WEB DESIGN WORKSHOP「正しいウェブデザイン」

第4回Raising RVR 「リピート訪問率を上げる」

ウェブサイトにとって、リピート訪問率は大変重要である。新規訪問者を獲得し、リピート訪問者にすることで、サイトへのトラフィックは安定し、成長する。また、リピーターはサイトの情報に対し、接触する頻度が高いため、コンバージョン率が新規訪問者に比10倍以上とも言われる。ウェブサイトへ効果的な集客を行い、リピート率を高めることにより、広告などの集客活動に対する費用対効果を高め、トラフィックを伸ばし、口コミなどによる広まりを増加させ、コンバージョン率も上げる。効果的にユーザーを囲い込み、サイトへ繰り返し訪れてもらうには以下の対策が必要となる。ユーザーが求める価値のあるコンテンツやサービスを提供することにより、ユーザーを「固定客化」し、リピート率を上げることが出来るのだ。

  • ユーザーのニーズに応えるコンテンツ提供
  • 更新頻度を高める
  • リピートプロモーション

ユーザーのニーズを理解し、ニーズに応えるコンテンツを提供する。

ウェブサイトのコンテンツを企画する際、どのようなコンテンツがユーザーに求められているかを理解する必要がある。検索エンジンから特定のキーワードが検索されたボリュームを参考にし、ユーザーがどのようなコンテンツを求めているかを想定する。Googleのキーワードツールなどから関連するキーワードの検索ボリュームを調べることができるので、参考にすると良いだろう。また、競合サイトのURLやキーワードから関連するキーワードも調べられる。

以前のキーワードアドバイスツールのように数値は表示されないが、コンテンツプランニングを行うには十分なデータが提供される。

例えば「マスカラ」と入力すれば、検索が多いブランドの順だけでなく、マスカラに求められている特長、ユーザーがマスカラを選ぶ際のモティベーションまで明確にわかる。プロモーションを行う際は特徴を明確化し、人気ランキングなどのコンテンツを提供することが好ましい。

また、検索キーワードからは見えない、実際のユーザーの声を読み理解することも重要だ。TechnoratiやGoogleのブログ検索[1]から、関連するブログ記事を読むことにより、プロダクトやサービスがどのような情報や印象をユーザーに与えているかがわかる。特定のマスカラを調べたところ、そのマスカラに対し正しい使い方や塗り方がわからず効果に不満を持つユーザーと、うまく使用でき効果を絶賛するユーザーがの両方が存在することがわかった。キーワードツールでも「塗り方⁠⁠、⁠使い方⁠⁠、⁠つけ方」などのキーワードが存在していたため、正しいマスカラの使い方などのHOWTO的なコンテンツがユーザーに求められていることがわかる。

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CMSを活用し更新頻度を高め、定期的なコンテンツを提供する

更新を高めるためのCMS

サイトへのリピート率を高める上で最も重要なことは、ユーザーが求めるコンテンツを高い頻度で提供し続けることだ。

ユーザーがサイトへ訪れる主なモティベーションは新しい情報の取得であり、ユーザーは更新が行われないサイトへ何度も訪れることは無い。

ユーザーがどのようなコンテンツを求めているか明確に定義できたら、それらのコンテンツの更新頻度を高め、情報を提供し続けなければならない。

更新頻度を高め続けることは容易なことではない。情報を配信する側のモティベーションも高く持ち続けなければならないからだ。

そのため、配信側のモティベーションを下げることのないよう、更新作業が簡単に行え、⁠いつでも、だれでも、簡単に」情報の発信ができる環境の構築が必要になってくる。そこでサイトの更新コンテンツにコンテンツ管理システム(以下:CMS)を使用することをお薦めする。

CMSはMovable TypeやWordPress[2]といったブログツールなども含み、サイト上のコンテンツ情報を管理・運営するためのツールである。導入に特別な制限のあるわけではなく、利用にはネット環境とブラウザさえあれば管理画面からコンテンツの作成・編集が可能となる。作成したコンテンツは基本的に時系列順で管理されるため、更新日を記載し、更新がこまめに行われていることをユーザーに明確に提示することもできる。

