学生はアイデアだけで賞金30万円を目指せる!「2013TSPAA」オリエン

一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラムは12月13日、昨年に続き開催される「2013東京国際スマートフォンアプリアワード」⁠TSPAA)に先立ち、大学生を対象とした「学生部門オリエンテーション」を渋谷ヒカリエにあるディー・エヌ・エーのセミナールームにおいて開催しました。ここでは、その模様をご紹介します。なお、このオリエンテーションは「ニコニコ生放送」で生中継されました。

女子大生オフィシャルアンバサダーが司会、運営

オリエンテーションは2013TSPAAオフィシャルアンバサダーである、本田玲奈さん、宮司愛海さん、和田早矢さんの3人の女子大生が司会、運営を務めました。まず宮司さんがTSPAAの概要を説明。2013TSPAAには一般部門と学生部門があり、テーマは主催者部門3つ、企業部門3つの合計6つが用意されています。一般部門は完成したアプリケーションで応募しますが、学生部門は企画書だけで応募でき、賞金30万円の「学生部門大賞」を狙うことができると強調しました。しかも「大学生に限らず、小学生から専門学校生まで、学んでいる人なら誰でも応募できます。どしどし応募してください」と和田さん。

本田さんは、Twitterキャンペーンあったらいいなぁ~こんなアプリが同日より始まったことを告知。このキャンペーンは、Twitterアカウント「2013tspaa」をフォローしハッシュタグ「#2013tspaa」を追記して、欲しいアプリをツイートするというものです。期間中にツイートしたユーザを対象に、10名に5000円分のAmazonギフト券がプレゼントされます。またTSPAAに応募する人は、ハッシュタグにより検索することで、どんなアプリが求められているかがわかり、アプリのアイデアの参考にできます。さらに、TSPAAのキャラクターである「The APP APE」を紹介、このキャラクターはアプリのモンスターで、ゲームの主役に使うなど多くの方に可愛がってもらいたいとしました。

2013TSPAAオフィシャルアンバサダーの本田さん、宮司さん、和田さん
2013TSPAAオフィシャルアンバサダーの本田さん、宮司さん、和田さん

アプリ審査のポイントとは

続いて、前回の「2012TSPAA」において審査委員長を務めた武蔵野国際大学の准教授である木暮祐一氏による「2012TSPAA受賞作品の紹介と傾向 審査のポイントについて」が行われました。木暮氏は前回のTSPAAの受賞作品を紹介し、⁠今回は前回に比べてテーマが少なくなっていますが、逆にチャンスかも知れません」と述べました。学生部門は、アプリを実際に作成して応募する一般部門と異なり、企画書のみで応募できます。そのポイントとして、スマートフォンやタブレットならではの機能を活かすことを挙げました。ほかのデバイスでは実現できず、また楽しさや驚きを感じるアイデアが求められているとしました。

前回の受賞作品をみると、AEON賞を受賞した神庭幸枝さんの「WAONオトクウィジェット」は、ウィジェット形式にすることで手軽に利用できるものでした。ANA賞を受賞したエキサイトの「そらのあるばむ」は、ぬり絵感覚で手軽にアニメまで作成できる点が評価されました。日清食品賞を受賞した渡嘉敷守さんの「カップヌードルスケルトンAR」は、3分間待つ間にカメラをカップヌードルにかざすと中身が透けて見え、カップヌードルができていく様子を観察できるというユニークさが評価されています。

このほか、東京スカツリー賞を受賞した唐鎌千里さんの「スカイツリーコンパス」は、GPS機能を利用してどこからでもスカイツリーの方向が分かる点、日産自動車賞を受賞したおもプリ部 feat.un-Tの「SOUND DRIVE」は、加速度センサーを利用して車の音を聞ける点、ファミリーマート賞を受賞した、あゆたの「ARファミマおみくじ」はファミリーマートを探す楽しみがある点などなど、スマートフォンならではの機能を上手に活用していました。

携帯電話の収集家としても有名な木暮氏。
自宅には約2000台の携帯電話があるという
携帯電話の収集家としても有名な木暮氏。自宅には約2000台の携帯電話があるという

木暮氏は審査におけるポイントとして、⁠独創性」「表現するための技術的な革新性」を挙げました。また、今回からアワードの名前に「国際」が加えられたことから、⁠ぜひ知恵を絞ってユニークな作品を世界に向けて発信して欲しい」とセッションを締めくくりました。

