ゴールデンウィークも終了し、さわやかな風とともにやる気がみなぎってくるような今日このごろ、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回も個人的に感じた、素晴らしいサイトの特徴をいくつかお話したいと思います。
世界からのメッセージを、日本語で
東日本大震災の被災地に向けた応援メッセージを世界中から募集するという、Google Japanによるプロジェクト『Messages for Japan』です。
『Messages for Japan』では、世界中からさまざまな言語で書かれた応援メッセージを受け付けており、メッセージが投稿されると、Google 翻訳によって自動的に日本語に翻訳されます。
翻訳されたメッセージは、ウェブサイト上でまとめて確認できるほか、世界地図上に投稿されたメッセージが表示されます。Google Japan Blogによれば、「今後、オンライン以外の方法で、日本の皆さんにお届けすることも検討しています」とのことです。
「日本語に翻訳する」という意味
震災後、世界中の人々からの暖かいメッセージが日本の被災者へと発信されています。とはいえ、多くの日本人には、日本語以外の言語で書かれたメッセージの中身を理解することはなかなか難しいことです。
『Messages for Japan』では、自動翻訳によって、さまざまな言語で書かれたメッセージが日本語になります。もちろん、自動翻訳ですから、流ちょうな日本語ではありません。一読しただけでは、正直よくわからない文章も多数存在しています。
それでも日本語の文章になれば、投稿されたメッセージの行間から、メッセージに込められた感情や意味を感じ取れます。文法の崩れた、たどたどしい文章であろうとも、相手の理解できる言語で伝えることで、お互いに深く感情を共有できるコミュニケーションが始まるということを改めて思い知らされた事例でもありました。
自分を知るためのタイムマシン
写真やビデオ、音楽やツイートなど、オンライン上のさまざまなウェブサービスに散乱しているコンテンツを、時系列でまとめて閲覧できるウェブサービス『Memolane』です。
『Memolane』では、ユーザーが利用している各種ウェブサービス(Twitter、Facebook、YouTube、Instagr.am、Foursquareなど)からコンテンツを取り込み、その後、横にスクロールする時間軸(一日単位)に並べて表示してくれます。表示されたコンテンツをクリックすることで、オリジナルのコンテンツへと移動します。
画面の下部には大量に並べられたコンテンツをユーザーが自由に移動できるよう、「timeline bar」と名付けられた、自由に時間軸を移動できるインターフェースが用意されています。また、自分の『Memolane』を友人と共有できるほか、ウェブサービスごとに公開・非公開の設定も可能です。
「ライフログ」による変化
人間の行動をデジタルデータとして記録していく「ライフログ」という言葉を耳にすることも多くなってきましたが、生活の中でユーザー自身が行動を記録していくのは、なかなか難しいことでしょう。しかし、長期間に渡ってデータが記録されなければ、「ライフログ」の意味はありません。このため最近では、より簡単にデータを記録するためのライフログサービスも生まれています。
その一つである『Daytum』では、自分に関するデータを毎日収集・分類して、図やグラフなどの形で提供してくれます。日常のデータ(トレーニングや外食の回数、読んだ本の冊数など)を記録して視覚化されることで、自分の習慣を客観的に判断しながら、今後の行動に生かすこともできます。
日々の生活で携帯電話などを利用することは、いまや当たり前となっています。今後、モバイル通信の環境が整い、人と端末が同じ場所と時間を共有することで、より詳細なデータが収集できるようになるでしょう。そうして集められたデータによって、生活や意識はどう変化するのか、どんなサービスが生まれてくるのか、非常に興味深いところです。
本当に欲しいもの、伝えます
Amazon.co.jpが開始した、被災地に必要な物資を届けるためのプロジェクト、『たすけあおうNippon 東日本大震災 ほしい物リスト』です。
東日本大震災によって被災した地域からの要請を受け、実際に現地で必要としているAmazon.co.jpの商品が、「ほしい物リスト」によってまとめられています。ユーザーは各被災地の「ほしい物リスト」から商品を購入することで、簡単かつ確実に被災地に必要な物資を届けられるという仕組みです。
被災地の「ほしい物リスト」は随時追加されており、ユーザーからの意見によって、頻繁に改良が加えられています。このほかにもAmazon.co.jpでは、MP3や壁紙の購入による義援金や、被災地域で生産される商品を集めた特集ページを公開するなどの支援を行っています。
変化する需給にどう対応するか
東日本大震災後の初期段階では、どの被災地でも不足している物資として、食べ物や毛布などが挙げられていました。やがて、物流が回復して物資の必要量が確保されると、被災地で必要とされる物資の種類や数が、被災の程度とその復旧の度合いに応じて変化してきました。
そのため「被災地で必要な物資が届かない」、あるいは「まったく需要のない物資が届けられる」といった、“需要と供給のミスマッチ”が各地で起こり始めており(例:「ランドセルが大量に余る」、「行き場のない救援物資」)、その急速な需給の変化に、被災地側も支援側も対応できていないのが現状ではないでしょうか。
Amazon.co.jpの「ほしい物リスト」では、被災地で必要なものが明確になることで、実際に物資として何を届ければよいのかを支援する側が考える必要がなくなります。さらに購入した商品は、単なる善意ではなく、被災地で確実に使用される物資となります。
震災による被害が非常に広範囲なこと、各自治体が壊滅的な被害を受けていることを考えれば、“被災地からのニーズに合わせた細やかな物資の提供”が今後は支援する側に求められることでしょう。そのための仕組みづくりでインターネットがどう利用されていくのか、非常に興味深いところです。
というわけで、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。それでは次回をおたのしみに。