また、CMSによっては更新を行う管理者を複数管理することもでき、社内の担当者ごとに権限を振分け、承認作業を行い公開するといった更新環境を構築することもできる。

CMSを導入することで更新を行うことにストレスを感じるような要素はできるだけ排除することでより円滑に更新プロセスを行うことができるのだ。

更新頻度高めた場合の効果的なコンテンツ配信例

マスカラを例とした場合、ユーザーが求めていたのは「明確な製品の特徴(落ちない等⁠⁠、⁠人気ランキング⁠⁠、⁠HOWTO」である。

これらに関するコンテンツがこまめにアップデートされれば、高い更新頻度でユーザーが求めるコンテンツを提供できることになる。

ここで重要となるのは、ただコンテンツ情報を頻繁に更新するだけではなく、表示形式や更新を行うタイミングなどを各コンテンツに適した形で企画することである。

例えば、連載といった形で断続的に情報を配信したい「マスカラの特徴をピックアップ」といったコンテンツであれば、一度に全て配信するよりも事前に準備したものを段階に分けて公開するほうが有効である。

また、ランキングコンテンツであれば可能な限り頻繁に定期的な更新を行い、その更新期間を明記することが必要であり、HOWTOコンテンツであればブログ形式にし、こまめに更新を可能とするだけでなく、更新が頻繁かつ不定期に行われる雰囲気を演出することが有効だ。

このようにユーザーニーズと更新性を意識したコンテンツ企画を通じて、情報としてのコンテンツバリューを高め、ユーザーにウェブサイトをリピート訪問するためのモティベーションを与える。

また、サイト全体でさまざまな更新のタイミングを作ることにより、常に新しい情報を提供しているような演出を行うことができるのだ。

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ウェブサイトにブログを含める

もしサイト内にブログコンテンツを設置することが可能であれば積極的に行うべきだ。

サイト内にブログを含めることは大変効果的であり、そのブログにユーザーが求める情報が含まれていれば、繰り返し情報を入手できる場所として認識される。ブログコンテンツはリピート訪問を促すだけでなく、トラックバック等を通じ他の関連するコンテンツと連動し、ウェブサイトのコンテンツに厚みを加えることができる。

のちに詳しく述べるが、ブロガーにインフルエンサー[3]を起用したり、トラフィックの多いブロガーとタイアップなどを行うことによって、ブログ自身が高い集客効果を発揮する場合もある。

リピートプロモーション

ただサイトを更新するだけでは、ユーザーへリピート訪問に関するアクションをすべてゆだねてしまうことになる。

更新の際にユーザーにリピート訪問を行わせるためにはきっかけを作らなければいけない。コンテンツ更新の効果を最大限に発揮し、リピート率を高めるにはリピートプロモーションを行う必要がある。

主な方法として、メールアドレスなどの個人情報を取得している既存顧客ユーザーに対してはメールマガジンの配信による通知がある。大きな更新だけでなく、小さな更新を行った際にも定期的にユーザーに向けて配信するべきである。

さらに潜在顧客に対してはブログの機能であるトラックバック送信機能(PING送信)を活用することもできる。PING送信はコンテンツの作成時にPING配信サイトの指定URLを設定することでサイトの更新内容を、外部サイトを通じて不特定多数のユーザーに対して配信することができる。また、最近ではRSSリーダー[4]の使用が一般化している。

ブックマークのように興味のあるサイトのRSSを取得し、サイトの枠組みからコンテンツだけを更新が行われたタイミングで逃すことなく閲覧することができる。

サイトを訪れることなく情報は読むことができるが、RSSでコンテンツの一部分のみを表示するなどの工夫を行えば、RSSからのサイト訪問率も高めることができる。

ユーザーが求めるコンテンツを高い更新頻度で提供できるよう、ウェブサイトのコンテンツを企画、構成し、その更新をユーザーに効果的に伝えられるようにする。とてもベーシックな事だが、大半のウェブサイトはユーザーが求めている情報ではなく、クライアントが訴えたい情報だけで構成されていて、更新頻度も低いのが現実だ。ユーザーが繰り返しウェブサイトを訪れたいと思うコンテンツと訪れやすい仕掛けを提供することによりリピート率は高まるのだ。

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