ジメジメとした空気のせいで、乾燥せずに肌にまとわりつく汗を感じながらも、クーラーの効いた部屋で冷たい飲み物を楽しみながらホッと一息ついている今日このごろ、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回も個人的に感じた、素晴らしいサイトの特徴をいくつかお話したいと思います。
変化する、Blogの新たなスタンダード
2016年5月11日に、株式会社KDDIウェブコミュニケーションズが発表したビジュアルブログ、「 g.o.a.t ( ゴート) 」のウェブサイトです。
図1 株式会社KDDIウェブコミュニケーションズが発表したビジュアルブログ「g.o.a.t」のウェブサイト
「画像や動画などのビジュアルと文章の融合をより高めた新しい表現ができるブログサービス」ということで、「 g.o.a.t」では、画像のトリミングやフィルターによる加工、フォトギャラリーの作成、ストックフォトサービスとの提携による高品質画像の利用など、ビジュアルを最大限に活かせる機能が特徴です。
図2 ウェブサイトでは、ビジュアルを重視した「g.o.a.t」の機能を紹介している
それ以外にも、会話調の表現や雑誌風のレイアウト、縦書き表現や映像との組み合わせなど、これまでのBlogにはなかった表現を生み出せる仕組みも用意されています。
現在、ウェブサイトではサービス利用の事前登録を行っています。事前登録したユーザーは、2016年7月27日より、順次サービスのベータ版が利用できるようになります。
Blogは“過去のコミュニケーションツール”か
2000年代前半に生まれた“ Blogブーム” では、数多くのBlog サービスが誕生し、誰もが気軽にBlogを書き始めました。各エントリーに用意されていたフィードバックによる通知や、コメントから始まるコミュニケーションが非常に印象的でした。
それから約10年経った現在、こうしたコミュニケーションは大きく様変わりしました。mixiに代表される“ 趣味嗜好” によるつながり、Twitterのような“ 今” というリアルタイムのコミュニケーションを経て、InstagramやSnapchatのような、画像や動画を使った“ 瞬間的かつ直感的に理解できる” コミュニケーションへと変化を続けています。
KDDIウェブコミュニケーションズが提供するヴィジュアルブログサービス、「 g.o.a.t」のプロモーション動画
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この変化の流れに沿って、新たなBlogのかたちとして、「 g.o.a.t」がBlogの再定義を行っていると考えることもできます。「 ブロガーが完全に最小限の制限で自分を表現できるようにすること」という目標が掲げられている「g.o.a.t」ですが、簡単に始められるSNSとは異なり、少しだけ準備が必要なBlogの煩わしさが解消されれば良いなと、個人的には期待をしています。
SNS中心のコミュニケーションが主流の現在も、話題の中心となるのは、ウェブ上に存在する数多くのコンテンツです。そう考えると、常に話題の中心となるコンテンツを生み出す新たな仕組みを提供することは、非常に価値のあることです。新たな表現の場として、再びBlogというツールが脚光を浴びることになるのか、その動向に注目していきたいと思います。
Xperiaユーザー、優遇します
ソニーモバイルコミュニケーションズのスマートフォン「Xperia X Performance」の発売にあわせて始まったキャンペーンサイト、「 初音ミク × Xperia™」です。
図3 「 Xperia X Performance」のキャンペーンサイト「初音ミク × Xperia™」
ウェブサイトでは、スペシャルムービーやオリジナルの楽曲が公開されています。だれでも視聴ができるオリジナル楽曲ですが、Xperiaからアクセスした場合のみ、 フルバージョンの楽曲がダウンロードできるという、Xperiaユーザー限定のコンテンツとなっています。
他機種との差別化を模索するスマートフォン
日本国内でも、誰もが利用するようになったスマートフォンですが、各製品間の差別化は非常に難しくなっています。一時は販売経路が限られていたiPhoneも、現在では国内3大キャリアで販売されています。
通常の使用ではiOSとandroidの違いが特に問題にならないことや、メジャーなアプリはどちらのOSでも利用できる環境が整ったことなどから、特に理由がなければ、端末の値段を比較して安い機種を購入するユーザーも多くなっています。事実、ここ数年で低価格帯の製品を製造している中国メーカーのシェアは大きく伸びてきています。
