ムシムシとした息苦しい空気と暑さに、そろそろ弱音を吐きたくなってきた今日このごろ、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回も個人的に感じた、素晴らしいサイトの特徴をいくつかお話したいと思います。
突然現れる、巨大なモザイク
Pinterestを利用したUniqloの「Dry Mesh T-shirt」のプロモーション、『Uniqlo / Pinterest』です。
Pinterestの「Men's Apparel」「Women's Apparel」「Sports」「Fitness」「geek」の5つのカテゴリーを対象に、約5000~9000ピクセルの縦長の画像を使って、さまざまな「Dry Mesh T-shirt」のモザイクを表示させます。
画像を探すためにPinterestのフィードをスクロールしていくと、突然現れる巨大な画像のモザイクと縦長の画像によるアニメーション効果によって、ユーザーの注目を集めるという仕掛けです。
行動特性を生かしたアイデアの実現
『Uniqlo / Pinterest』は、ユーザーがお気に入りの画像を探すためにスクロールを行うと、意図せずに画像のモザイクが表示されるという、Pinterestにおけるユーザーの行動特性を生かしたゲリラ的プロモーションとなっています。
制作したFirstborn NYによる動画では、キャンペーンの制作方法などが紹介されていますが、デジタルのキャンペーンでありながら、複数のアカウントと人力を利用して順番に画像を投稿するという、アナログな手法でキャンペーンを実現しているところも面白い点です。
Pinterest内に多数のアカウントが存在することや、画像の投稿頻度の問題など、いくつか気になる点もありますが、最初にこうしたアイデアを実現したことは素晴らしいと思います。もう同じ方法は使えないでしょうが、Pinterestを利用した企業のキャンペーンが増加する中で、さらに特徴を生かした、新鮮なアイデアが実現するのを楽しみにしたいと思います。
いつでも、どこでもLEGO®遊び
(※ 3Dの描画部分でGoogle Chromeが必要)
オーストラリアにおける「LEGO®ブロック」50周年を記念した、Google Australia/New Zealandによるコンテンツ、『Build with Chrome』です。
ウェブサイトでは、LEGO®ブロックで形作られたオーストラリアとニュージーランドが表示されます。マップを拡大していくと、他のユーザーが制作した作品が地図上に並べられています。このマップ上には80億の区画が用意されており、各区画で最大1000個のLEGO®ブロックを使用して、ユーザーが自由に作品を作れるようになっています。
作品を作る場合は、画面右上の「Build」ボタンをクリックして、マップ上にある空いた区画を選択します。ユーザーは用意された10色のブロック(12種類の基本ブロックと2種類の特殊ブロック)をマウスや矢印キーを使いながら配置して、作品を完成させていきます(組み立て途中の状態は保存不可)。
完成後は「Publish」ボタンをクリックすれば、作品を公開できます(公開後のブロックの修正や削除は不可)。
遊びの楽しさは変わらない
現在、『Build with Chrome』はオーストラリアとニュージーランドのマップだけですが、Google AustraliaのBlogでは、「今後、他の国にもこのコンテンツを拡大していきたい」と発表しています。
子供の時にはよく遊んだものの、大人になって置き場所や時間がとれないことなどから、続けられなくなってしまうLEGO®ブロックのような遊びが、ウェブサイトを通じて、手軽に楽しめるのは非常にうれしいことです。
もちろん、「実際に自分の手を使い、LEGO®ブロックの組み立てを楽しむのが最も良い方法」だと誰もが思うでしょうが、今後はより広い世代への普及と拡大を行うために、こうしたプロモーションがより重要になっていくでしょう。
LEGO®ブロックは、古いブロックとの互換性が保たれており、昔のものが今もそのまま使える設計になっているそうです。同様に、時代とともに楽しむ方法が変わっても、「LEGO®で遊ぶ」という行為とその楽しさはこれからも変わらないのでしょう。
シンボルへと変わる、魔法のフォント
欧文書体のルールのひとつ、「合字(リガチャ)」を利用したシンボルフォント、「Symbolset」のウェブサイトです。
「Symbolset」のウェブサイトを訪れると、画面上部で入力されていく文字の一部が、自動的にアイコンへと変化していくデモが表示されます。デモ終了後は、表示部分にテキストが入力できるようになっており、そこに文字(desktop、world、tagなど)を入力すると、目の前でシンボルへと変換されていきます。
現在、「Standard」とウェブサービスなどのロゴで構成された「Social」の2種類のセットが用意されている「Symbolset」ですが、今後、他のデザイナーによる追加セットが発表されていくとのことです。
画期的なアイデアが変える表現
欧文書体には、2文字以上の文字を1文字で表記する「合字(リガチャ)」と呼ばれるルールがあります。「Symbolset」は、OpenTypeの「合字」を利用して、一定の文字にシンボルを割り当てることで、こうした表現を実現しています。
OpenTypeの機能がサポートされていれば、モダンブラウザだけでなく、Photoshopなどのアプリケーションでも使用できます。また、ウェブフォントとして使用すれば、画像で作られたアイコンと異なり、そのままテキストとしての意味を持つため、アクセシビリティに優れているのも特徴の一つです。
フォントにおける「合字」という仕組み自体は、以前から存在していますが、これを使用して文字をシンボルに変換しようと考えたアイデアが実に画期的です。最近ではウェブフォントの使用など、なるべく画像を使わない表現が広がりを見せている中で、こうした試みがどんな影響を与えるのか、今後も経過を追っていきたいと思います。
というわけで、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。それでは次回をおたのしみに。