朝晩の寒さに対抗するため、こたつを設置し、暖まりながら「日本に生まれて良かった」とつぶやいてしまう今日このごろ、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回も個人的に感じた、素晴らしいサイトの特徴をいくつかお話したいと思います。
"さりげない"ソーシャル化
TOYOTAが第42回東京モーターショー2011に出展する、小型FRスポーツカーのプロトタイプモデル「86(ハチロク)」の公式サイト、『TOYOTA 86 PROTOTYPE MODEL for TOKYO MOTOR SHOW 2011』です。
ウェブサイトのトップでは「86」の各部・装備の画像が表示されますが、これらはFacebookのユーザーによる「Like!(いいね!)」の数に応じて、表示領域の大きさが決まっています。また、各画像の上にマウスを合わせると、Facebookから寄せられたコメントが表示されます。
「ソーシャルカタログ」という名前の通り、「86」のデザインや装備など、かなり細分化された項目にまで、ユーザーが「Like!」できるようになっているのが特徴です。
"当たり前"のその次へ
このウェブサイトの制作に携わっているnuuoの林智彦さんは、Twitterで「スペシャルコンテンツを作るのではなく、「一番みられるベーシックなco.jpサイトをソーシャル化する」「車種公式ページをFBで展開する」(実はまだあまりない)の実現に注力しました。」と述べています。
その言葉通り、『TOYOTA 86 PROTOTYPE MODEL for TOKYO MOTOR SHOW 2011』は、あくまで、企業のウェブサイト内における「コンテンツのひとつ」であり、スペシャルサイトのような特別な作りとなっていません。
このように、ソーシャルメディアの存在を特別視する必要がないのは、すでにユーザーの生活の中に自然に入り込んでいるからでしょう。ウェブサイトの前面に、自慢げにソーシャルメディアへの対応を押し出しながら表現することは、もう必要ないのかもしれません。
ソーシャルメディアの性質を最大限に引き出す方法として、新しい形を提案しているこのウェブサイト。これからは、ユーザーが意識しない、より自然なソーシャルメディアの使われ方が試行錯誤されていくのかもしれません。
すべてのクリエイティブ、まとめました
2008年からUNIQLOが行ってきた、広告やグラフィックデザインが集められたウェブサイト、『UNIQLO CREATIVE』です。
ウェブサイトだけでなく、店舗の空間設計やタイポグラフィ、パッケージや情報デザインなど、UNIQLOが展開してきた、多岐にわたるクリエイティブを集めたアーカイブサイトとなっています。
アーカイブから、見えるもの
以前から、UNIQLOは「スペシャルプロジェクト」というコンテンツを用意しています。ここでは、ウェブ上におけるスペシャルサイトやクリエイティブプロジェクトのみが紹介されています。
『UNIQLO CREATIVE』では、こうした「ウェブ上」という制限を取り払って、UNIQLOが行っているすべてのクリエイティブを紹介しています。
このコンテンツから見えてくるものは、UNIQLOにおける"デザインの基準"です。明確な考えを基に、一貫したクリエイティブを行ってきたという"自信"がなければ、こうしたコンテンツは作れないでしょう。
個人的には、画像中心の内容であるため、ウェブサイトの動きが確認できないことが残念ですが、それでも企業側のこうした動きは大歓迎です。今後、自信をもって積み上げてきたコンテンツを、アーカイブとして公開する企業が増えてくることを期待したいと思います。
"見えない車"を奪い合え!
2011年12月3日から9日間、東京23区を舞台に開催されるMINIのプロモーション、「MINI COUPÉ ハンティング大作戦」のウェブサイトです。
ユーザー同士が、各種スマートフォン用に用意されたアプリを使って、画面上に表示される「バーチャルMINI Coupé」を、半径50m内でハンティング(奪い合い)するというゲームが開催されます。
9日間のゲームが終了したとき(12月11日の13時)、「バーチャルMINI Coupé」を所持しているユーザーには、なんと、本物がプレゼントされるということです。
"海外直輸入"のプロモーション
この「MINI COUPÉ ハンティング大作戦」というプロモーションは、ちょうど一年前にスウェーデンの首都ストックホルムで実施された、「MINI Getaway Stockholm 2010」の日本語版とでも言うべきものです。
「MINI Getaway Stockholm 2010」は、Cannes Lionsのサイバー部門で金賞を獲得するなど、非常に高い評価を受けたプロモーションでした。つまり、高評価を受けた海外のプロモーションが、そのまま日本国内へと"直輸入される"可能性があることを示しています。
今までなら、一歩引いた位置から「海外の事例」だと眺めていた企画・制作側や、海外の面白そうなプロモーションを見ながらあきらめていたユーザー側にも、大きな変化が出てきそうです。
今後、こうした事例が日本でも増加すると考えれば、海外のプロモーションに関して、より注目度が高まるでしょう。もちろん、これとは逆に、日本で高い評価を得て、海外へと広がっていくプロモーションが、これから増えていくことも期待したいと思います。
というわけで、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。それでは次回をおたのしみに。