水道の蛇口から流れる水の冷たさに、本格的な冬の到来を感じる今日このごろ、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回も個人的に感じた、素晴らしいサイトの特徴をいくつかお話したいと思います。
未来は、横へと続く
国際派女優として有名な、菊地凛子さんの公式ウェブサイト『Rinko Kikuchi』です。
さまざまなジャンルで活躍する菊地凛子さんの最新情報(映画やファッション関連、有名人とのコラボレーションなど)を、非常に長い横スクロールで展開していく構成になっています。
新たな操作方法は、ウェブサイトを変えるか
各種コンテンツを配置するウェブサイトの横幅は、訪問するユーザーのさまざまなデータ(デバイスや画面解像度など)を利用して決定されます。この横幅からはみ出さないよう、縦方向へと各種コンテンツを配置するのが、現在の一般的なウェブサイトの制作方法となっています。
また、マウスに備わっているスクロールホイールの動きを考えれば、ウェブサイトがスクロールしていく方向は、自然と"縦方向"に決まるでしょう。そのため、ユーザーに面倒な横スクロールを行わせるウェブサイトは、あまり多くありませんでした。
こうした中、「コンテンツが見づらい」ということで敬遠されてきた、横に長く伸びていくウェブサイトがじわじわと増えています。アメリカにあるUVオフセット印刷(紫外線で硬化するインキを使用した高速かつ鮮明な印刷方法)専門会社「UpFront World」のウェブサイトも、制作実績が横に長く並べられた構造になっています。
横スクロールを行わせるウェブサイトが増えてきた原因は、タブレット端末やスマートフォンの普及にあると、個人的には考えています。これらのデバイスの特徴的な操作方法であるスワイプ(画面上で指を滑らせる操作)を利用すれば、横に長い構造を持つウェブサイトも、違和感なく閲覧できるからです。新しい操作方法によって、今までにない視点からのウェブサイトが生まれてくるのか、注視していきたいと思います。
ネットでレンタル、始めました
映画の日でもある2011年12月1日からスタートした、映画などをレンタル形式で楽しめるYouTubeの有料視聴サービス、『映画 - YouTube』です。
国内外の200本以上の作品が視聴できます(一部、無料作品あり)。料金(新作400円、旧作300円)の支払いは、Googleが提供するオンライン決済サービス「Google Wallet」で行われ、再生開始から24-72時間でレンタル期間が終了するという仕組みです。
現時点では、映像の解像度が「標準画質(SD画質)」のみとなっていますが、今後HD画質にも対応する予定とのことです。
出揃った、個性豊かな動画配信サービス
この発表の半月前には、「ニコニコ動画」でも、公式動画配信サイト「ニコニコチャンネル」に「映画」カテゴリーが追加され、有料での映画配信サービスが開始されました。
こちらでは、ビデオオンデマンド(VOD)型の視聴システムに加え、EST(Electric Sell Through)型と呼ばれる、購入すると無期限で視聴できるサービスや、「ニコニコ動画」の特性を生かした、複数ユーザーで同時に映画を楽しむイベント「ニコニコ映画上映会」も用意されています。
先日紹介した、月額1,480円ですべての作品が見放題となる「Hulu」も含め、2011年の後半になって、日本でもようやくインターネットを活用した有料動画配信サービスの選択肢が出揃ったなと感じています。
今後は、ユーザーが自分の好みや生活スタイルに合わせて、自分に合った動画配信サービスを選択できるでしょう。新しいサービスが、インターネットとは無縁だった既存のレンタルサービスにどんな影響を与えるのか。また、映画が好きな人たちの日常をどう変えていくのか、本当に興味が尽きません。
頑張る人たちの冬物語
冬の寒さの中で頑張る人たちへ「ヒートテック」を贈るという、UNIQLOの「新ヒートテック10万人応援プロジェクト」のスペシャルコンテンツ、『UNIQLO 新ヒートテック「10万人応援プロジェクト」』です。
このプロジェクトでUNIQLOの「新ヒートテック」を受け取ったユーザーの声と、酪農家やリンゴ農家、フラワーコーディネーターやホテルのフロントマンなど、「新ヒートテック」を着用して厳しい冬の中で頑張る人たちの仕事現場が、馬場龍一郎さんの写真と石田多朗さんの音楽とともに、ストーリー形式で紹介されていきます。
注目される"個人"というコンテンツ
新ヒートテック「10万人応援プロジェクト」は、同じ仕事をする仲間を集めて、「仕事内容と、冬の寒さで大変なこと」を紹介する文章を添えて応募すると、UNIQLOの「新ヒートテック」が無料でプレゼントされるというもので、2011年11月30日まで募集が行われました。
このプロジェクトから得たフィードバックを、『UNIQLO 新ヒートテック「10万人応援プロジェクト」』というスペシャルコンテンツとして再構築し、「新ヒートテック」のプロモーションとして展開していく流れは、実に見事です。
それ以上に注目したいのが、「普通の人が主役」というプロモーションの内容です。UNIQLOのプロモーションでは、誰もが知っている有名人が起用されることが多いですが、自分のすぐそばで働いているような、身近に感じられる個人をテーマとしたコンテンツは、ユーザーの共感も得られやすいのではないでしょうか。
仕事に取り組んでいる一人ひとりに、物語があることを表現したこのコンテンツ。ソーシャルメディアが注目を集めるように、個人に焦点を当て、深く掘り下げることで、誰もがコンテンツの中心となる時代なのかもしれません。
というわけで、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。それでは次回をおたのしみに。