いま、見ておきたいウェブサイト

第42回Google Instant、Take on the Machine、LUCKY COUNTER - UNIQLO

肌寒く感じたり、冷たい飲み物や氷菓を欲しがる気持ちが薄れたり、夏から秋への季節の変化を感じる今日このごろ、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回も個人的に感じた、素晴らしいサイトの特徴をいくつかお話したいと思います。

大きく変化する検索のルール

Google Instant

Googleが発表した⁠検索語を入力している最中から自動的に検索を実行する新機能⁠⁠、⁠Google Instant」のウェブサイトです。

図1 今までの検索のかたちを大きく変える「Google Instant」
図1 今までの検索のかたちを大きく変える「Google Instant」

検索窓にキーワードを入力し始めると、一文字入力するごとに、入力候補となるキーワードがリアルタイムで現れ、同時に画面に表示される検索結果が次々と変化していくという機能です。

「Google Instant」の仕組みを説明した動画

Googleはこの新機能のメリットとして「正確なスペルがわからなくても、候補のなかからキーワードを選べる」ことや、⁠キーワードを入力し終える前に検索結果が表示されるため、2?5秒の検索時間の短縮が可能」と述べており、まずはアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ロシアの7か国でサービスが開始されます。

“無意識”の中に埋まっているもの

数か月以内に日本でもサービスが始まる「Google Instant」ですが、すでにこの機能が提供されている海外ではYouTube InstantiTunes Instantなど、この検索の仕組みを利用したウェブサービスが短期間で生まれており、大きな影響を与えているようです。

図2 ⁠YouTube Instant』のような「Google Instant」に影響を受けたウェブサービスが生まれている
図2 『YouTube Instant』のような「Google Instant」に影響を受けたウェブサービスが生まれている

特に「キーワードが入力された瞬間に、検索結果が表示される」という仕組みは、⁠検索ボタンを用意する必要がなくなる⁠可能性を秘めており、非常に斬新ではないでしょうか。⁠キーワードを入力し、検索ボタンを押すと検索結果が表示される」という、日常生活で誰もが無意識に行っている検索の方法がこれから大きく変わっていくでしょう。

ユーザーが今まで行っていた「ボタンを押して検索する」意味を問いかけているようなこの仕組み。誰もが⁠当たり前⁠だと思っていることの中に、新しく大きな変化をもたらすものが埋まっているのかもしれません。

“見えないハンドル”で車を操作

Take on the Machine

北米で展開されているTOYOTAの若者向けスポーツクーペ、⁠Scion tC」のキャンペーンサイト『Take on the Machine』です。

『Take on the Machine』の流れを説明した動画
credit:ATTIKNorth Kingdom

自分の操縦する「Scion tC」を選択後、ウェブサイトに用意されたARマーカーをプリンターで印刷します。ユーザーは印刷されたARマーカーをハンドルにして、車を操縦しながらゲームを楽しむという仕組みです。

図3 車の操縦に使うARマーカーの形も凝っている
図3 車の操縦に使うARマーカーの形も凝っている

ARマーカーを印刷しなくても、キーボードの操作でゲームを楽しむこともできますが、ARマーカーのデザインやゲーム中のきびきびとした操作感覚など、非常にレベルの高いドライビングゲームに仕上がっていますので、ぜひ一度、ARマーカーを印刷して体験してもらいたいと思います。

ARで何を提供するのか

「ドライビングゲームで車を操作するのに最適なコントローラーは何か?」と尋ねれば、誰もが「ハンドル型」と回答するでしょう。実際の車を運転するのと同じ操作でゲーム内の車を操作できるのですから、そのメリットは計り知れません。

しかし、誰もが「ハンドル型」のコントローラーを用意することは難しいでしょう。⁠Take on the Machine』では、そのハンドル型のコントローラーを「ARマーカーで作ってユーザーに提供しよう」と考え、最終的に実際のゲーム内で違和感なく使えるレベルにまで仕上げています。

このようにARマーカーを使ってユーザーがアクションを楽しめる事例も登場するなど、一時期のような⁠現実世界に何かを投影するだけ⁠といった、AR技術使用優先型のキャンペーンもだいぶ少なくなりました。ARの表示精度の向上や専用マーカーを使用しないAR技術も登場しており、今後はARを使うためのアイデアや目的がしっかり考えられ、多彩な表現を持ったウェブサイトがどんどん登場してきそうです。

ツイートすれば、値下げします

LUCKY COUNTER - UNIQLO

UNIQLO UKのオンラインストアのリニューアル準備中に実施された、Twitterを使ったキャンペーンサイト『LUCKY COUNTER』です。

図4 Twitterを上手に使ったUNIQLO UKのキャンペーンサイト
図4 Twitterを上手に使ったUNIQLO UKのキャンペーンサイト

キャンペーンサイトでは、Tシャツやジーンズなど、UNIQLOが扱っている10個のアイテムが表示されています。ユーザーは自分の欲しいアイテムを選択して、Twitterを使ってそのアイテムに関するツイートを行うと、選択したアイテムがどんどん値下げされていくという仕組みです。

図5 ツイートされる度にアイテムの価格がどんどん下がっていく
図5 ツイートされる度にアイテムの価格がどんどん下がっていく

2010年9月9日まで行われたこのプロモーションでは、結局、用意されたすべてのアイテムが最安値まで到達しました。その後、リニューアルオープンしたオンラインストアでは、⁠LUCKY COUNTER』で確定した価格で各アイテムが販売されました。

“誰もが持つ”ものを利用する

最安値が設定されているものの、ツイートすればするほど、自分の欲しいアイテムがどんどん安くなる『LUCKY COUNTER』では、とにかく他人をキャンペーンに巻き込みたくなります。この他人に広めながらキャンペーンへと誘う手段として、Twitterが上手に利用されています。

また「商品を購入する人が増えるほど価格が下がる」というネットショップの共同購入もそうですが、この『LUCKY COUNTER』は、それ以上に⁠欲⁠を見事に刺激したキャンペーンだと思います。人間なら誰もが持つものを利用するため、言葉や国も簡単に飛び越え、グローバルな展開が可能でしょう。果たして、韓国のUNIQLOではこのキャンペーンがすでに始まっています(9月17日から23日まで⁠⁠。

図6 韓国のUNIQLOでも同様のキャンペーンが行われた
図6 韓国のUNIQLOでも同様のキャンペーンが行われた

最近では「企業がアカウントをフォローさせて、抽選で商品が当たる」といったTwitterのキャンペーンを多く見かけるようになりました。その中でも『LUCKY COUNTER』が実現した、誰もが持つ⁠欲⁠を上手に利用する仕掛けはとても素晴らしいと思います。Twitterを使った面白いキャンペーンは、今後もまだまだ生まれてきそうです。

というわけで、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。それでは次回をおたのしみに。

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