図4 スマートフォンでアクセスした「初音ミク × Xperia™」では、Xperiaのユーザーだけが、壁紙やオリジナル楽曲をダウンロードできる
メーカーにとっても、差別化は頭の痛い問題でしょう。見た目のデザインや色はどのメーカーもほぼ同じですし、ハードウェア自体の機能も、全世界向けの製品では、コスト面を考え、大きな機能の差をつけることが難しくなってきています。
こうした状況下では、特定の機種でアクセスしないと利用できないコンテンツで、他機種との差別化を図ることも有効かもしれません。2016年に入ってからの世界的なスマートフォンの売上の鈍化傾向を受けて、「 これからどこで差別化するか」の厳しく激しい競争が始まっているスマートフォン業界の流れが垣間見える事例でした。
Instagramで、ズームの魅力を教えます
キヤノンのコンパクトデジタルカメラ「PowerShot SX60 HS」の最大の特徴である、光学65倍ズームの魅力をInstagramを使って紹介する「Canon: Instazoom」です。
図5 「 PowerShot SX60 HS」の光学65倍ズームを紹介する「Canon: Instazoom」
credit:Dentsu Singapore
Instagram上で表示されているカメラのモニター部分を次々とクリックすると、街の画像が次々と拡大されていくという仕掛けで、35mm判換算で1365mm相当の超望遠撮影ができる「PowerShot SX60 HS」のズーム機能を表現しています。
「Canon: Instazoom」の内容を説明した動画
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この「Canon: Instazoom」以外にも、毎年カナダのトロントで開催されている「The Toronto Silent Film Festival」が、Instagramを使ったプロモーションを行っています。今年公開されたのは、サイレント映画(俳優のセリフなどの音声や音響が入っていない映画)をテーマにした脱出ゲーム「TSFF 2016 Escape Room 」です。
図6 Instagramを使った「The Toronto Silent Film Festival」のプロモーション「TSFF 2016 Escape Room」
こちらは「The Toronto Silent Film Festival」のInstagramアカウント(@tsff2016_escaperoom)に用意された、部屋の内部を撮影した画像を選択すると、短い動画が再生されます。動画を次々と見ながら、部屋の中からヒントを探し、脱出するというものです。
「TSFF 2016 Escape Room」の内容を説明した動画
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Instagramの進化が変えた、プロモーションの方法
「The Toronto Silent Film Festival」では、2014年からInstagramを使ったプロモーションを行っていますが、こうした背景には、Instagramの変化が大きく影響しているのではないでしょうか。
2010年に誕生したInstagramは、当初、「 正方形の写真を共有するSNS」として登場しました。2013年6月に「15秒の動画投稿が可能」となり、さらに8月には「縦長や横長の写真・動画投稿に対応」して、アイデンティティーとも言える「正方形のフォーマット」を捨て去ります。
その後も、時代とともに機能の追加・変更(動画の「いいね」と再生回数を表示、Facebook同様に非時系列表示への変更、投稿動画を最大60秒に延長)が行われ、最近では、正方形のカメラをイメージさせる特徴的なロゴも新しくなり、すでに「写真を共有するSNS」という面影はありません。
最近は「Snapchatに押され気味」という報道もありますが、Instagramは、若者を中心としたプロモーションに必要不可欠なSNSへと成長しています。こうした流れを受けて、Instagram側でもビジネスツールを提供することを発表 しています。
図7 blogで発表された、Instagramのビジネスツールは、2016年末までに全世界で利用が可能になるという
ウェブサイト中心のキャンペーンだけでは、なかなか効果を上げにくい現状を考えれば、ユーザーに最も近い位置にあるSNS中心のキャンペーンが増加するでしょう。ユーザーが長く滞在する安心した場所で、嫌がられることのないプロモーションがどう行われるのか、今後も注目していきたいと思います。
というわけで、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。それでは次回をおたのしみに。