Webゆえに考える テキスト編集のテクニカルコンセプト

第6回価値を強く印象づけよう

宣伝広告を目的としたWebサイトでは、サイトに訪問したユーザーの購買意欲を刺激し、実際の顧客に変えための、様々な演出が欠かせません。

こと文章要素に関して言えば、Webではテレビショッピングのような「暑苦しい」説明はかえって倦厭されがちですが、だからといってただ淡々とした説明になってしまうのも考えものです。

「提供できる"得"を少しでも多く・少しでも大きく伝える」といったセールストークの基本をふまえ、商材の価値を少しでも強くユーザーに印象づけるべく、工夫を凝らしましょう。

セールスポイントはハッキリと言葉に出す

事業や商品のセールスポイントは、できるだけハッキリと"言葉"で伝えるようにしましょう。誰から見ても当たり前のことでも、あえて言葉に出すことで印象に残りやすくなりますし、予備知識の無いユーザーには"驚き"や"気づき"を与えることもあります。ボリュームの都合上、説明本文にあまり多くのことを書けない場合でも、⁠参考事例」「お客様の声」といった補足コンテンツを用意するなどして、漏れなく伝え切るようにしましょう。

競合優位性

先進性、希少性、価格の安さ、サービスの手厚さなど、他に勝ることはどんなに些細なことでもしっかり記載しておきましょう。ユーザーを"囲い込む"上でこれ以上強力な材料はありません。

【例】
  • 先進性
    ⁠業界初採用となる新素材○○○を使用しています」
  • 希少性
    ⁠欧米で大人気の○○○がついに日本上陸。国内での販売は当社だけです。」
  • 価格の安さ
    ⁠小売り最安値の○○○円でご提供します。」
  • サービスの手厚さ
    ⁠御注文当日にお届けできるのは、全国3000店を誇る弊社ならでは。」

効果効用

ユーザーは、自分にもたらす"得"が多ければ多いほど、その事業や商品のことを魅力的に感じます。事業や商品がユーザもたらす効果効用は、なるべく多く拾い出しておきましょう。"言わずもがな"に期待するのだけは厳禁です。

【例】
  • 「従来の炊飯器に比べ3倍のスピードでご飯を炊けます。」
    ⁠従来の炊飯器に比べ3倍のスピードでご飯を炊けます。おかゆも、おこわも、炊き込みご飯も3倍速。お台所がますます便利になりますね!」

訴求力が高い情報ほど目立たせる

せっかく言葉に出したセールスポイントも、説明の中に埋もれてしまっては用をなしません。ターゲットとするユーザーにとって訴求力が高い情報ほど、構造的/視覚的に目立つようにしておきましょう。

重要なものほど先に書く

一般的に、ページの先の方に書かれる情報ほど、ユーザーの心理に与える影響は大きくなります。また、最初に目に入る情報が魅力的であればあるほど、ユーザーはそのページの説明そのものに強い期待感を抱きます(本文を読ませる"つかみ"になります⁠⁠。

図1 訴求力が高い情報ほど先に出す
図1 訴求力が高い情報ほど先に出す
※aとb、どちらが良いかはターゲットによっても異なる。あくまでユーザーの心情に立って構成を練るようにしたい。

重要なものほど見栄えを強調する

フォントサイズや、フォントウェイト、フォントカラー、背景色など、他の部分より見栄えを強調することで、ユーザーの目に止まりやすく、印象にも残りやすくなります。囲い文字を使って区切るのも上手い方法です。

図2 重要なものほど見栄えを強調する
図2 重要なものほど見栄えを強調する

提供できる"得"を積極的に強調する

個々の説明では"押し"の強さが何より肝心です。タイトル、見出し、説明の冒頭、締めの一言といった目立つ部分を中心に"得"の強調に注力しましょう。多少クドイぐらい大げさに書いてから鼻につく部分を削っていくと程よくまとまるはずです。

語気を強める

形容表現を重ねる、感嘆符(!)を使う、象徴的な物事に例えるなど、語気を強めることで、ユーザーにより大きな"得"を期待させることが出来ます。

【例】
  • 形容表現を重ねる、感嘆符(!)を施す
    ⁠60インチ大画面テレビが、たったの179800円」
    ⁠60インチ大画面テレビが、ズバリたったの179800円!」
  • 象徴的な物事で例える
    ⁠映画も本物さながら」
    ⁠リビングはもはや映画館」
  • ライバルと比較する
    ⁠大変お安くなっています」
    ⁠一般小売店では考えられないメーカー直送ならではの破格値です」

選ばないことの損を示す

人は誰しも"損"だけはしたくないものです。選ばないことの損を示すことで、ユーザーの心理を強力に"あおる"ことができます。

【例】
  • 「オリンピック特別キャンペーン価格です。」
    ⁠北京オリンピック特別キャンペーン価格です。次はバンクーバーまでこれだけのお値引きはありません。」

しっかりとした根拠を示す

ユーザーはサイト上のセールス文句を、そのまま鵜呑みにはしません。ただでさえWeb上の広告はマス広告に比べて信憑性に乏しく、ユーザーの信頼を得るには十分な説得材料を用意して、論理的に説明する必要があります。成約/購入のメリットを伝えるだけでなく、そのメリットが確かに得られる根拠を、忘れずに示しておきましょう。

具体的なデータを示す

僅かな疑念があるだけでも、ユーザーは説明への同意をためらいます。なるべく具体的なデータを示して、その説明が科学的な見地に基づいた妥当性あるものであることを理解してもらいましょう。

【例】
  • 「疲れた朝にはこの一本。体の芯からシャッキリ元気になります。」
    ⁠疲れた朝にはこの一本。必須ビタミン・ミネラルの一日分を凝縮しているので、体の芯からシャッキリ元気になります。」
  • 「ほとんど全てのお客様からご好評をいただいております。」
    ⁠全国8000名のお客様にアンケートした結果、合計98%の方が"今後も購入したい"とお答えになっています(アンケートの詳細はこちら⁠⁠。」

信憑性ある情報を引用する

公的団体・著名人など、ユーザーに高い信頼をうけている団体・人物の説明を引用することで、説明の説得力を大幅に補強することができます。

【例】
  • 「○○○の採用は既存住宅の耐震性向上に絶大な効果があると言われています。」
    ⁠国交省の研究でも、○○○の採用は既存住宅の耐震性向上に絶大な効果があると発表されています(⁠⁠耐震補強工事の妥当性について』/200X年:国土交通省・△△研究所⁠⁠」

もちろん大事な"見た目"の演出

多くのユーザーにとってWebは"見る"メディアであり、"見た目"の印象は説明文の出来映え以上にWebサイトのセールス力を左右します。配色、レイアウト、装飾など、多くはビジュアルデザインの課題になりますが、ライティングの面でも画像やグラフといった直感的に伝わるコンテンツを出来るだけ多く用いるよう心がけましょう。単なるイメージ画像を一点置くだけでも、説明の訴求力はグッと高まります。

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