いま、見ておきたいウェブサイト

第19回9-9-9-9-9 PROJECT、ワールドサッカー ウイニングイレブン2010、The PUMA Index

中秋の名月でお月見団子を味わいながら、毎年行っている紅葉撮影の準備を始めた今日このごろ、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回も個人的に感じた、素晴らしいサイトの特徴をいくつかお話したいと思います。

CDは別世界へのチケット

『9-9-9-9-9 PROJECT』

2009年9月9日に発売された、城隆之さんによるソロ・ユニット no.9(ナンバーナイン)のアルバム「http://9-9-9-9-9.com」と連動したウェブサイト『9-9-9-9-9 PROJECT』です。

図1 ウェブサイトのURLとCDのタイトルが同じ
図1 ウェブサイトのURLとCDのタイトルが同じ
credit: 1-10design, michi

ウェブサイトでは⁠CDだけでもwebだけでも完成しない作品⁠⁠ であるアルバム「http://9-9-9-9-9.com」を完成させるための言葉や写真、ライブ映像やアルバム未収録曲のダウンロードなどが用意されています。

図2 アルバムに関連するコンテンツを用意
図2 アルバムに関連するコンテンツを用意

「TAP TEMPO」では、アルバムに収録された曲を聴きながらリズムに合わせてマウスをクリックすると、聴いている曲を自動的に判別して、その曲に合ったビジュアルの表示と音の追加で新しい音風景を描いていきます。

図3 ビジュアルと音が楽曲と融合する
図3 ビジュアルと音が楽曲と融合する

中には映像だけでなく、キーボードを使って自分で音を追加できるものもあり、非常にバラエティに富んだ表現が楽しめるウェブサイトになっています。

買いたくなる条件を作る

『9-9-9-9-9 PROJECT』では、⁠CDだけでもwebだけでも完成しない作品⁠というコンセプトから、CDを購入して、曲を聴きながらウェブサイトにアクセスしなければ完成しない体験(=曲を聴いている人だけがウェブサイト上のビジュアルを理解できる)を提供することで、CDの購入を促しています。

近年、AppleのiTunes Storeに代表されるような、インターネットや携帯電話を利用した有料音楽配信サービスの普及によって、手軽に楽曲がダウンロード購入できるようになりました。ただし、その結果として「CDのパッケージを購入する理由がなかなか見つからない」のも事実です。

「本当の体験をするにはCDが必要」という一定の条件を設定することで、ウェブサイトとCDを連動させるという『9-9-9-9-9 PROJECT』の取り組みは非常にユニークだと思います。⁠CDをどうしても購入したい」と思わせるために、ユーザーに何を提供するのか。また、そのためにウェブサイトをどう使っていくのか、今後も注目していきたいと思います。

ユーザーが広げるおもしろさ

『ワールドサッカー ウイニングイレブン2010』

2009年11月5日にKONAMI株式会社が発売する家庭用ゲームソフト「ワールドサッカー ウイニングイレブン2010」の公式サイトです。

図4 
図4 
credit: Konami Digital Entertainment

よりリアルなサッカーゲームを追求して、大幅に増加した選手のモーションやグラフィックの強化、新たな操作方法の導入など、ゲームの内容をさまざまなコンテンツを用意して紹介しています。

図5 動画で新要素が確認できる『FEEL THE NEXT STAGE』
図5 動画で新要素が確認できる『FEEL THE NEXT STAGE』

新たに追加された要素やシステムについては、実際のゲーム画面や選手の動きを動画で確認できるスペシャルサイトFEEL THE NEXT STAGEを立ち上げて詳しく解説しています。

誰が世の中に広めてくれるのか

「ワールドサッカー ウイニングイレブン2010」の公式サイトでは、Blogなどで使用可能なゲームに関する画像のセットがダウンロードできますが、中でも注目したのがフォーメーション ジェネレーターという、実際のゲームシステムをシミュレーションして、使用している選手やフォーメーションなどの情報を画像で書き出せるサービスです。

図6 選手情報などを画像で書き出せる「フォーメーション ジェネレーター」
図6 選手情報などを画像で書き出せる「フォーメーション ジェネレーター」

書き出した画像を使用する場面としてBlogやSNSなどを想定しているようですが、個人の情報発信の力を利用して、実際に「ウイニングイレブン2010」に関する記事などをユーザーに書いてもらうことで、⁠ゲームのおもしろさや奥深さを、実際のユーザー目線で伝えてもらい、広めていこう」とする考えが見えてきます。

最近はブログパーツを提供するウェブサイトが多く見られますが、Blogに設置するだけでは商品やサービスを認知させ、情報を共有させるのはなかなか難しいと思います。ウェブサイトを通じて世の中にどう広めていくのか、新たな工夫や画期的な方法が今後も生まれてくることに期待したいと思います。

毎日変化するコンテンツ

『The PUMA Index』

ドイツの世界的スポーツ用品企業PUMAによる、アメリカのDOW、ドイツのDAX、オーストラリアのASX_200という各国の代表的な株価指数を利用したウェブサイト『The PUMA Index』です。

図7 ウェブサイトでは株価指数を利用している
図7 ウェブサイトでは株価指数を利用している
credit: Droga5

"So if you lose your shirt, at least they do too.(もし、あなたが一文無しになったら、少なくとも彼らもそうします)"とウェブサイトのトップに書かれているように、PUMAの2009秋冬コレクションを身につけた男女のモデルが、株価指数が上がると服を着込み、下がると脱いでいくという単純な仕組みになっています。

図8 株価指数に応じて、モデルが服を着たり脱いだりする

また、このウェブサイトと同じ仕組みのiPhoneアプリも用意されており、その画面を店舗で見せると20%の値引きを受けられます(アメリカの店舗のみ⁠⁠。

図9 iPhoneアプリも用意されている
図9 iPhoneアプリも用意されている

最小の手間で最大の効果

ウェブサイトをユーザーが訪問する回数を増やす方法として、⁠ウェブサイト上の変化が頻繁に起きること」がよく挙げられますが、頻繁な更新やコンテンツの追加・変更など、毎日のようにウェブサイトに変化をもたらすことは手間がかかるだけでなく、なかなか難しいことです。

この『The PUMA Index』では、コンテンツを頻繁に変化させてユーザーをウェブサイトに誘導させています。しかも、コンテンツの内容を変化させるのに、毎日変動のある株価指数を使うことで、必要な手間も最小化されています。

最小の手間で最大の効果を上げる方法を作り上げるにはどうしたらよいのか。生活の中で日々変化するものを上手に利用したウェブサイトをこれからも期待したいと思います。

というわけで、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。それでは次回をおたのしみに。

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