株式会社ミクシィは2012年9月10日、Androidアプリ開発者向けの新サービス「DeployGate」をリリースした。
mixi以外の新規事業への取り組み
これまで、ミクシィと言えば、社名と同じSNS「mixi」を軸にさまざまな展開をしてきた。現在もその流れは続いており、2012年9月4日には株式会社コナミデジタルエンタテインメントとの共同展開として新しいコミュニケーションサービス「mixiパーク」を開始するなど、ますます強化されている。
一方で、2012年8月以降、mixi以外の新しいサービスの開発にも注力し始めており、9月中旬リリースが発表されたPetite jete(プティジュテ)もその1つである。
その展開の1つとして、本日正式リリースされたのがこの「DeployGate」である。
- DeployGate
- http://deploygate.com/
このサービスを開発したのは同社の開発チームであるたんぽぽグループに所属していたソフトウェアエンジニアの井上恭輔氏、藤崎友樹氏の両名。
Androidアプリ開発を手軽に、迅速に
DeployGateは、Androidアプリ開発をサポートするクラウドサービス。これまで、Androidアプリ開発に関しては、開発から検証、リリース、回収まで、端末にアプリをアップロードするなどの手間が非常に大きかった。この点について藤崎氏は「私たちmixiのAndroidアプリを開発している際も、リリース前の検証やリリース後の改善・回収時に非常に時間を取られていました。また、ログを取ることが不便だったので、それをリアルタイムにする仕組みは準備していたんです。これらを、クラウドサービスとして準備することで、Androidアプリ開発者のサポートをできるのではと考えリリースしたのが、このDeployGateです」と述べている。
このように、サービスリリースに至った理由として、自身の開発環境改善、さらに、それを共有することで、世界中のAndroidアプリの品質改善を目指していることを強調した。
主な特徴は次のとおり。
- すべてがリアルタイムで動作
- オンラインでの接続。USBケーブルは不要
- 開発現場のコラボレーションにフォーカス
- シンプルで簡単に使えて高機能
この他、古いバージョンへの世代戻りなど、実際の開発者にとっては非常に便利な機能が実装されているのも特徴の1つだ。
開発用コマンドライン、SDK、APIを用意
DeployGateには、開発者向けに開発用コマンドラインやSDK、APIが用意されている。Jenkins向けの連携ツールなども準備されているので、開発者は現在利用している環境をそのままに、手を加えることなく利用できるようになっている。「開発者フレンドリーにしたかった」(井上氏)というのもDeployGateの特徴だろう。
開発規模に合わせた料金体系を用意
DeployGateは、開発規模に応じた料金体系が用意されている。
まず、確認用クライアントに関しては無料で登録できる。
管理側については、下表のようになっている。
プラン | 月額 | 管理アプリ数 | 開発者人数 | 保持可能バージョン数 |
Lite | 500円 | 4 | 3 | 5 |
Pro | 3,500円 | 20 | 25 | 10 |
Biz | 9,500円 | 100 | 100 | 100 |
この他、クラウド型ではないパッケージ型も用意しているとのこと。こちらについては、公式サイトから別途問い合わせとなる。
mixiの技術資産を外部に出していく
今回のサービスリリースにあたり、井上氏は「私たちは現在、日本最大級のSNS「mixi」の開発・運営を行っています。サービスリリース以降、社内での技術の追求や取り組み、研究開発のアウトプットは膨大な量となっており、企業が持つ技術力に自信を持っています。また、サービスに合わせてさまざまなクライアントアプリも作ってきました。こうした蓄積された技術やノウハウは非常に価値があるものと考え、今回、ミクシィの新規事業の1つとして、対外的にサービスとして展開することになったのです。たとえていうなら、Amazonがオンラインショップで培ってきた技術・リソースをAWSとして展開している、そういったイメージでしょうか。
mixiがコンシューマ向けのものだとすると、今回のDeployGateは開発者や法人など、ミドルエンド向けのサービスであり、ミクシィの新たな一歩が踏み出せるのではないかと思います。また、これは日本の開発者だけではなく、世界のAndroidアプリ開発者にも使ってもらいたいと考えているので、あらかじめ英語版を用意しました。日本から世界への展開を目指します」とコメントした。
井上氏も述べているが、ミクシィがmixiの開発・運営で蓄積してきた技術やノウハウは非常に価値があり、それをサービスとして提供することは、開発者たちにとって大変魅力的なことと言える。また、これまでWebやIT関係の技術、とくにプラットフォームに関してはアメリカのサービスに注目が集まり、シェアを獲得していくケースが多く見られたが、今回のように日本の企業から世界に向けてサービスがリリースされるのは、大変すばらしいことである。これからの展開に期待したい。