スポーツや読書をするのにもってこいの気候が、何よりも食欲を刺激してくる今日このごろ、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回も個人的に感じた、素晴らしいサイトの特徴をいくつかお話したいと思います。
復活をかけた、リニューアル
音楽やエンターテインメントを中心としたSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)である「Myspace」の刷新を知らせるウェブサイト、『 Welcome to the new Myspace!』です。
図1 Myspaceの刷新を知らせる『Welcome to the new Myspace!』
ウェブサイトでは、「 新しいMyspaceは、ユーザーの望む方法で自己表現の力を与えるというルーツを守りながら、ゼロから構築されている」というメッセージとともに、リニューアル後の「Myspace」を紹介する「Preview the new Myspace」へのリンクが表示されています。
図2 「 Preview the new Myspace」では、新しい「Myspace」を紹介した動画が視聴できる
「Preview the new Myspace」では、新たなUIで刷新された「Myspace」の様子が動画で紹介されます。動画の終了後には、メールアドレスを登録することで、サービスへの参加を促すリンクが表示されます。
「Myspace」の復活はなるか
音楽やエンターテインメントに強いSNSという特長を生かし、一時は、若者を中心に熱気と勢いを持っていた「MySpace」ですが、現在では「Facebook」にその座を奪われています。特にここ数年は、ロゴ刷新の失敗や経営不振など、あまり良い話題がありませんでした。
新しい「Myspace」を紹介する動画
The new Myspace from Myspace on Vimeo .
こうした中で実施された「MySpace」のリニューアルですが、動画を見る限りでは、現在話題になっているSNSのデザインやインターフェースを上手に取り入れながら、強みである"音楽とエンターテインメント"に特化していこうという方向性が感じられます。
ただし、新しい「MySpace」が以前のような活況を取り戻せるかどうかは疑問です。「 MySpace」が停滞している間に、「 Facebook」のユーザーが拡大しただけでなく、多彩な音楽・動画サービスが生まれたことで、必ずしも「MySpace」が音楽とエンターテインメントに強いとは言えない現状が生まれているからです。
とはいえ、個人的には、動画は「一度試してみたい」という気分にさせてくれる内容です。それが現実のものなのかは、実際に使えばわかるでしょう。新しい「MySpace」が正式にスタートする時期はわかりませんが、今からメールアドレスを登録して、新しいサービスの開始を待ちたいと思います。
"適材適所"が生んだリニューアル
技術やデザインに優れた、先進的なウェブサイトを日々紹介するウェブデザインポータルサイト『TheFWA(Favourite website awards) 』です。
図3 リニューアルされたウェブデザインポータルサイト『TheFWA』
credit:group94
"Big shout to group94 for the start of the huge transition of thefwa.com into HTML"ということで、今までFlashで制作されていた『TheFWA』が、まだ一部対応していないコンテンツもあるものの、HTMLベースのウェブサイトとして生まれ変わり始めました。機能的に大きく変化した部分はありませんが、Flash版と比較して、ナビゲーションはより軽快に動くようになりました。
図4 画像のスライドなど、Flashで行われていた動きはJavaScriptで代替されている
さらに進む、使用技術の選択と使用
『theFWA』では、内容を説明するテキストと複数のキャプチャー画像を使ってウェブサイトを紹介しています。単純に考えれば、「 テキストと画像が扱える技術」が使えれば、ウェブサイトが成立することになります。
もちろん、閲覧に便利な機能の実現や最低限の演出など、ウェブサイトには「動かすための技術」も欠かせませんが、それらを実現するために「Flashが絶対に必要ではない」ことを、リニューアルされた『theFWA』が証明しています。
図5 HTMLベースのため、iPadでも閲覧できるようになった
「FWAで紹介されるウェブサイト=Flashで制作されたもの」という時期もありましたが、現在では、HTMLベースで制作されたウェブサイトが紹介される回数も増えています。『 theFWA』のリニューアルは、ウェブサイト制作で使用される技術の適切な選択と使用が、さらに進んでいることを示す事例のひとつではないでしょうか。
気に入った服、その場で買えます
2012年の「London Fashion Week(9/14~18) 」開催中に、イギリスのハイストリートファッションブランド「TOPSHOP」が行った「TOPSHOP UNIQUE LIVE」のウェブサイトです。
図6 ファッションショーをストリーミング中継した「TOPSHOP UNIQUE LIVE」
ウェブサイトでは、「 London Fashion Week」で行われたコレクションライン「UNIQUE」のファッションショーの様子がストリーミング中継されます。画面の右側には、ランウェイを歩くファッションモデルたちが着用している服が次々と表示され、視聴しているユーザーが、色や柄を変更しながら、気に入った服をその場で購入(48時間以内に配達)できるというものです。
図7 気に入った映像を撮影して、Facebookで共有することも可能
また、映像の中で気になった服を着たモデルの姿を、画面左下にある「CLICK!」ボタンで撮影し、Facebookで共有する仕組みも導入しています。
時代で変わる、ファッションショーの意味
2012年の「London Fashion Week」では、参加したほとんどのブランドがライブストリーミングを行うなど、もはや「インターネットを利用するのは当然」といった状態です。こうした中、ファッション業界では、より賢いインターネットの活用に力を入れていくのでしょう。
「TOPSHOP UNIQUE LIVE」の概要を説明した動画
「TOPSHOP UNIQUE LIVE」では、ショーの会場や様子をインターネットで配信しながら、その場で商品を販売しています。こうした"ファッションショーの会場で消費者に直接商品を販売する"という方法は、TGC(東京ガールズコレクション)などでおなじみですが、実際のイベントで実施されている方法が、ウェブサイト上でも行われるようになった点には注目したいところです。
ファッションショーを"デザイナーの作品発表の場"としているファッションブランドもあり、すべてのブランドがこのような形を取れるとは思えません。とはいえ、近年、ファストファッションなどで注目されている「リアル・クローズ(現実性のある服) 」と呼ばれる服を対象としたブランドでは、こうした「販売に直結する仕組み」の導入が、インターネット上でさらに進んでいくかもしれません。
というわけで、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。それでは次回をおたのしみに。