Webを使ってセールスを行う方法は主に二つある。一つはECとそれに伴うセールスプロモーション。二つ目は実店舗のセールスを促すメールによるダイレクトマーケティングである。
このメールマーケティングの重要性が多くの企業から見直されつつある。従来のダイレクトマーケティングの手法よりコストと効果の面で優れている点があるのだ。
メールマーケティングのメリット
例えば10万人にDMを送ったとしよう。従来の紙媒体によるDMの場合、印刷、発送の費用は安くても800~1000万円程となる。しかし、Webを活用したメールによるDMの場合、10万人の顧客データをCRMシステムに保存し、メールを送信しても月間35万円程で済む。しかも大抵のサービスでは何度でもメールの送信が可能だ。このコストの差には圧倒的なものがある。
もう一つの大きな点は見込顧客のターゲティングである。顧客データを一括して管理することで個々に最適なダイレクトアプローチが可能となる。収入、家族構成、商品に対する好みなどの属性はもちろん、インターネットの利用動向、日常の行動パターンなどから購買誘導に最適な情報とタイミングを算出することができる。セグメントされた顧客グループに対して個別の広告(バリエーション)を制作するコストもメールは従来の紙媒体によるDMより低いと言えよう。
買わない人は買わない
詳細なターゲティングにかかる労力・コストが低い事こそがメールマーケティングの最大のメリットである。ニーズ、興味、または購入機会が無い消費者はまず買ってはくれない。こういった消費者に対し啓蒙活動を行い、製品を売り込んでも費用対効果は非常に低い。セールスの費用対効果を向上させるには「買う」人にフォーカスしてアプローチをすれば良い。購入までのプロセスには様々な障害があり、気まぐれな消費者はすぐに離脱してしまう。購買の見込みが高い消費者も簡単に購買を延期し、他のブランドにスイッチするのだ。このような見込み客の購買回避を防止する事が最も費用対効果の高いダイレクトマーケティングにつながる。
「買う」人とタイミングの抽出
では、どのように「買う」人とタイミングを抽出すれば良いのか? 対象となる商品によって異なるが、大体は消費者の好み(プレファレンス)、購買動機(モティベーション)、購買行動(アクション)についての情報を取得すれば可能である。
対象となる商品が持つ長所、短所、特徴が購買動機にどのような影響を与えるかを問いかける。これは特徴をリストアップし、段階的に点数を付けさせれば良いだろう。購買動機にはどのような目的で商品購入を行っているかを問う。プルダウンで良いだろうが、消費者が自身、そして他人に対し購入する全ての動機を網羅しておく必要がある。また、購買行動については日常的にいつ、どの様なタイミングで販売チャネルへのアクセスを行っているかを問いかける。
これらの情報を基に見込みが高い消費者、送るべき情報、そして最適なタイミングを知ることができる。大体の場合はモバイルへの送信が有効だろう。モバイルは購買機会に近い(外にいる)消費者にアプローチできるだけでなく、メールの開封率も高い。開封率を更に上げるには様々な方法があるが、最も有効なのはユーザーのニーズを知ることだろう。件名に明確なユーザーメリットを記載し、有益な情報として広告を見てもらう事を心がけよう。
ダイレクトマーケティングに対するWEBサイトの最適化
効率的なダイレクトマーケティングを行うためには消費者のセグメントが重要である。より多くのユーザーをマーケティング活用のために分類するには、正しいWebサイトの設計が不可欠だ。
フォームへの誘導を行う際はインセンティブを明記し、登録のプロセスを「面倒」と感じさせない事。アンケート項目を最小限に留め、フリー入力を避ける。また、フォームが長くなってしまう場合は分割し、最初にメールアドレスとメールマガジンにパーミッションだけを聞くことも良いだろう。
メールマーケティングの活用とマス広告の役割
メールマーケティングの費用対効果はデータベース登録者数の増加とともに向上する。広告を通じて登録者を集客すれば単発的な投資が継続的なリターンを生み出す。消費者の特徴に最適化されたメールマーケティングを活用し、広告のROI(投資利益率)を重視すればマスへの広告の役割変わってくる。ターゲティングができない半面、新規接触人数が圧倒的に多いマス広告は効果の薄い購買動機付けから個人情報の登録を促す集客にシフトするべきである。
次回は、引き続きメールマーケティングから、さらに情報収集に向けた転換率を高める具体的なWebサイトの最適化と設計について説明する。