体の芯まで冷えるような寒さや、足下に残る積雪の跡など、数年ぶりに厳しい冬の寒さと厳しさを体験している今日このごろ、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回も個人的に感じた、素晴らしいウェブサイトの特徴をいくつかお話したいと思います。
レースの状況、お見せします
速報マップ|第88回箱根駅伝|日本テレビ(現在公開終了)
2012年1月2日、3日に開催された「第88回箱根駅伝」の位置情報ウェブサービス『速報マップ』です。
ランナーの後方を走る大会運営管理車の位置情報を、NTTドコモのAndroid端末のGPS(Global Positioning System)機能を利用して取得し、その情報をGoogleマップ上にリアルタイムで表示するという仕組みです。
テレビとネットの新たな関係
テレビは映像を利用することで、視聴者に実際の現場の雰囲気を伝えやすいという利点を持つメディアです。その反面、限られた画面の中で、映像と同時に多数の情報を提供するのは難しいメディアです。
このためテレビでは、データ放送をサポートすることで、こうした情報提供の弱点を補おうとしています。ですが、リモコンを使う操作方法や視聴者に提供する情報の見せ方など、使いづらい点が多いのが現状です。
この『速報マップ』では、テレビで「何分差」などと表示される各選手の現在位置を、Googleマップを利用して表示することで、わかりやすく伝えることに成功しています。特にスポーツ中継では、こうした周辺情報の提供が多いほど、視聴者が競技をより深く楽しめる機会を増やせます。
テレビで提供することが難しい情報をウェブサイト上で展開することで、視聴者に新たな体験を提供したこのコンテンツ。「テレビとネットの融合」などと以前から言われていますが、いまだに両者の長所を生かした解決方法は出てきていません。各メディアの長所を生かし、お互いを補完する形で、視聴者により深い体験を提示するこうした事例から、テレビとインターネットの新たな関係が進むことを期待しています。
世界中が舞台の写真コンテスト
2009年よりSanDiskが実施している「地球を記録に残したい。」キャンペーンの第3弾となるプロモーションサイト『SanDisk × 石川直樹 冒険なんて、どこにでもある。』内のスペシャルコンテンツ、『SanDisk Street Camera -今日、冒険に出かけよう。』です。
ユーザーはGoogleマップ上を自由に移動しながら、Googleストリートビュー内にあるお気に入りの風景を撮影していきます。フィルター処理などを行って仕上げた写真を使ってフォトコンテストが行われ、優秀者には賞品が送られます。
Googleストリートビューの多彩な使われ方
『SanDisk Street Camera』はGoogleストリートビューを利用していますが、世界遺産や観光の名所など、世界各地の風景が360度のパノラマ写真で公開されているこの仕組みを利用して、以前から面白い試みを行っている人たちもいます。
例えば、カナダのアーティストJon Rafmanは、Googleストリートビューで発見した画像を集めたTumblrのプロジェクトを公開しています。人々のなにげない日常や、興味深い状況など、Googleストリートビューの撮影時にたまたま映り込んだと思われる画像の数々が集められています。
また、アメリカのアーティストのAaron Hobsonによる、Googleストリートビューの写真を集めた美しいコレクションのように、一つの作品として成立するコンテンツも存在しています。
時間の調整や荷物の準備もなく、一瞬で世界中を移動できるという、Googleストリートビューの特徴を利用したコンテンツはこれからも登場しそうです。実験的なものも含め、こうした試行錯誤のなかから生まれる、驚くようなコンテンツを楽しみに待ちたいと思います。
画像でつなぐ、シンプルなコミュニケーション
ユーザーが、さまざまなテーマから選んだ「お気に入り画像のコレクション」を作成・管理できるオンラインピンボードサービス、『Pinterest』です
ユーザーは興味のあるカテゴリーを選び、その中にある好きな画像を追加(「Repin」)したり、用意されたブックマークレットを使って、インターネット上にある画像を追加(「Pin it」)したりして、お気に入りの画像を集めたピンボードを作成していきます。
また、同じような興味を持つ他のユーザーをフォローすることで、他のユーザーが選んだ画像を自分のピンボードにも表示できます。自分の所持している画像をアップロードすることも可能で、iPhoneアプリも提供されています。
コミュニケーションの単純化は進むか
アメリカの調査会社であるExperian Hitwiseによる調査結果(「1週間の訪問者数が、2011年6月からの半年で40倍に急増」)や、キャンペーンページを設ける企業が出てくるなど、注目されている『Pinterest』ですが、個人的には、あまり新しさを感じていません。
理由としては、こうした「気に入った画像」を利用したウェブサービスとして、昨年『instagram』が注目されたことや、特に日本国内では『FFFFOUND!』や『Sumally / browse items』といったコミュニティが、以前から存在していることが挙げられます。
むしろ注目しているのは、ウェブ上におけるコミュニケーションが、今までの「テキストベース」から「画像ベース」へと移行しつつあるのではないかという点です。「Blog」から「Twitter」への移行があったように、今後はシンプルで簡単、手間のかからない、気軽な形のコミュニケーションが、多くのユーザーをひきつけていくのではないでしょうか。
画像中心の『Pinterest』は、非常にシンプルなコミュニケーションを実現しています。今後、この流れがさらに進んでいくとき、コミュニケーションやソーシャルメディアがどのような変化を見せるのか、注目したいと思います。
というわけで、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。それでは次回をおたのしみに。