今回は、西海岸にて開催される中小企業事業者主向けのネット活用セミナーのレポートをお届けします。
ビジネスセミナーシリーズ
アメリカではビジネスマンや会社経営者向けのセミナーが多くあります。 政府の中小企業支援機関(SBA)が主催する、平日の夜間を中心に行われる2時間程のものや、経営者が集まりカジュアルな雰囲気の中でディスカッションをするものまで、各種のイベント/セミナーがほぼ毎日といってよいほど開かれています。
その中でも、近年のネットテクノロジーを活用して既存のビジネスに役立てる事を目的とするセミナーの数も増えてきました。
2回目の開催となるBizTechDay
今回ご紹介するのは、年に一度、2日間を通して行われるセミナーイベントBizTechDayです。このイベントの趣旨は今まであまりインターネットをビジネスに活用していなかった中小企業の経営者向けに、複数のテーマによるセミナーを提供し、売り上げの向上やコストの削減等に関する知識や方法論を会得してもらうところにあります。
開催は去年に引き続き今年で2回目で、10月22~23日にサンフランシスコ空港付近のハイアットホテルにて行われ、参加者は2,000人以上を記録しました。2日を通しての入場料は$800で、3部屋を利用し朝の9時から6時まで開催。内容は複数の著名ゲストによるパネルディスカッションや、各フィールドのスペシャリストによる約40のセミナーが中心です。
主なセミナー内容とスピーカーは下記の通り。
表 主なセミナー内容
ソーシャルメディアを利用したブランド構築 |
ビデオコンテンツを活用した集客向上方法 |
オンラインを活用したバーチャル会社構築方法 |
Facebookを活用した集客向上方法 |
Twitterにおける成功事例紹介 |
ビジネスを始めるにあたっての心構え |
メディアを活用したPR戦略 |
ネットを使ったVC投資獲得方法 |
Twitterを使ったお金儲けの方法 |
オンラインコミュニティー構築方法 |
ヒットするiPhoneアプリ作成方法 |
バーチャル会社構築方法
上記のセミナーの中では、オンラインを活用したバーチャル会社構築方法が興味深いです。「会社にはオフィスは必要ない」がポリシーのWordPress創始者のマットを中心に、ネットを活用し、世界中の優秀な人材を集める方法論に関するディスカッション。ベストセラー著者のティモシーフェリス は、「自分の会社の従業員は1人も会ったことがないよ。でもそのおかげで、自分は1週間に4時間しか働かなくて良いんだ。なるべく多くの決定権を遠方にいるスタッフに与えることで、自分は好きな場所でたまにメールをチェックし、わずかな決定を下すだけ。メールの返信内容も4つのカテゴリに分けてあり、定型文を利用して送信するのみ」とのこと。
世界中にいる従業員を見つける為のオンラインサービス、ElanceとoDeskの各CEOはその魅力について説明。ちゃんと仕事をしているかをチェックするために、ランダムで6時間に一度作業をしているスタッフのスクリーンショットを取る機能や、完全成功報酬制を活用したバーチャル従業員の雇用方法等、やや極論とも思えた内容でしたが、テクノロジーの進化により、既存の会社形態は少しずつ変化し始めている事が伝わる内容でした。
Twitter活用
また、Twitterの活用方法関連のセミナーでは、どのような情報をどのタイミングで配信するべきかや、何人のフォロワーを獲得すれば良いかなどの成功事例を紹介。DiggのCEO ケビン ローズによると、重要なのはフォロワーの数ではなく、その質であること。具体的には、1,000人獲得すれば、それ以上はあまり差がないということでした。
ユニークな活用例として、出先の空港でパソコンのアダプタを忘れたことに気づき、Twitter経由で貸してくれる人を捜している旨を配信、数分後に同じターミナルにいた人から譲ってもらったエピソード等を紹介。ビジネスの活用方法の基本は、なるべく有益な情報を配信すること、それも火曜日か木曜日の午前中が一番読まれる可能性が高い。割引クーポン等を配信する際には、数日前に告知を行っておくことなど。
Twitterの活用方法に関しては、まだまだ未開拓のエリアもあるために、オーディエンスも興味津々の様子。ステージ上の若き成功者に対して、年配のビジネスマン達が耳を傾ける姿も、シリコンバレーでは良くある光景。
豪華な顔ぶれのスピーカー陣
このイベントの特筆すべき点は、普段はなかなかお目にかかることが難しいような、かなり著名なスピーカーが集まっている点だと思います。シリコンバレーという地の利を活かして、世界的に活躍している方たちに参加してもらうことにより、多くの注目を集めました。そのスピーカーたちのセミナーが2日を通して、一度に受けられるということもあり、とても魅力的なものとなっているのです。
それ以上に凄いのは、セミナーの後、ゲストスピーカーと気楽に話ができる点。午後6時以降は、ホテルのラウンジでカクテルパーテーィが開かれ、個人的なコネクションを構築するには最適のチャンスになっています。
イベント主催者と筆者
このイベントを主催した団体の代表は中国系アメリカ人のイーデス ヤングさん。彼女は元々オラクルでプロダクトマネージャーをしていました。2007年より、オフ会告知サイトmeetup.com上で、サンフランシスコ/シリコンバレー付近での起業家のコミュニティーを開始し、現在では、BizTechDayの他にも各種イベントを企画運営する複数の団体の代表として活躍しています。
筆者が代表を務めるビートラックス社では、BizTechDayのロゴの制作、Webサイトに関するコンサルティング、当日の写真撮影およびソーシャルメディア戦略に関してのデザイン作業を提供しています。またイベント当日はゲストスピーカーの1人として、日本を始めとしたアジア市場に進出する際のポイントを説明しました。