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第13回執筆に煮詰まったときの対処策

編集/ライティングの作業をしていて一番つらいのは、筆が進まない"行き詰まり"に陥った時です。体力・気力を大きく削がれますし、予想外に時間を消費してしまい、その先の作業を更に圧迫して、強い悲壮感の中で延々と書き続けなければならない最悪の状況をまねいてしまうことさえあります。

こうした袋小路から短時間で脱出するためのスキルを身につけておくことは、文章力を磨くのと同じぐらい重要です。今回は、筆者が執筆に煮詰まったときに行っている対処策を、いくつか紹介しましょう。

構成作りが上手にいかないときの対処策

ページ構成/見出し構成を考えるとき、何度練り直しても上手にいかず、むしろ、どんどんおかしなポイントが増えていってしまうことが良くあるものです。その多くは、無理に整った構造を作ろうとすることが原因で起こります。

説明対象について十分な知識があれば、難なく正規的な構成を組むことができる場合もありますが、内容によっては、分けるべき項目の数やそれぞれの情報量に、違いがあるのも当然のことです。

「説明しやすい形が一番伝わりやすい」このことを念頭に、多少の不揃いには目をつむる勇気を持ちましょう。

ボリュームを無理に揃えない
全体的なバランスを整えようとするあまり、下位カテゴリ数/ページ数/文字数などのボリュームを無理に揃えようとしていないでしょうか? 情報量に大きな差がある場合、ボリュームにバラツキがあるのは当然の事なので、あまり神経質になるべきではありません。
階層の深さを無理に揃えない
同様に、階層の深さをキッチリ揃えようとするのも不毛です。構成案の上で上手にできあがったように見えても、1カテゴリ/1ページ/1項目として書くほどの内容が無くなったり、導線が延びてユーザービリティを損なう場合もあるので、あまりこだわるべきではありません。
無理に構造化せず平たい階層にする
並列する項目の数が多くなるときには、少数の大カテゴリにまとめたくなるものです。しかし、項目ごとの性質の差が大きい場合には、無理にまとめたところで、不自然な構造しかでき上がりません。下手にまとめようとせず、平たい階層のままにしておきましょう。
最終手段は思い切って削る
構成を練っていると、全体的には上手にまとまっているのに、どうしてもいくつかの"余り項目"が出てしまう場合があります。これらを無理に配置しようとして、カテゴリ分けをしなおすと、今度は別の項目が余って…という悪循環に陥りがちです。もし、その"余り項目"がそれほど重要なものでなければ、思い切って削ってしまいましょう。あるいは、最低限、どこかに記載しておかないとまずいようなら、⁠その他」として一括りにするとか、比較的近い意味合いを持つ項目に「余談」として混ぜるといった"逃げ方"もあります。

"次の言葉"が出てこないときの対処策

同じようなテーマの文章を読む・類義語辞書で調べる

「言いたい言葉がどうしても出てこない」というときには、他の人が書いた同じようなテーマの文章をいくつか読んでみましょう。言いたかった言葉がそのまま見つかることもありますし、似ている言葉をいくつか眺めていれば、もっとも相応しいものが自然と頭に浮かびあがってくるものです。類義語辞書で調べてみるのも良い方法です。

先の部分を書いてから繋げてみる

文章は、書き起こすより"直す"方が断然楽なものです。上手に言葉が出てこない部分は飛ばしてしまい、後でリライトするようにしましょう。日本語として成り立たない状態のままでも構いません。不思議なもので、前後のつながりさえ決まってしまえば、その穴を埋める言葉はすんなり出てくるものです。

思い切って書き直す・構成から見直す

ときに数時間、丸1日悩んでも、説明が先に進まないことがあります。このような場合は、問題箇所に至るまでの説明に、何かしらの無理が生じているはずです。書き上げたものを捨てるのは忍びないでしょうが、はじめから書き直してしまいましょう。ときに構成レベルでの見直しも必要になりますが、今まで悩んでいたのが不思議になるぐらい、スムーズに先に進むはずです。

全く頭が回らなくなってしまった時の対処策

他の作業をする/他の文章を読む

一つの文章に長い時間関わっていると、少しずつ客観的な視点を失って、やがて、何をどう説明して良いのか、全く分からなくなってしまうことがあります。一度そのような状態に陥ると、簡単には先に進みません。他の文章の作業をはさむなどして、一旦その文章から離れましょう。大抵1時間もすれば、脳のフリーズ状態は解消されているはずです。

人と話す

言葉は本来、人と人との会話のためにあるものです。執筆という、音もなく、一方的な会話を何時間も続けていれば、言語中枢の働きが鈍っても当然です。仕事の話でも構いませんし、雑談でも構わないので、近くにいる人と少し話してみましょう。⁠あなたならどう書く?」とずばり聞いてしまうのも悪くありません。

休憩を挟む

やはり気分のリフレッシュは大事です。筆者の場合は、もうどうしようもないときは、作業場から離れて、外を散歩しています。いつも代わり映えのない作業場に比べ、屋外は五感の全てにおいて刺激に溢れています。たかだか10分休むだけでも、頭のコリは随分ほぐれます。

どうしても時間的に余裕がないときの対処策

無理に書かずに図版で埋める

どう工夫しても魅力的な説明にならないときや、いくら頑張っても定められた字数に達しないときには、無理に文章だけで何とかしようとせず、図版を積極的に使いましょう。箇条書きを枠で囲っただけの簡単な表でも構いませんし、単なるイメージ画像でも構いません。むしろ、図版点数・図版の占める割合が多い方が、文章はリッチに見えますし、言葉のアラも目立たなく・気にならなくなります。

あえて可読性を落とす

可読性の低い文章は、流し読みされやすく、しっかり読まれない分、記述上の問題にも気づかれにくくなります。

たとえば、句点「。」で区切られる一文を長くすれば長くするほど、説明は回りくどく・難しいものになりがちですが、理屈が通っていないとか、話に矛盾があるとかの問題も、一緒に"わかりにくく"なります。似たような接続詞が連続してしまうとか、文末が同じ音になって見苦しくなるとかの問題も避けられます。

また、読点「、」を全く打たない文章は、息苦しく・読みづらいものになりますが、下手に読点を打つよりも、リズム感の崩れが無く美しく見える場合があります。

その他、文字サイズを小さくする、文字ピッチや行間を狭くするなど、単に文字を見にくくするだけでも、同様の効果があります。あまり褒められた方法ではありませんが、非常緊急のときのために、覚えておくと良いでしょう。

一番大切なのはやっぱり睡眠

最後に、編集・ライティングに、睡眠不足だけは絶対に禁物です。文章を書くということは、考えることとほとんど同義であり、常に頭をスッキリさせておかなければ、筆を満足に進めることはできません。締切が近いときなど、徹夜作業がやむを得ない場合もあるでしょうが、日ごろから十分な睡眠時間を確保するよう心がけてください。

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