効果測定 虎の巻

第5回コンバージョンの測定(前編)

第3回第4回では流入元の測定方法や注意点について説明しました。流入元が識別できると、次はコンバージョンです。コンバージョンを「転換(率⁠⁠」や「成果数(率⁠⁠」と呼ぶツールもあります。ウエブの効果測定はコンバージョンがいかに正確に測定できるかが重要です。

今回はコンバージョンを計測する仕組みや方法について説明しましょう。

コンバージョンとは

コンバージョンはウエブサイトの成果を意味するイベントを指します。 業種・ウエブサイトの形態にもよりますが、一般的には次のイベントが発生した場合をコンバージョンとします。

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コンバージョンに対しては、流入元に対してコンバージョン率を求めて、流入元の集客効果を測定します。これで、どの媒体がウエブサイトにとって効果があるかを測定します。

コンバージョン率 =(コンバージョン数 ÷ 流入数⁠⁠ * 100(%)

 コンバージョン
図 コンバージョン

顧客獲得が目的のサイトであれば、顧客獲得数と集客に投じた費用から顧客獲得単価を算出することができますキャンペーン等ではかかった費用をコンバージョンで割り出して費用対効果を測定します。

さあ、どのイベントをコンバージョンとするかを決めたら、コンバージョン計測の設定を行いましょう。

コンバージョンの計測方法

計測ツールのデータ取得方法によって分かれますが、一般的に以下のいずれかです。

  • コンバージョンとして計測するURLを定義して測定
  • コンバージョン専用のタグを設定して計測

コンバージョンとして計測するURLは完了ページ(Thank youページや成果完了ページ)を指定する場合が多いようです。

注)
URLを指定する場合は完全、前方、中間一致に注意する必要があります。 特に動的サイトでURLパラメータまで含めて一意に識別しなければならない場合は注意が必要です。 また、URLパラメータを識別できない測定ツールでは測定対象のページを特定できない場合もありますので、事前に確認しましょう。
 URLパラメータで画面が異なる例
図 URLパラメータで画面が異なる例

上記の場合、https://www.activecore.jp/product/regist.phpまでで前方一致にしていると、入力フォームのページも計測してしまいます。

URLで識別するタイプの計測ツールの場合、複数のイベントのコンバージョンURLが共通な場合はURLを変更するか、URLパラメータを個別に割り振る等で必ず識別できるようにしておきましょう。

コンバージョン専用のタグで識別するツールの場合は、コンバージョンページにのみタグを貼る(またはWebアプリで生成)するのでURLを意識する必要はありません。

動的サイトでPOSTメソッドを利用して画面を制御しているウエブアプリケーションの場合は、 URLパラメータがブラウザ上(またはログ上)に表示されないことがあります(HTTPリクエストのボディにパラメータが格納されるため表示されない。hiddenも同様⁠⁠。

パケットキャプチャ型のツールの場合はこのような場合でもパラメータを捕獲できるものがありますが、タグ型やログ型ではURLの区別がつきません。

そのような場合はURLパラメータをダミーで振るとページを識別できるようになります。 また、タグ型の場合は、任意でページ名称(または固有ID)を割り当てるタグをベンダーが提供している場合がありますので、確認してみましょう。

直接コンバージョンとポストクリック(間接)コンバージョン

コンバージョンには直接効果と間接効果があります。 直接・間接効果を理解するにはセッションとユーザ(訪問者)の識別についての理解が必要です。 従来のアクセス解析ツールのコンバージョンは直接効果を測定している場合が多いようです。 直接コンバージョンとはユーザがサイトを訪問して、セッション内でコンバージョンすることを指します。

第1回でも説明していますが、セッションとはユーザの訪問単位のことで、 一般的にはサイトの訪問から退出までは30分間アクセスがなくなるまでをひとつの訪問とする場合が多いようです。

もう一度以下の図で示します。

 セッションの計測
図 セッションの計測

セッションとは同一ユーザがウエブサイトを訪問してから退出するまでの一連の流れをまとめた単位です。訪問とも言います。同一ユーザの識別には主としてクッキーが利用されます(PCサイトの場合。携帯サイトの場合は別の回で説明します⁠⁠。

セッションとユーザの識別が正確でないと、コンバージョン率の測定も不正確になります。 タグ方式の場合はユーザの識別を独自のクッキーを利用して行う場合が多いので問題になることはあまりありませんが、ログ方式、パケットキャプチャ方式の場合はウエブサイト側でクッキーの実装が必要になる場合が多いので確認が必要です。

直接コンバージョンはユーザがサイトを訪問して、そのセッション内でコンバージョンすることを指します。 間接コンバージョンはセッション内ではコンバージョンしなかったがその後の訪問でコンバージョンした場合を指します。広告測定の場合では、広告をクリックした後の効果という意味でポストクリック測定と呼ぶ場合もあります。

例に以下に挙げてみましょう

 直接コンバージョンと間接コンバージョン
図 直接コンバージョンと間接コンバージョン

5月3日にバナーAから流入したユーザAはセッション内でコンバージョンしています。これは直接コンバージョンです。

5月3日にバナーAから流入したユーザBはサイト離脱後、ブックマークからサイトを再訪問して、コンバージョンしました。これは5月3日のバナーAの間接コンバージョンです。

測定ツールによってはセッションではなく、同じ日にコンバージョンした場合を直接として、異なる日にコンバージョンした場合を間接としているものもあります。 最近のインターネットユーザの行動はAISASモデル[1]で示されるように、サイト訪問後にすぐにアクション(コンバージョン)せずに、他サイトや比較サイト、検索エンジンで情報を調べた後、再訪問してコンバージョンするユーザが増加していることが判明しています。

事実、当社の事例でもコンバージョンの50パーセント以上が間接コンバージョンであるお客様サイトが少なくありません。 直接コンバージョンのみをサポートしている測定ツールの場合、上記の5月5日のコンバージョンは直接流入(リファラーなし)とレポートされるでしょう。これは効果測定において、大きな違いです。

直接コンバージョンだけではわからなかったコンバージョンのきっかけとなった媒体(流入元)を知ることができると、本当の媒体効果を算出することができます。間接コンバージョンについては、間接測定の範囲(期間)は測定ツールによって仕様が異なりますので、ツールベンダー(サービス提供事業者)に確認しておきましょう。

広告測定専用ツールの場合は直接・間接の区別がなく、クッキーの有効期間内(14日~90日が多い)を対象として、訪問者が最初にクリックした広告または最後にクリックした広告を対象としてコンバージョン(直接・間接の区別がない)とするものがあります。

直接・間接効果を測定できるツールではクッキーの有効期間内(14日~90日や10年以上のCookieの場合もある)を間接効果の対象として、期間内に訪問者が最初にクリックした広告または最後にクリックした広告を対象として直接コンバージョンを除いた広告を間接効果とする場合が多いようです。

第6回(「コンバージョンの測定」 後編)ではもう少し詳しくコンバージョン測定について見ていきましょう。

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