WEB DESIGN WORKSHOP「正しいウェブデザイン」

第15回Choosing the right Web Designer, Web Director「正しいWEBデザイナー、WEBディレクターの選び方」

WEBサイトの制作にはたくさんのノウハウが必要になる。安定した流入を確保するために、技術的な面だけではなく的確にキーワードを選ぶ検索エンジン対策。たくさんの流入経路からユーザーをコンバージョンへと導く導線設計。閲覧した人を魅了し、誘導するデザイン。メッセージを的確に伝えるコピーライティング。画像、動画、音楽素材の扱い方や、素材自体の制作を行うノウハウ。更新作業を軽減する設計。無駄な労力を省くプロジェクト管理能力。異なるユーザー環境から支障なくサイトを閲覧させるコーディング。消費者を巻き込む企画立案。メディアバイイング。効果測定に向けての指標設定。これらのタスクをひとりの人間が担当する事はまずないが、WEBデザイナー、WEBディレクターはこれら制作フローの中心的な存在になることが多い。様々な専門家と確かな仕事を行うためにはどのようなWEBデザイナー、WEBディレクターを選ぶべきだろうか?

WEBデザイナー、WEBディレクターに必要なスキル

私はWEBデザイナー、WEBディレクターが必要とするスキルは専門的なものを除いて、主に3つあると思っている。情報を受け、理解し、伝えるコミュニケーション⁠。需要を見出し、消費者に有益なコンテンツを提供するためのマーケティング⁠。そして最終的に消費者に何かを買って頂くためのセールス⁠。この3つのスキルがしっかりと備わっていればプロジェクトがブレる事はない。あとは必要な箇所で専門家のノウハウと最適な組み合わせがあれば、WEBサイトの制作における円滑な進行と目的の達成が可能となる。

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コミュニケーション

WEBデザイナー、WEBディレクターの主な仕事はクライアントと消費者のコミュニケーションを確立させることである。課題とされているタスクを正しく理解し、ソリューションを提案・制作する。直接的である必要は無いが、その製品・サービスが提供するメリットをユーザーに理解させなければいけない。クライアント側が求めるターゲットユーザーに情報が的確に伝えるために、工夫を凝らし、何一つ障害を作ってはならない。WEBは広告媒体と違い、量や時間の制限は無いと思われがちだが、これは間違いであり、ユーザーの興味でコミュニケーションの量や時間は制限される。

そのためユーザーが「離脱」してしまう前に、伝えなければならないことを伝え、次のアクションへと誘導しなくてはいけない。特にWEBデザイナーはビジュアルコミュニケーションのスキルが必要である。画面上でユーザーの視点を誘導し、アクションへと導くために文字、装飾のデザインを行う必要がある。

また、冒頭で述べたようにWEBデザイナー、WEBディレクターは多くの専門的なノウハウのハブとして機能しなければならない。共通言語をもたない専門家達に共通してプロジェクトの目的と達成の手法を理解させる必要がある。コミュニケーションはどんな仕事を行う上でも重要なスキルではあるが、WEBデザイナー、WEBディレクターはそれに長けている必要がある。

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マーケティング

WEBはマスメディアの広告とは違い、ユーザーが自主的に閲覧するものである。また、先ほど述べたように、離脱することもユーザーに委ねられている。その特性からWEBにはマーケティングの要素が必要不可欠となる。市場の需要を見極め、消費者が求める情報を利益につながる形で提供すること。そして、企業が求めるターゲットユーザーを魅了し、良好な関係を築くこと。確実に効果のあるWebデザインを行うには「何が求められているのか」を的確に理解する必要がある。クライアントが提供する製品やサービスを市場のニーズに合わせたかたちで表現し、理想のかたちを見出すことがWEBデザイナー、WEBディレクターの仕事なのである。

具体的には、検索エンジンへの対策やCRMなどのユーザーアプローチの施策がある。

検索エンジンへの対策はマーケティングのスキルが無くては、的確なキーワードが定められず、どれだけSEO対策を施しても効果につながる集客を行うことはできない。集客に関してはユーザーのターゲティングが購買層にマッチしていなければならず、そこからCRMへと繋げるためには購買層にアピールするインセンティブの選出、そして後の販促活動に活用できるユーザーセグメント方法の立案が必要になる。また、クライアントが持つ顧客データベースやメディアサポート等のアセット(資産)を見極め、活用方法を見出す事も要求される。

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様々な要素の組み合わせから新たなメリットの創出を行う為には必要不可欠なスキルである。

セールス

多くのウェブサイトは何かを売るために作られる。売上に貢献するために集客が行われ、デザインやキャッチコピーにより誘導する。WEBサイトは不特定多数の消費者にセールスを行うものが主流なのである。

通常のWEBサイトは複数のページを持ち、たくさんの流入経路を持つ。正しく設計されたWEBサイトは個々のユーザーニーズに応えるように設計されているため、大多数にむけたone to one マーケティングのような事を行っている。WEBデザイナー、WEBディレクターは様々なケースに合わせて最適なセールス手法を画像やテキストで作り上げるのだ。WEBサイトは何千人、時には何万人ものユーザーに対して「何かを売る」ため、通常、店舗などでは対面で行われるノウハウを全てのユーザーに対して的確に実施しなければならない。セールスのノウハウは「買う側の気持ちを理解し、誘導する」という点でコンテンツのデザイン能力に大きな影響を及ぼす。

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また、WEBディレクターは自身の企画をクライアントへ売り込み、実現する必要もある。セールススキルが無くては良いWEBサイトは生まれない。

様々な専門的スキルが必要とされるWEBデザイナーとWEBディレクターだが、スキルだけでなく、常に多様な業種の案件を扱い、製品やサービスを売るために、幅広い知識が要求される。ユーザーを理解し、消費者にメリットのあるWEBサイトを作るためにはスペシャリストであり、ジェネラリストでもある事が大変重要なのだ。

次回はCRMを活用したバズ・マーケティングについて説明する。

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