QuarkXPressになくて、InDesignにある便利な操作で一番目に思い浮かべる操作は何でしょう?いろいろな答えが聞けそうですが、そのなかでも[元の位置にペースト]は、ベスト上位に入る操作と思います。
[元の位置にペースト]にショートカットを
不幸にして[元の位置にペースト]を知らない方に、簡単におさらいしておきましょう。たとえば、新しい章になると必ず登場する「タイトル」のテキストフレームがあるとします。[選択ツール]で既存の「タイトル」のテキストフレームを選択して[編集]→[コピー]を行い、次に、新しいページに移動して[編集]メニューから[元の位置にペースト]を選択すると、ページ上の同じ位置に「タイトル」のテキストフレームがペーストされます。
使ってみると確かに便利。いろいろなところで使える機能ですが、こんなに便利なのに、InDesign CSとCS2では[元の位置にペースト]にショートカットがありません。
実は、InDesign CSやCS2の英語版では、[Shift]+[Command]+[Option]+[V]キー(Windowsは[Shift]+[Ctrl]+[Alt]+[V]キー)というショートカットが付けられています。ところが、日本語版では、そのショートカットキーを日本語版特有の機能である[グリッドフォーマットを適用せずにペースト]に割り当てているため、[元の位置にペースト]のショートカットキーが「なし」になってしまったようです。
頻繁に使うことの多い[元の位置にペースト]には、やはり、[編集]メニューの[ショートカット編集]を使って、ユーザー独自のショートカットキーを設定したいところです。ただし、キーの組み合わせは、英語版の[Shift]+[Command]+[Option]+[V]キーが必ずしもよいとは思えません。頻繁に行う操作ですから、4本の指を使うのでは作業効率の意味でマイナスです。
お勧めのキーの組み合わせは、[Shift]+[Command]+[V]キー(Windowsは[Shift]+[Ctrl]+[V]キー)です。初期設定では[選択範囲内にペースト]のショートカットになっていますが、[選択範囲内にペースト]はそれほど多くは使わないはずなので、[元の位置にペースト]のためのショートカットキーとして設定し直してもよいでしょう。
移動先にコピーを作る
コピー操作の方法でよく行う操作のひとつに[Option]キー(Windowsは[Alt]キー)を押しながら、マウスでオブジェクトを移動する方法があります。この操作は、アドビ社のソフトに共通で、IllustratorやPhotoshopでも同じ操作で、移動先にコピーができます。
マウス操作ではなく、移動する距離をコントロールパレットに数値入力することでも、同じように、移動してコピーが可能です。操作方法は次のようになります。
オブジェクトを選択して、コントロールパレットの[X]や[Y]欄に、プラスマイナス記号と移動したい距離を入力します。たとえば、現在[X]が「100mm」で右方向へ「10mm」離れた場所にコピーを作りたいのであれば、[X]欄の「100mm」の後ろに「+10」を入力します。続いて、[Option]+[Return]キー(Windowsは[Alt]+[Enter]キー)を押せばコピーができます。
このような「移動してコピーを作る」という操作は、[編集]メニューの[繰り返し複製]を使ってもできます。ただし、1個だけコピーを作るようなときは、上のようなコントロールパレットを使う方法のほうが簡単です。
繰り返しコピーする
Illustratorでは、移動してコピーを作成したのち、続いて[Command]+[D]キー(Windowsは[Ctrl]+[D]キー)を押すと、さらに同じ距離だけ移動してコピーができます。Illustratorの[Command]+[D]キーとは[変形の繰り返し]のショートカットで、Illustratorユーザーがとてもよく使う方法です。
InDesign CS2でも、Illustratorと同じように[変形の繰り返し]ができます。ただし、Illustratorとは異なり[変形を再実行]という呼び名です。操作方法は次のようになります。
InDesignで[Option]キーを押しながらドラッグして、移動してコピーを作成します。続いて[オブジェクト]メニューの[変形を再実行]→[変形を再実行]を選択すると、移動してコピーが繰り返されます。
Illustratorの[変形の繰り返し]を使い慣れている人には残念ですが、InDesignの[変形を再実行]のショートカットキーは[Command]+[D]キーではなく、[Command]+[Option]+[3]キー(Windowsは[Ctrl]+[Alt]+[3]キー)になります。
ご存知のように、InDesignは、アドビ社の古いDTPソフトであるPageMakerの伝統を引き継ぎ、[Command]+[D]キーに、[ファイル]→[配置]のショートカットを割り当てています。[Command]+[Option]+[3]キーをぜひとも憶えましょう。