厳しい寒さも徐々にゆるみ始め、一気に春への近づきを感じる今日このごろ、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回も個人的に感じた、素晴らしいサイトの特徴をいくつかお話したいと思います。
3分で学べるプログラミング
3分間の動画レッスンによって、基本的なプログラミングの学習ができるウェブサイト、『ドットインストール』です。
すべてのレッスンが動画で提供されているため、本などを使用した学習とは異なり、実際に隣に座って説明を受けているような臨場感と、内容のわかりやすさが特徴です。
初心者向けのサービスということで、各レッスンの内容も"まずは全体像をつかむ"ように設計されています。このため、プログラミングに本当に必要なスキルを、無駄なくしっかりと学べます。また、レッスン動画の3分間という短さも、学習に集中しやすい環境を作っています。
求められる"細切れ時間"の有効利用
何かを学ぼうとするときには、毎日の時間の確保が最重要です。特に、じっくりと学習したい場合には、まとまった時間が必要となります。しかし、日々の忙しさの中で、こうした時間を捻出することは厳しいのが現実です。
こうした状況下では、通勤などの移動時間や待ち時間など、日常の中に存在する"細切れになった時間"をいかに有効活用するかが、非常に重要になってきます。
『ドットインストール』では、一つのレッスン動画の長さが3分間となっています。この長さであれば、わずかな時間の余裕を利用して、すぐに学習を始められます。また、YouTubeを利用した動画レッスンのため、PC以外のデバイスでも視聴による学習が可能です。
時間の確保が難しい現代で、時間を効率的に使うために"細切れ時間"をどう有効活用するのか。こうした要望に対する回答として、『ドットインストール』のような"素早く始められ、すぐ終了(完了)できる"というコンセプトを持ったサービスの必要性が、今後さらに高まってくるのかもしれません。
滑らかで美しい、文字の流れ
アメリカ・ニューヨークを拠点に活躍している、ウェブデザイナーのNick Kwiatekのポートフォリオサイトです。
マウスを動かすと、流体力学に基づいたアスキーアート(アニメーション)が滑らかに描画されます。動きと見た目の美しさに、思わず手を動かし続けてしまうウェブサイトです。
"実験的な試み"が生み出す未来
最近では、こうした個人の実験的なプロジェクトは、HTML5(JavaScript、CSSなどを含む)が使用されることが多くなってきたと感じています。
現在、インタラクティブなウェブサイトの構築に欠かせないFlashの技術も、以前は多くの個人が試行錯誤し、多彩な実験的プロジェクトを行うことで、次第に技術が一般に認知され、やがて、使用範囲が拡大し、ウェブサイトにおいて不可欠な技術として浸透していきました。
こうしたFlashの歴史を振り返れば、現在、拡大しつつあるHTML5を使った実験的なプロジェクトの影響が、これからのウェブサイトへ還元されながら、次第に一般化していくことになるのでしょう。個人の試行錯誤が、これから誕生するウェブサイトにどのような影響を与えていくのか、その過程をこれからもしっかりと追っていきたいと思います。
リンクが生みだす、販売の可能性
各種デジタルデータを直接販売できるリンクを生成できるウェブサービス、『Gumroad - Selling should be as easy as sharing a link.』です。
FacebookやTwitterなどを利用してアカウントを作成した後、データをアップロードするか、アップロードされているデータへのリンクを登録し、販売する商品名と価格を決定するだけで、データを販売するリンクが作成できます。
こうして作成したリンクをTwitterでツイートしたり、Blogやウェブサイトに設置したりすれば、リンクをクリックしたユーザーが、メールアドレスとクレジットカード番号を入力するだけで、簡単に購入できるという仕組みです。
販売側は、オンライン決済サービスの「PayPal」を通じて、代金を受け取ります。他のサービスを利用した場合と比べ、「販売価格の5%+30セント」という販売手数料の安さも、『Gumroad』の特徴の一つです。
より単純化する売買の仕組み
これまでも、個人が自らの制作物を販売する方法は存在していましたが、ウェブサイト(ショップ)の準備や顧客となるユーザーの誘導など、販売するまでには時間と手間が必要でした。『Gumroad』では、こうした手間を単純化することで、すぐに制作物が販売できるという"手軽さ"を実現しています。
事実、「販売物へのリンクを作って設置する」だけで販売が可能なことから、すでにプロ・アマを問わず、イラストや写真、楽曲などの作品から、出版社による電子書籍や年代物の「specer.gif」まで、あらゆるデジタルデータが、次々と『Gumroad』を通じて販売されています。また、販売されている作品を検索できるサイトや、「Ameroad(アメロード)」という類似サービスも登場しています。
こうした日本での盛り上がりを受け、日本語に対応したページの提供が開始されるなど、スピード感と勢いを感じさせる『Gumroad』ですが、"手軽さ"の反面、リンクを利用した「成りすまし」や違法コンテンツ販売の可能性、クレジットカード番号を利用した購入システムなど、サービスとして脇の甘い部分も目立ちます。
しかし、それ以上に、リンク一つで制作物が即売できるというメリットは、非常に大きな可能性を秘めています。「信用できる相手のリンクから、直接購入する」ことで成立するこのサービスが、ユーザーの使い方や提供されるコンテンツの質によって、どう変化していくのか。筆者自身も、このサービスで何ができるのかを試行錯誤しながら、今後に注目していきたいと思います。
というわけで、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。それでは次回をおたのしみに。