4年に一度のワールドカップもいよいよ大詰めを迎え、早起きが当たり前になってきた今日このごろ、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回も個人的に感じた、素晴らしいサイトの特徴をいくつかお話したいと思います。
"自動車"と"ゲーム"の意外な組み合わせ
任天堂株式会社のゲームソフト「スーパーマリオブラザーズ」とコラボレーションした、メルセデス・ベンツのコンパクトSUV「GLA」のプロモーションサイト、『 GLA×マリオ スペシャルサイト』です。
図1 『 GLA×マリオ スペシャルサイト』
「スーパーマリオブラザーズ」の世界が再現されたウェブサイトでは、ドット絵で描かれた「GLA」が登場します。ゲームの主人公であるマリオが「GLA」に乗り込み、実際のゲームと同じようにステージを右へと進みながら、特長を説明していきます。
図2 ゲームの世界で新型「GLA」の特長が紹介されていく
コラボーレーションを生み出す、意外な類似点
このプロモーションでは、ウェブサイトだけでなく、「 スーパーマリオブラザーズ」とのコラボレーションをフィーチャーした「新型GLAクラス」のTVCMも制作されています。ウェブサイト内でも閲覧できるこのTVCMは、YouTubeで公開後、わずか2週間で再生回数200万回を突破するだけでなく、220を超える国と地域で再生されるなど、国外でも注目を集めるプロモーションとなっています。
2014年5月30日の公開から2週間で再生回数200万回を突破した「新型GLAクラス」のTVCM、「 GO! GLA」篇
一見、意外性のあるコラボレーションですが、オールラウンドな走行性能と高い実用性を兼ね備え、"年齢・性別を問わず幅広く人気のある"「GLA」と、同じく"年齢・性別を問わず幅広い層に親しまれている"「スーパーマリオブラザーズ」の類似点からこのコラボレーションが実現したということで、なるほど良く考えられた企画だなと感心しました。
有名人の起用や車を利用したライフスタイルの提案など、各自動車メーカーで展開されるプロモーションは似ている部分が多いですが、類似点を探していくことで、今までにないコラボレーションの事例がまだまだ生まれそうです。もちろん企画の面白さもですが、こうしたコラボレーションでもっとも重要な新たな顧客を獲得するという部分で、「 スーパーマリオブラザーズ」をファミコンで楽しんでいた30~40代の動きがどうなるのかにも注目したいところです。
タイムラインで、GIFアニメが動く
SNSのタイムライン上でGIFアニメが再生できるウェブサービス、『 GIFMAGAZINE』です。
図3 『 GIFMAGAZINE』を利用すれば、SNSのタイムライン上でGIFアニメが動く
credit:@razokulover
ウェブサイトでは、画像や手持ちの動画、Youtubeの動画からそのままGIFアニメーションを制作できます。最大の特徴は、GIFアニメーションをSNSへと投稿できる機能でしょう。特にTwitterのタイムラインに投稿したGIFアニメーションは、タイムライン上でそのままループ再生されるため、動きの少ないタイムライン上で初めて見た時には非常に驚きました。
TwitterでGIFアニメが動くことを報告した、作者のツイート
タイムラインの欠点を補う、新たなサービス
Twitterのタイムラインは、情報が次々と流れていくフロー型の構造となっています。このため、実際に情報が消えてしまうわけではないのですが、情報が表示されている時に見ておかないと、後から特定の情報を見つけるのが非常に困難です。また、テキスト中心のタイムラインでは、どのツイートも読まなければその内容が判断できず、自分の欲しい情報を素早く選別することも容易ではありません。
こうした特徴から、タイムライン上で動くサービスが数多く登場しています。フォローすると時刻の区切り線を引いてくれる「切り取り線 」や、大きな画像を表示させることで、明らかにほかとは異なる情報であることを明確にできる「SUPER IMPORTANT TWEET 」などは、こうしたタイムラインの欠点を補い、Twitterをさらに使いやすくしています。
図4 ツイート内容を画像化し、目立つようにしてくれる『SUPER IMPORTANT TWEET』
また、滞在時間の長さを考えれば、わざわざ別サイトに移動して動画や画像を閲覧するのは面倒です。今回紹介した「GIFMAGAZINE」も、そのままタイムライン上でGIFアニメーションが見たいという強い欲求が感じられるサービスです。
EPUB形式の電子書籍をタイムライン上で直接読める「Tw-ePUB 」の発表や、Twitter自体もGIFアニメーションの再生に対応(実際にはmp4ファイルの再生)するなど、その場で再生・表示を可能にするサービスが続々と登場しています。今後、さまざまなメディアの閲覧がTwitterのタイムライン上だけで完結するようになるのかどうか、新たなサービスも含めて注目していきたいと思います。
データで振り返る激闘
現在、ブラジルで開催されているワールドカップのグループリーグC組「コートジボワール対日本」の試合を、さまざまなデータで振り返れる、The Huffington Postの特設サイト、『 World Cup 2014 - Ivory Coast vs. Japan』です。
図5 試合に関するデータが用意された『World Cup 2014 - Ivory Coast vs. Japan』
支配率やシュート数など、通常の試合などで良く目にするチーム全体のデータだけでなく、シュートの方向性やパスした相手など、各選手の個人データが用意されています。データはそのまま見るだけでなく、ユーザー自身がスライドバーを使って時間帯を絞り込めます。試合展開とデータの変化を見ながら考察できることで、非常に興味深く楽しめるコンテンツとなっています。
図6 試合の時間帯を絞り込むことで、データも変化する
客観的なデータが変えていくもの
スポーツの試合を観戦していると、何となくチームの状態や各選手の調子が感じられる場面があります。こうした曖昧な部分が、実際のデータとその分析によって明確になることで、チームや選手の客観的な評価が可能になります。
すでにアメリカのプロ野球リーグMLBでは、Sabermetrics(セイバーメトリクス)と呼ばれる、選手の能力を数値で表し、統計学を使って分析する手法が一般化しています。各球団ではSabermetricsから得られた分析結果を選手の移籍や獲得に利用しており、MLBの公式記録にセイバーメトリクスの指標が採用されるなど、大きな影響を与えています。
図7 MLBの公式記録にも、選手の能力を表すSabermetricsの指標(OPS)が表示される
もちろん、サッカーは野球とはルールもスタイルも異なるスポーツで、オフ・ザ・ボールと呼ばれるボールとは直接的に関係ない局面の動きなどもあり、すべての現象を数値化できるわけではありません。しかし、人間の思い込みや印象だけで行われてきた分析が、より明確で客観的な方向へと進むことで、より高いレベルへと近づけるでしょう。
"歴代最強"とも呼ばれていた今回のサッカー日本代表チームですが、グループリーグ敗退という残念な結果に終わりました。大会からの早期敗退の原因は何だったのか。こうした実際のデータに基づいた客観的な観点から議論が進み、専門家だけでなく、ファン全体も正しく厳しい目を持つことが、今後、日本代表の強化へとつながることを期待したいと思います。
というわけで、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。それでは次回をおたのしみに。