもよく使う方法です。

InDesign CS2でも、Illustratorと同じように[変形の繰り返し]ができます。ただし、Illustratorとは異なり[変形を再実行]という呼び名です。操作方法は次のようになります。

InDesignで[Option]キーを押しながらドラッグして、移動してコピーを作成します。続いて[オブジェクト]メニューの[変形を再実行⁠⁠→⁠変形を再実行]を選択すると、移動してコピーが繰り返されます。

Illustratorの[変形の繰り返し]を使い慣れている人には残念ですが、InDesignの[変形を再実行]のショートカットキーは[Command][D]キーではなく、⁠Command][Option][3]キー(Windowsは[Ctrl][Alt][3]キー)になります。

オブジェクトを[Option]キーを押しながらドラッグしてコピーを作成し、続いて、⁠Command][Option][3]キーを押すと、同じコピーが繰り返される
オブジェクトを[Option]キーを押しながらドラッグしてコピーを作成し、続いて、[Command]+[Option]+[3]キーを押すと、同じコピーが繰り返される

ご存知のように、InDesignは、アドビ社の古いDTPソフトであるPageMakerの伝統を引き継ぎ、⁠Command][D]キーに、⁠ファイル⁠⁠→⁠配置]のショートカットを割り当てています。⁠Command][Option][3]キーをぜひとも憶えましょう。

参考文献
「InDesignプロフェッショナルテクニック」34ページ、39ページ

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