Martin Fowler氏や書籍 『ThoughtWorksアンソロジー』(オライリー・ジャパン)で有名な企業Thoughtworksが、現在数多くある技術の中でどれに取り組むべきかについて指標を示した「Technology Radar」というPDF形式のレポートを公開しています。不定期に更新しているようで、現在は2010年4月版が公開されており、過去バージョンには2010年1月版があります。
ジャンルは 「Techniques」「Tools」「Platforms」「Languages」の4つに分かれます。そして評価基準として、まだ投資すべきではない「Hold」、調査する価値がある「Assess」、ある程度リスクを許容できるプロジェクトに投入すべき「Trial」、すでに実用段階にある「Adopt」の4段階で表します。
Techniquesにおいて、スクラム認定に対しては注力すると上辺だけの力をつけてしまい、かえって逆効果になるとのことでHoldと評価しています。データベースリファクタリング(Evolutionary DB)は前回TrialだったのがAdoptに昇格しています。
ToolsにおいてNeo4jやMongoDBなどのノンリレーショナルなデータベースがいくつか新規に加わっています。Neo4jはコミュニティの活発さや実用度の高さを評価しすでにTrialの位置にいます。ESB(Enterprise Service Bus)は、より軽量なアプローチであるSimple Message Busesにとって代わられたことからHoldに位置しています。
Languagesは、C# 4.0が前回Assessだったのが一気にAdoptに急上昇しているのが目に付きます。また前回は関数型言語としてまとめて評価されていたのが、今回はF#やClojure、Scalaの3つに具体的に分けられています。
最後にPlatformについて、IE 6(Internet Explorer 6)が全アイテム中最もAdoptに位置しています。これは何もIE 6を勧めているのではなく、IE 6サポートの打ち切り(end of life)を早く進めることを促しています。また、前回Cloudとしてまとめて評価していたのが今回はEC2、Google App Engine、Azureと分かれています。またGoogle Web ToolkitについてはHoldと評価し、レポート内であまり実用的でない理由を4つほど挙げています。
Fowler氏をはじめThoughtWorksのメンバーによって作られたレポートなので、ThoughtWorksならではといった評価も見受けられますが、技術動向を探るうえで重要な資料であることには間違いありません。
URL:http://www.thoughtworks.com/radar/