ユーザインタフェースの専門家として知られるJakob Nielsen氏、Donald Norman氏らによるコンサルティング企業「Nielsen Norman Group」が、iPadに関するユーザビリティ調査をまとめたレポートを93ページにわたるPDFとして公開しています。
日本では2010年5月28日に発売されたiPadですが、それより一足早く発売されたアメリカではすでに多くのユーザがいろいろなアプリケーションやiPad対応サイトを利用し楽しんでいます。しかし、どれもがユーザを満足させるようなインタフェースを持つ作りになっているわけでありません。レポートの冒頭にも書かれているように、iPadを「iPhoneを単に大きくしただけととらえると失敗する」ことになります。ではどのような点に気をつけてiPadに適したインタフェースを提供すればよいのか、このレポートを通してポイントをつかむことができます。
レポートを作成するにあたり、iPhoneを所有している被験者を7人用意して30以上のアプリケーションやサイトを利用させ、指定された映画のレビューを探したりニュースサイトから記事を見つけたりなどのタスクを与えて被験者の行った操作を観察しました。このユーザビリティテストにより多くのことがわかりました。
まず、iPadはiPhoneより画面が大きいためテキストが読みやすくなっていますが、ハイパーリンクを指でタッチするのはまだ難しいようです。そのため、iPad対応を行うサイトはタッチゾーンを大きくすることを勧めています。またユーザはサイトよりアプリケーションを利用することを好みますが、アプリケーションのほうが扱う商品が少なかったり機能が乏しかったりすると、よりリッチなPCサイトのほうへ移ってしまうようです。アプリケーションを提供する際「アプリケーションならではの強みを出せているか」「PCサイトと同等の機能を持っているか」について気をつけたほうがよいでしょう。
ほかにも「どこがクリックできるのかわかるようにしよう」「ホームボタンを置こう」など多くのアドバイスが書かれています。スクリーンショットを多く使ってわかりやすく解説しているのでぜひチェックしてみてください。ちなみに、このレポートのほかにも「Designing for iPad: Reality Check」などiPadのデザインに関する考察記事がいろいろ出ていますので気になる人は探してみましょう。また、Appleの公式ドキュメント「iPad Human Interface Guidelines」を一読するのは言うまでもありません。
URL:http://www.nngroup.com/reports/mobile/ipad/