風邪やインフルエンザにも耐え、ようやく厳しい寒さに体が慣れつつある今日このごろ、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回も個人的に感じた、素晴らしいサイトの特徴をいくつかお話したいと思います。
演奏は、どこからでも楽しめます
2014年12月16日に開催された「YouTube Music Night」の映像をマルチアングルで楽しめる、YouTubeの「Choose Your View」です。
図1 用意されたアングルを切り替えながら動画を楽しめる「Choose Your View」
ウェブサイトでは、Madilyn Baileyが歌った"Ball Gowns & Broken Crowns"の動画を再生しながら、用意された4つのカメラアングルをユーザーが自由に切り替えながら、動画を楽しめます。
図2 ユーザーは用意された4つのカメラアングルを自由に切り替えられる
動画の楽しみを広げる、新機能の追加
YouTubeでは、高画質の動画再生や動画の収益を受け取る「パートナープログラム」 、アノテーション機能や今回紹介したマルチアングル機能など、次々と新しい機能を導入してきました。先月、アメリカで開催された「CES 2015」では、新たにフランスのGIROPTIC社とパートナーシップを結び、新たなビデオフォーマットを発表しています。
図3 "YouTube 360"のGIROPTIC社による"世界初のフルHD360度カメラ"「360cam」
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"YouTube 360"と呼ばれる、この新しいビデオフォーマットは、GIROPTIC社による"世界初のフルHD360度カメラ"「360cam 」で撮影された映像をYouTubeにアップロードすれば、そのまま視聴できるだけでなく、映像のアングルを360度自由自在に動かせるというものです。
YouTubeの機能追加を見ていると、動画をただ再生するのではなく、さまざまなインタラクションを加えながら、動画の楽しみ方を広げていく機能を取り入れていく姿勢が見えてきます。追加される新機能によって、ユーザーと動画との関係がどう変化していくのか、これからもYouTubeの動きに注目していきたいと思います。
あなたの代筆、ロボットが行います
ロボットが人間の代わりに代筆を行い、"手書き"のメッセージカードが相手に送付できるというサービス、Bondのウェブサイトです。
図4 メッセージの代筆をロボットが行ってくれるサービス「Bond」
PCやスマートフォンのアプリからメッセージとカードの種類を決定すると、ロボットが実際にペンを使ってメッセージを代筆し、相手に送付してくれるというサービスです。"手書き"のメッセージに使用するフォントは、あらかじめ用意されたものだけでなく、料金を追加することで、自分の筆跡を送付してそれをロボットにまねさせたり、実際にBond社を訪れて専門家と筆跡の改善を行ったりする方法も用意されています。
人間の行為が、より価値を高める時代
筆者も毎年の年賀状を"手書き"で制作していました。しかし、数年前から、インターネットの年賀状制作サービスを利用しています。現在では、実際に手を動かして文章を仕上げる機会は、ほとんどありません。
昨年、オランダの大手ビールメーカーであるHeinekenは、このBond社の技術を使ったデジタルキャンペーン「Spark Your Holidays」を実施しました。Heinekenのビールを購入してキャンペーンサイトにアクセスし、メッセージと宛先を入力すれば、Bond社のロボットがメッセージを記入したクリスマスカードが、相手に送付されるという仕組みです。
「Bond」のプロモーション動画
Introducing Bond from Bond on Vimeo .
インターネット経由で、あっという間にメッセージを相手へ届けられるこの時代、「 どうしてこんなキャンペーンを行うのか」と感じてしまいますが、人と人とのコミュニケーションにおいて、SNSやメールを利用されるのが当たり前の時代だからこそ、実際に手で触れられるモノが、"特別な価値"として、より人々に強い印象をあたえるのではないでしょうか。
インターネットの普及が進むにつれ、こうした人間の行為が、より貴重で価値あるものへと変化していくこともあるのだなあと気付かされた、非常に面白い事例だと思います。
ゲーム動画から、収入が生まれる
2015年1月28日に発表された、YouTubeに投稿された任天堂のゲーム動画からの広告収益を動画の作者と分け合うパートナープログラム、「 Nintendo Creators Program」のウェブサイトです。
図5 ゲームプレイ動画の広告収益を動画の作者と分け合う「Nintendo Creators Program」
YouTubeにおける「任天堂の著作物が含まれている動画の広告収益」は、当然、任天堂が得ています。この「Nintendo Creators Program」は、登録することで、ゲーム動画の広告利益の一部を、決めておいた収益配分率(チャンネルが70%、動画が60%)で、ゲーム動画の作者に還元するというものです。
実際に「Nintendo Creators Program」に登録するためには、Googleアカウントと収益を受け取るためのPayPalビジネスアカウントが必要となります。
ゲーム動画の配信は、ビジネスになるか
2014年8月、Amazon.comが買収したゲーム動画配信プラットフォーム「Twitch」が、大きな話題となりました。2014年12月には「月間1億人ものアクセス数がある」ことが発表 されるなど、現在、最も勢いのある動画配信サービスのひとつと言えるでしょう。
図6 月間1億人ものアクセス数を誇る、ゲーム動画配信プラットフォーム「Twitch」
「Twitch」では、他人のプレイしているゲームの動画を視聴できます。また、PCはもちろんのこと、「 PlayStation 4」や「Xbox One」などの家庭用ゲーム機などを利用すれば、この「Twitch」を通じて、ユーザー自身がプレイしているゲームの様子をそのままライブ配信できます。
YouTubeでは、「 パートナープログラム」による広告収入を主な収入源としている「YouTuber(ユーチューバー) 」と呼ばれる人々が登場しています。この「Twitch」にも同様の仕組みがあり、ユーザーは自分の配信した動画で表示される広告から収入が得られます。中には、収入の多さから仕事を辞めて、「 Twitch」での動画配信を本業にする人も出てきています。
これ以外にも「Twitch」では、ゲーム制作会社とイベントを共同開催するなど、ビジネスとしての規模の拡大にも力を入れています。「 Twitch」はあくまで"ゲーム"というジャンルに絞っていますが、こうしたパートナープログラムの仕組みが拡大していくことで、これから動画の制作・視聴側にどのような変化が生まれていくのか興味深いところです。
というわけで、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。それでは次回をおたのしみに。