WEB DESIGN WORKSHOP「正しいウェブデザイン」

第11回Measuring Effects「効果測定」

ユーザーのターゲット層、流入経路、プロモーション規模、コンテンツ、インセンティブ内容等、ウェブサイトやWebプロモーションの効果に影響する要因は様々だ。ウェブサイトを正しく運用するためにはその効果を測定する必要がある。成果の指標を定め、同じ項目の数値を継続的に記録、比較することではじめて、ウェブサイトやWEBプロモーションの効果が測定できる。ウェブサイトやWEBプロモーションの効果を向上させ、クライアントに対し投資利益を証明するためにも正しい効果測定を行うべきである。

ウェブサイト、WEBプロモーションの効果測定項目

効果測定を正しく行うためには以下の項目を記録、比較する。

認知度

ウェブサイトやWEBプロモーションはインターネットユーザーの製品やサービスに対する認知度に直接的な影響を及ぼす。認知度と動向を測定するためには以下の項目を記録する必要がある。

検索ボリューム

製品やサービス名称などの特定キーワードの検索回数は直接的な認知度の測定になる。主要検索エンジンでの検索回数を知る方法はいくつかあるが数値が取得方法によって異なるため、出来るだけ多くのサービスから収集したほうが良いだろう。

フェレットプラス
登録後は特定キーワードの関連語に加え、ヤフーでの月間検索数を表示する。
キーワードハンター
エキサイト、goo、BIGLOBEなどの関連語と検索回数を表示する。有料サービスで、31,500円で1,000回の検索が行える。
SEMチケット
B2Cは400キーワード、B2Bは200キーワードのヤフー月間検索数を1チケット(20,000円)でレポーティングを行ってくれる。

ブログ記事件数

ブログ上で特定のキーワードが言及される回数も認知度や話題性の測定に用いられる。記事件数は以下のサービスを使用し測定する。これらも取得方法が異なるので、出来るだけ多くのサービスから取得する。

Technorati
ブログの検索を専門とする検索エンジン。特定のキーワードを含むブログ記事数に加え、過去180日間のブログ記事数の推移を表示できる。
Yahoo!ブログ検索
Yahoo! Japanが提供するブログ検索サービス。特定のキーワードを含むブログ記事数に加え、過去1年のブログ記事数の推移、他キーワードとの比較を表示できる。
Google ブログ検索
Googleが提供するブログ検索サービス。特定のキーワードを含むブログ記事数を表示し、特定の期間を指定し、検索結果をソートできる。

ユーザーとトラフィック

ウェブサイトやWEBプロモーションのパフォーマンスを測定する上でもっともわかりやすいのがトラフィックの増加である。様々な経路から流入するトラフィックの量と質を測定するためには以下の項目を記録する。

セッション
ユーザーによるウェブサイトへの個別訪問回数。
ユニークユーザー
期間中にウェブサイトを訪問した個別ユーザー数。
新規セッション
新規セッション率
ウェブサイトをはじめて訪問したユーザーの個別訪問回数とその比率。
検索エンジンからのセッション数
特定のキーワードからウェブサイトへ到達したユーザーの個別訪問回数[1]⁠。
平均ページビュー
ユーザーがセッションで訪問したページ数の期間中平均値。
平均滞在時間
セッション(最初から最後のアクションまで)の時間の期間中平均値。

検索エンジン

検索エンジンからの評価を高めることはウェブサイトにとって必要不可欠である。その評価を維持、向上させるためにも効果測定を行う必要がある。

到達キーワード数
検索エンジンからサイトへ到達したキーワードの総数。
上位キーワードランキング

検索エンジンからサイトへ到達したキーワードの上位(1~50位程度)とその検索結果順位のランキング。主要検索エンジンでのランキングはランキングチェッカー等で確認できる。

  • DW230
    Google、Yahoo、MSNのランキングと100位以内の競合サイトを表示する。
  • Broadentry Ranking Checker Beta
    Google、Yahoo、MSNのランキングを5つのキーワードまで同時に表示する。
被リンク数
ウェブサイト(ドメイン)に対して存在するリンクの総数。
インデックス数

検索エンジンがウェブサイト(ドメイン)内で登録しているページ数。

  • Yahoo! Site Explorer
    Yahooでの被リンク数、インデックス数を特定のドメインで表示する。
  • Google ウェブマスターツール
    Googleでの被リンク数、インデックス数を特定のドメインで表示する(site:ドメイン名、link:ドメイン名の検索でも表示可能⁠⁠。
ページランク
Google が採用するウェブページの重要性を測る0から10までの11段階のランキング。

地域データ

ウェブサイトの対象が広い流通網を持つコンシューマー製品であれば、地域データも販売戦略と比較できる重要な測定項目である。

都道府県別セッション

各都道府県からのセッション数とその順位。

コンバージョン

ウェブサイトの最終的な目標の達成。販売、店舗誘導、会員登録等、ウェブサイトによって目的は様々。さらにそのコンバージョンの詳細な属性(流入経路、新規・リピート等)も把握する必要がある。

会員登録が行われた数
メールマガジン、キャンペーン応募、広告媒体など流入経路によって分類する。
プレゼントキャンペーン等の応募数
新規ユーザー、リピートユーザーによって分類する。
ECサイト等で達成した販売数
流入経路によって、新規・リピートユーザーによって分類する。

また、サイトやプロモーションの構成によって、特定コンテンツの閲覧やブログ上の拡散をコンバージョンとする事も考えられる。LPO等を行い、一般的なキーワードからの流入を見込む際は検索から特定コンテンツへの誘導回数も押さえておこう。

過去データとの比較

上記すべての数値データを過去の物と比較する事により、ウェブサイトやWEBプロモーションのパフォーマンスを測定することができる。短期的、中長期的な効果を測定するためには、一ヶ月前との比較、三ヶ月間の平均、六ヶ月間の推移などを計算するとよいだろう。

競合との比較

競合との比較も重要な効果の測定である。外部から把握できる認知度、検索エンジンランキング、被リンク数、インデックス数等は競合に対して押さえておくべきだろう。また、正確ではないが、Alexaでウェブサイトへのトラフィックの推移は調べる事ができる。競合のプロモーションなどのパフォーマンスを比較するには効果的だ。

Alexa Traffic Details
5つまでのドメインのリーチが比較できる。

上記の項目を記録し、定期的に過去データと比較する事で、ウェブサイト、WEBプロモーションの効果を測定する事ができる。パフォーマンスの向上を行うためには施策の効果を把握する必要があるのだ。

次回はウェブサイトを通じた個人情報の取得、ユーザーのセグメンテーション、ダイレクトマーケティングについて説明する。

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