ゴールデンウィークもあっという間に終わり、次はブラジルで行われるワールドカップをどうやって楽しもうかとワクワクしている今日このごろ、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回も個人的に感じた、素晴らしいサイトの特徴をいくつかお話したいと思います。
車から学ぶユーザーインターフェース
現在、Yahoo!でユーザーエクスペリエンスデザイナーとして活動しているMin Seung Songによるプロジェクト、『car-ux』です。
『car-ux』では、さまざまなメーカーの自動車のダッシュボードや内装を画像で紹介しています。特にメーカーの違いが出やすいインストルメント・パネル(運転席の正面に配置されたさまざまな計器類)やハンドル周りのボタン類、時計やギア・ペダルの形状などは、個別のカテゴリーが用意されており、各自動車メーカーの違いがよくわかります。
新しいユーザーインターフェースを実現するために
モバイルデバイスの普及とともに、それらに対応するアプリを制作する人も増えてきました。こうしたアプリのユーザーインターフェースを実装するには、用意されている基本的なガイドラインに従うことで、ある程度の問題が解決します。とはいえ、新たな機能を実現するために、新しいユーザーインターフェースを設計する場合もあるでしょう。
新しいユーザーインターフェースを設計する場合、身近にあるものからそのヒントを得ようとする人もいるでしょう。『car-ux』では、人間が何十年も使い、洗練されてきた自動車のユーザーインターフェースを集めています。数多くの事例をじっくりと見ていくことで、そこからさまざまな学びやひらめきを得ることもできるでしょう。
車と連動するアプリの登場や大きなタッチパネルなど、現在のタブレットやスマートデバイスで使われているユーザーインターフェースが、車に次々と搭載される時代がもうすぐ訪れます。こうした中で自動車のダッシュボードがどのように変化していくのか、大きく劇的な変化がここ数年で出てくることを楽しみにしたいと思います。
1週間の夕食準備、お助けします
平日にゆとりのある食生活を実現する、働く女性向けレシピ提案サイト『ウィークックナビ』です。
料理研究家の片山由美さんが考案したレシピを使い、1週間分(平日5日分)の夕食の献立を提案するだけでなく、献立の準備が休日に効率的に行える「1週間料理の段取りガイド」を提供しています。単なるレシピだけでなく、忙しい主婦にとっての夕飯準備時間の短縮に特化している点が特徴的です。
企業が作り始めた、新しいコンテンツ
『ウィークックナビ』を運営しているのは、大手家電メーカーのPanasonicです。最初にこの『ウィークックナビ』を閲覧した時は、"1週間の献立を休日にやってしまう"というアイデアの良さに感心しつつも、「なぜ家電メーカーがこのようなコンテンツを公開する必要があるのか」と疑問に思いました。
『ウィークックナビ』では、2014年4月10日~6月30日の期間限定で「1週間料理の段取りガイド」が閲覧・ダウンロードできます。この期間終了後は、『CLUB Panasonic』という、Panasonicの運営するコミュニティサイトへの会員登録が必要となります。
あくまで個人的な予想ですが、こうしたコンテンツを通じて、最終的には自社の運営するコミュニティサイトにユーザーを集めます。コミュニティサイトを通じて自社の製品を覚えてもらいつつ、段取り良く調理してできた空き時間で利用する家電製品などを購入してもらおうとしているのではないかと考えています。
インターネットを利用するのが当たり前になってきた時代だからこそ、今までとは違った方法でユーザーを集め、企業をアピールする方法が必要になってきているのかもしれません。こうした方法でインターネットがどう使われ、企業からどのようなコンテンツが生まれてくるのか注目していきたいと思います。
簡単、手軽に、ウェブサイトつくれます
個人や小企業向けのウェブサイトを手軽に構築できるサービス、『Build a Website - Squarespace』です。
『Squarespace』では、用意されたテンプレートからウェブサイトのデザインを決定すれば、すぐにウェブサイトの構築が開始できます。これ以外にも、ロゴの制作やBlog、ネットショップの開設など、ウェブサイト構築に必要なツールが揃っています。
"手軽な制作"の次に来るもの
『Squarespace』のようなサービスが普及すれば、「とりあえず、ウェブサイトを作りたい」という需要は激減するのではないでしょうか。最低限の操作を覚える必要はありますが、実際にコンテンツの中身(画像や文章など)を用意できれば、制作者に依頼する必要もなく、誰もが見栄えの良いウェブサイトが制作できるからです。
こうした制作歩法が普及すれば、「ウェブサイトの制作ができる」という単純な理由だけで、制作側が仕事を獲得できる機会は減ります。その結果として、「さらにお金を出せば、より大きな成果が得られる」ことをクライアント側が期待するのは当然で、より品質・効果の高いウェブサイトの制作が求められるでしょう。
この流れは「制作側にとって厳しい話」と思われるかもしれません。しかし、"より高い質と結果が求められる"課題を解決するのが制作側の役割だとすれば、コンテンツの中身とその効果に注力する方向へとお金、時間、労力を費やす方向へと向かうのは、決して悪い話ではないはずです。
『Squarespace』は、最近、新たに資金を調達しており、サービスを世界中に広げていくのではと噂されています。すでに日本では、オンラインショップやウェブサイトを簡単に構築できるサービスやSNSを利用したプロモーションが広がりを見せています。こうした中で『Squarespace』がどのような位置を獲得するのか、制作者やその現場に与える影響も含めながら、注目していきたいと思います。
というわけで、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。それでは次回をおたのしみに。