ウェブサイトの目的・目標を達成するためには、サイトで取り扱うサービスや製品を求めるアクティブユーザー[1]をSEOやリスティング広告を通じて集客し、必ずウェブサイトへたどり着けるようにすることが重要である。しかし集客を行うだけでは目的・目標は達成されない。集客したユーザーを効率よく目的のアクションへと誘導し、実行させる配慮や仕掛けを用意することが必要である。
ウェブサイトを訪れたユーザー数に対し、目的のアクションを実行したユーザー数の比率を“コンバージョン率”と呼び、このコンバージョン率をいかに上げられるかがウェブサイトの成功の鍵を握る。ウェブサイトを訪れたユーザーに対し、以下の対策を行うことでコンバージョン率を高めることができる。
- ツールの設置
- インセンティブの明確化
- モティベーションの演出
ユーザーの目的に合わせた専用ツールを設置
効果的に目的のアクションをユーザーに実行してもらうためにはそのアクションを簡単に実行できるツールを提供する必要がある。ツールが提供されて初めてそのアクションが起こせる事を認識するユーザーも多い。目的に合わせたツールをウェブサイトに設置することがユーザーをアクションの実行へと導くのだ。メールフォームを利用したアクションを例に以下の活用方法で効果的なツールをユーザーに提供することができる。
メールフォームの利便性
問い合わせに提供されているツールがメールアドレスへのリンクだけの場合、ユーザーはメールの文面を起こさなければならない。よりアクションの実行を促すためには、ユーザーがフィールドというガイドに従い情報を入力することができるメールフォームを提供する事が効果的である。さらに、ユーザーがアクションを起こし、完了するまでの作業をスムーズに行えるような仕掛けと心遣いが必要となる。
情報を入力する際には、なるべく考える必要が無く手間がかからないものが好ましい。しかし、単純に必須項目を最低限にし、連絡先と問い合わせ内容だけのような自由なフォーマットではユーザーに情報の整理を行わせる結果となり、メールアドレスへのリンクと変わらない。フォームを設定する際にはユーザーが伝えたいと思う必要最低限の情報をフィールドに分け、わかりやすくレイアウトする事が重要だ。
メールフォーム提供のタイミング
メールフォームなどのツールをコンテンツ導線上の何処に設置するかもとても重要である。コンテンツを閲覧しているユーザーに対してどのタイミングで情報の入力を行わせるか。
例えば、サービスやオンライン決済が行えない製品等を紹介しているページでは、コンテンツ領域に問い合わせボタンを設けることが重要だ。コンテンツを読み、検討しているユーザーに対し、コンテンツ領域にボタンを設置することで、よりそのアクションをアピールすることができる。
さらに、アンケートを実施する際、プレゼントキャンペーンなどの個人情報入力後に表示をすると、ユーザーは既に入力を行った労力を惜しみ、アンケートを積極的に答えてくれ、回収率が高まる。この順番を逆にした場合はアンケートだけでなく、プレゼントキャンペーンへの応募自体の回収率も低くなってしまう。このようにツールを提供するタイミングも目的・目標を達成するためには重要となる。
ツールの連携
目的が個人情報取得であればユーザーニーズに合わせた複数のツールを設置し、情報取得の窓口を増やす事も効果的だ。問い合わせ、メールマガジン購読、会員登録など、ユーザーの全てのニーズを想定し、それらをカバーするツールを提供することで、確実にユーザーを目的のアクションへと誘導できる。また、会員登録の際にメールマガジン購読のオプションをチェックボックスで提供するなど、ツール間の連携もとても重要である。
さらに、目的のアクションがリアル店舗への誘導など、オンラインで完結できない場合には地図や店舗情報を携帯電話に送るツール等、ユーザーのプロセスを簡略化するツールを提供する必要がある。様々な目的からユーザー視点に立ち、どのようなツールが必要か、機能が重複するものも含めて、全てリストアップしよう。
上記のような対策で積極的にアクションを実行する意思のあるユーザーを効果的に誘導することができる。しかしより受動的(パッシヴ)なユーザーを目的のアクションへと誘導するには明確なインセンティブ[2]を提示し、モティベーション[3]を補助する必要がある。
明確なインセンティブの提示
受動的にサイトを訪れるパッシヴユーザーを目的のアクションへ誘導する際に効果的なのが、プレゼントやダウンロードコンテンツの提供などの明確なインセンティブの提示である。個人情報や購入などのアクションとの引き換えに何かを入手できることが明確に提示されていれば、ユーザーがそのアクションを行う確立は高くなる。明確なインセンティブが用意できない場合はサービス内容をメリットや特典として演出・表現する。例として、メールマガジンを「優先的な最新情報のご案内」などと表現する場合がある。
このようなインセンティブはユーザーがサイトへ訪れる前から、目的のアクションを起こすまで有効だ。まずはバナーなどの広告でインセンティブを明確に提示し、パッシヴユーザーをサイトへ誘導する。サイトを訪れたユーザーがインセンティブを求め、コンテンツ間を移動する際に見て欲しいコンテンツを表示することにより、効果的な導線を築くことができる。例として、化粧品のプロモーションを行う際、モニターや無料サンプルプレゼント応募を行いたいユーザーをバナー広告やリスティング広告から誘導し、フォームまでに製品情報や二次的なプロモーションに繋がるコンテンツ(ブログパーツダウンロードなど)を閲覧させ、応募後にアンケートに答えさせる。明確なインセンティブの提示と戦略的な導線上の配置により、コンバージョン率を大幅に上げることができる。
ユーザーを後押しするモティベーションの演出
インセンティブがユーザーを引き付け、誘導する力であれば、モティベーションへ働きかける演出はユーザーを押す力である。アクションを起こす直前に「起こしても良い」、「起こしたい」、「起こしやすい」と思わせる事によってユーザーに必要な一押しを加えることができる。例えば、
プレゼントは「抽選」ではなく「限定」と書くことにより、応募するメリットをユーザーに感じさせることができる。期間の限定を明記することも効果的だ。
応募が単なるフォームへの記入ではなく、ゲーム形式になっている事や、診断や占いコンテンツと絡めることもユーザーアクションの獲得へと繋がる。
問い合わせフォームに問い合わせ目的のチェックボックスを表示することにより、内容が当てはまるユーザーにそのプロセスをよりパーソナルに感じさせ、最初のアクションをより起こさせやすくすることができる。ユーザーに複数のステップを含むアクションを実行させる場合、プロセスが簡単であるという事や、ステップ数がガイドされているなど、ユーザーに安心感を与えることも効果的だ。
目的のアクションによって、ユーザーのモティベーションに働きかける演出も変わってくるが、自身がウェブサイトへ何らかの個人情報の入力など、アクションを起こしたときにどのような働きかけがあったかは、常に注目しておくべきだろう。
ウェブサイトのコンバージョン率を上げるために、上記の対策を行うことは必須である。いかに魅力的な製品やサービスのアピールを行っても、効果的な設計を通じて、目的のアクションに合ったツールをユーザーに提供できなければウェブサイトは目的を果たすことができない。集客したトラフィックを最大限に活かせるよう、目的を達成するために必要なツール、ユーザーを引き付けるインセンティブ、モティベーションを後押しする演出を定め、高いコンバージョン率を獲得することを心がけよう。