鼻水、くしゃみ、目の痒みと、毎年恒例の憂鬱な時期がいよいよ到来し、日々の"手洗い"と"うがい"が本当に欠かせなくなってきた今日このごろ、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回も個人的に感じた、素晴らしいサイトの特徴をいくつかお話したいと思います。
どこからでも「Office」使えます
Microsoftが発表した、ブラウザから無料で「Office」を利用できるウェブサービス、『Microsoft Office Online』です。
ブラウザで『Microsoft Office Online』にアクセスすれば、無料で用意された各アプリケーション(Word、Excel、PowerPoint、Outlookなど)を使って、ドキュメントを作成・編集・共有できるというサービスです。Microsoftアカウントがあれば誰でも利用でき、作成したデータはオンラインストレージサービス「OneDrive」に保存できます。
急ピッチで進められる、Microsoftのクラウド化
ブラウザから利用できる無料のドキュメント制作環境としては、Googleによる「Google Drive」が有名です。個人で行う作業には必要十分な機能があることや無料で利用できることなどから、「Microsoft Office」のような多機能を必要としない層に広く普及しています。
もちろん、まだ多くの企業では、PCと「Microsoft Office」を使っての業務を行っているでしょうが、厳しい経営環境にさらされている昨今では、こうした組み合わせを前提とした業務のやり方を考えなおすところも出てくるでしょう。
Microsoftは、この『Microsoft Office Online』の公開とほぼ同時期に、クラウドストレージサービスの「OneDrive」、デジタルノートアプリケーションの『OneNote.com』を開始しています。さらに、iOS版の「Microsoft Office」が提供されるといううわさもあり、普及が広がるさまざまなデバイスで、違いを意識せずにデータを使える仕組みを急ピッチで整備している様子がよくわかります。
インターネットに接続していれば、スマートフォンやタブレットといった端末でほとんどの作業が実行できるため、大多数のユーザーにとって、「どうしてもPCを使わなければならない」という場面は確実に減ってきます。"PC中心の流れ"がゆっくりと崩れていく中で、Microsoftのこうした急速な変化が各方面にどんな影響を生み出すのか、注目していきたいと思います。
車の中でも、iPhoneが使えます
Appleが発表した、iPhoneを利用した車載システム「CarPlay」をフィーチャーしたウェブサイト、『Apple - CarPlay』です。
「CarPlay」は、ダッシュボードなどにあるタッチパネル式の車載ディスプレイとiPhoneを接続することで、iPhoneの機能(マップ、電話、メール、音楽、ポッドキャストなど)を、車載ディスプレイやコントローラー、あるいは「Siri」の音声コントロールを使って操作できるというシステムです。
2014年3月6日から16日まで開催されたジュネーブ国際モーターショーでは、Ferrari、Mercedes Benz、Volvoの3社が「CarPlay」対応モデルを発表しており、中でもVolvoは、2014年の後半に発売予定のSUV「XC90」の発売と同時に「CarPlay」に対応する予定です。
モバイル端末は、サービスの入り口になるか
この「CarPlay」の発表以前にも、スマートフォンやタブレット端末を車に載せてカーナビとして使うドライバーが存在していましたが、近年、こうした個人が持つモバイル端末を、さまざまなサービスで利用しようという動きが出てきています。
この連載でも何度も登場している「モバイル決済サービス」や、「スマート家電」と呼ばれるスマートフォンを利用した新しい家電の姿など、スマートフォンが高機能化するにしたがって、通話やメールといった電話の代替機能だけでなく、搭載されているカメラやGPSなどの機能を使ったアプリを利用する方法が次々と誕生しています。
今後、モバイル端末が多様なサービスで使える"マルチデバイス"になると想像すれば、慣れ親しんだ操作感を持つスマートフォンが個人向けのサービスで活用される機会はどんどん増えるでしょう。今回紹介した「CarPlay」の事例は、こうしたスマートフォンの本格的な"マルチデバイス"化の始まりではないかという気がしています。
"3.11"の検索が支援になる
東日本大震災から3年目となる、2014年3月11日にYahoo!検索が行ったキャンペーン、『3.11、検索は応援になる。』です。
『3.11、検索は応援になる。』は、2014年3月11日に、Yahoo!検索から"3.11"というキーワードで検索したひとりにつき10円を、公益財団法人である東日本大震災復興支援財団の「一般寄附金」に寄付するというものです。当初は500万円という上限が設定されていましたが、最終的には検索を行った2,568,325人(ユニークブラウザ数)分の寄付(25,683,250円)を行うことになりました。
また『Yahoo!検索スタッフブログ』では、実際にキャンペーンが行われた当日の様子(Twitterでの情報拡散、英語版の追加、地震発生時刻の検索数が20%減)も語られています。
検索には、続きがある
街頭や銀行などの金融機関を通じて行う募金という行為も、インターネットの普及によって、大きな変化を見せてきました。特に「クリック募金」は、企業の社会貢献のひとつとして、またユーザーが手軽に募金できる仕組みとして一般的になっており、実際に行った方も多いでしょう。
こうしたクリック募金は「クリックするだけで募金が完了する」という手軽さが売りですが、その反面、自らが実際に行動して行った募金ほど、その行為を重く感じることはありません。また募金終了後に、それ以外の行動へと促す力は弱いのではないでしょうか。
『3.11、検索は応援になる。』では、Yahoo!検索を使うため、募金後に検索結果が登場します。この検索結果では、キーワードである"3.11"に関連する動画や画像、ニュースやBlogといった、さまざまなコンテンツが並びますが、実際の検索と同様に、関連性のあるコンテンツを提示することで、ユーザーに募金の次の行動を導くという仕掛けが実に素晴らしいです。
クリックだけで終わらない、"新しい募金のかたち"を提示した今回のキャンペーン。筆者自身も震災から3年という時間が過ぎ、意識していても、その時の記憶や感覚が薄れてきていることは否めませんが、被災地のより速やかな復興への手助けができるよう、気持ちを新たにしたいと思います。
というわけで、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。それでは次回をおたのしみに。