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第136回Now on Tap(Google Japan Blog)、[08:46]、BIG割(BURGER KING)

朝晩の寒さだけでなく日中の寒さも厳しくなり、外に出ていくのがめんどうな季節になりましたが、そろそろ年末年始のイベントや行動の予定を立て始めようと考えている今日このごろ、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回も個人的に感じた、素晴らしいサイトの特徴をいくつかお話したいと思います。

画面のどこからでも検索できます

Google Japan Blog: Android 最新OS で使える Now on Tap が日本登場

2015年11月10日から日本でもサービスが開始された、Google検索の新しい機能「Now on Tap」を解説したGoogle Japan Blogです。

図1 ⁠Now on Tap」の日本でのサービス開始を知らせる、Google Japan Blogの記事
図1 「Now on Tap」の日本でのサービス開始を知らせる、Google Japan Blogの記事

Google検索の新しい機能である「Now on Tap」は、ホームボタンの長押しをすると、ユーザーが画面に表示されている内容を分析して、その内容に適した対応が簡単にできるようになるサービスです。Googleによれば、⁠ナレッジグラフ(情報の関係性を認識し、それらを反映した検索結果を表示するGoogleの検索アルゴリズムの一つ⁠⁠自然言語の理解(コンピュータが、人間が日常的に使っている言葉を理解する技術⁠⁠ App Indexing(Googleのモバイル検索結果に、アプリ内のコンテンツへ直接移動可能なリンクを表示する仕組み⁠⁠ 」という技術の組み合わせが可能にしたサービスで、日本のサービス開始は、アメリカに次いで、世界で2番目となります。

「Now on Tap」は、検索を変えるか

Google 検索の新しい機能である「Now on Tap」を解説した動画

「Now on Tap」を解説した動画を初めて見た時、筆者は「Wikipediaを読みながら、興味を持った項目を次々とクリックしながら、連続してページを移動していくのに似ているな」と感じました。⁠Now on Tap」では、モバイルデバイスを使っている場面に応じて、分析から最適な画面表示がなされるため、ユーザーは非常にスムーズに検索から必要な行動へと進んでいきます。検索のつながりを意識したこの仕組みは、非常に気持ちの良いものです。

また、今までなら「検索する場合はブラウザからスタートする」という方法が、⁠Now on Tap」の場合、⁠アプリなどを利用している状態からそのまま検索する」という方法へと変化しています。検索における⁠作法⁠ともいうべき行動の根底からの変化にも、大きな驚きを感じています。

現在、⁠Now on Tap」は最新版のAndroid 6.0を搭載したモバイルデバイスでしか動作しません。今後、多くのモバイルデバイスが対応していくことによって、ユーザーの検索方法や、検索からつながる行動にどのような変化が出てくるのか、注目していきたいと思います。

あのとき、そこにいたならば

[08:46]

2001年9月11日に発生した「アメリカ同時多発テロ事件」をモチーフに制作されたゲーム、⁠[08:46]」のウェブサイトです。

図2 ⁠アメリカ同時多発テロ事件」が題材のゲーム、⁠[08:46]」のウェブサイト
図2 「アメリカ同時多発テロ事件」が題材のゲーム、「[08:46]」のウェブサイト

「アメリカ同時多発テロ事件」の発生時刻から名付けられたこのゲームは、ワールド・トレード・センターのノースタワーに勤務するプレイヤーが、ビルに航空機が突入した後、同じフロアの生存者とともに脱出を図るという内容となっています。無料で提供されている「[08:46]」ですが、ゲームをプレイするには、VR(仮想現実)ヘッドセットの「Oculus Rift DK2」が必要です。

VRヘッドセットによる、リアルな追体験の時代

図3 2016年上期に発売予定のソニー・コンピュータエンタテインメントが開発中の「PlayStation®VR」のウェブサイト
図3 2016年上期に発売予定のソニー・コンピュータエンタテインメントが開発中の「PlayStation®VR」のウェブサイト

VRヘッドセットは、仮想体験をより現実的な体験へと転換する装置のひとつで、2016年には爆発的な普及が予想されています。最近では、スマートフォンを利用した手軽なものや、大手メーカーによる新たな製品が次々と登場するなど、業界の動きも非常に活発です。

公開されている[08:46]の予告編

「[08:46]」は、VRヘッドセットで体験するゲームの序盤までの予告編が公開されています。この動画を視聴すれば、⁠仮想現実⁠という言葉とは異なり、まだ現実を追体験する段階には達していないことがわかるでしょう。しかし、これからさらに技術の向上が見込まれるVRヘッドセットの将来性を考えれば、現時点で、すでに事件直後の緊迫感をプレイヤーにはっきり伝達できるレベルにあることに驚かされます。

普及がさらに進めば、ゲームという形にこだわらない、さまざまなVRヘッドセット用の体験型コンテンツが登場してくるでしょう。新たな技術と進化によって、リアルな現実の追体験が可能になったとき、今まで映像や画像、文字や音声によって形成されてきた私たち自身がどのように変化するのか、興味と若干の怖さを感じながら、VRヘッドセットのリアルな世界を体験してみたいと思っています。

「ビッグ」を持って、お店に行こう

キャンペーン|BURGER KING:NEW BIG KING™

株式会社バーガーキング・ジャパンが、2015年11月6日~29日まで期間限定で行ったキャンペーン、⁠BIG割(ビッグわり⁠⁠」の特設ウェブサイトです。

図4 バーガーキング・ジャパンによるキャンペーン、⁠BIG割」の特設ウェブサイト
図4 バーガーキング・ジャパンによるキャンペーン、「BIG割」の特設ウェブサイト

「BIG割」は、バーガーキングの特徴である「直火焼き」の違いを実感できるハンバーガー、⁠BIG KING』の販売開始に合わせて、⁠ビッグ○○○」と明記されたレシート、または「ビッグ○○○」と名のつく実物をバーガーキングの店舗で掲示すると、⁠BIG KING™4.0』が割引価格で食べられるというものです。

SNS時代のキャンペーンの作り方

キャンペーン開始直後から、SNSなどを中心に話題となったこのキャンペーンですが、バーガーキングは以前から新商品を割引価格で提供するキャンペーンを行ってきました。

今回キャンペーンでは、明確にライバル会社の商品をターゲットにした点や、⁠新製品が特別価格で食べられる」というお得感だけではなく、⁠ビックに関係するもの」で割引が適用できるという仕組みが、キャンペーンを拡散させた大きな要因だと考えます。

図5 Twitterで「BIG割」を画像検索すると、さまざまな方法でユーザーが割引を受けていることがわかる
図5 Twitterで「BIG割」を画像検索すると、さまざまな方法でユーザーが割引を受けていることがわかる

キャンペーンに参加する顧客は、バーガーキングの店舗に、何を持っていって割引を受けるのかを考えます。さらに割引に成功すれば、ユーザー自身が考え工夫した成功事例をSNSで自慢できるという、⁠落語の大喜利にも似た面白さ⁠がユーザーの能動的な行動を誘引しています。

いつでも、どこでも、誰もがSNSを当たり前のように利用している時代です。だからこそ、そうしたユーザーを能動的に動かし拡散させる仕組みは、キャンペーンを行う上で、もはや必須の要素になったと感じさせられた、素晴らしい事例でした。

というわけで、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。それでは次回をおたのしみに。

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