「たった一人でも役に立てば、アプリとして十分」

続いて登壇したのは、ニッポン放送のアナウンサーであり「吉田尚記 BUZZニッポン」のパーソナリティも務める吉田尚記氏。⁠アプリは世界を変える」というセッションでしたが、あまり内容を考えずに決めたといいます。ただ、⁠LINE」をインストールしたとたんにメールがLINEに置き換わるなど、アプリが生活スタイルを変えることはあり、⁠昔は音楽が世界を変えていましたが、今はほとんどありません。でも、アプリは相当に世界を変えています」といいます。

また、スマートフォンには面白い技術がたくさんあると吉田氏は指摘します。しかし、みんなが使いこなさないと広まらないことも事実。たとえば「Google Drive」をみんなで共有して使うということはあまりやっていないのではと吉田氏は考え、ラジオ番組でリスナーとファイルを共有しアップデートしていくということを試したそうです。結果、どんどん内容が膨らんでいき、最後にはTwitter経由でGoogle Driveから外の世界にまで出て行ったのです。

さらに別の意味でおもしろいのは、⁠マスプロダクツではないこと⁠⁠。すべての人に役立たなくても、たった一人がものすごく役立つこともあります。それだけでもアプリを作る意味はあるのです。同様のことが国際的に起きることもあります。例えば、カヤックという会社が作った「ナカマップ」というアプリは、グループチャットや友達の居場所がわかるアプリですが、このアプリがクウェートでブレイクしました。正確な理由は分からないのですが、中東の国では公の場所で男女が会話することを禁じています。それでナカマップが人気を博したのかも知れません。このように、自分だけのニーズが他の場所のニーズに合致することもあるのです。

アプリのアイデアについて吉田氏は、まず「知らないことは思いつきませんから、何にでも興味を持って詳しくなってください。そこから思いつきが生まれます」と述べ、さらに「逆に使い方などからアイデアを考える」ことも有効だといいます。たとえば「左手だけで使う」⁠画面は一切表示されない」⁠音だけで使う」などです。そこから面白いアイデアが思いつくかもしれません。

ニッポン放送アナウンサーの吉田氏。
独自のランキングやアプリを作成
するなど、アプリを推進
ニッポン放送アナウンサーの吉田氏。独自のランキングやアプリを作成するなど、アプリを推進

吉田氏は株式会社トーンコネクトの代表取締役CMOでもありますが、ここでは「トーンコネクト」というアプリを公開しています。このアプリは「ピポパ」の電話の発信音を使ってデータをやり取りするというもの。例えば、ラジオで投稿先のメールアドレスを音で鳴らし、アプリで聞けばアドレスが表示されるわけです。携帯電話のインフラから整備される発展途上国などでブレイクするかも知れないと、吉田氏は期待を寄せているとしてセッションを締めくくりました。

登場したてのWindows 8アプリも狙い目、学生向けプログラムも

続いて、⁠Windows 8アプリ開発体験を語る」として、日本マイクロソフトのWindows 8エバンジェリストである渡辺弘之氏、Microsoft Student Partnersフェローである慶應義塾大学の高橋せんべいさん、同じくMicrosoft Student Partnersフェローである慶應義塾大学大学院の萬屋宇人さんの三人が登壇しました。

渡辺氏はWindows 8の概要を説明した後、Windows 8がすでに4000万ライセンスを突破するなど世界的にも急激に浸透し続けている反面、誰でもアプリを公開できる「ストア」のアプリ登録数はまだまだ少なく、Windows 8アプリを作成、公開すれば「目に止まりやすい状態」であり、世界に向けて発信できる。10万ダウンロードも夢ではないとして「ぜひWindows 8アプリを開発して欲しい」と述べました。

さらに、日本マイクロソフトの学生向けプログラム「Microsoft Student Partners」についても説明し、⁠Facebookページからメンバー登録できるので、ぜひ見てください」とアピールしました。

続いて、高橋さんがWindows 8アプリを5分で作るライブコーディングに挑戦。⁠Visual Studio」を使用して実際にアプリを作成しました。なお、学生は無料で「Visual Studio」を使うことができます。高橋さんはコピペを駆使するという「裏技」を使いながらもほぼ5分でアプリを完成させ、会場を沸かせました。

一方、萬屋さんは自作の「フラッシュ暗算」アプリを公開、身近な遊びをアプリにしたかったとして、難易度を自由に設定できるようになっていました。実際に会場の参加者にフラッシュ暗算の問題を出し、正解した人にその場でプレゼントを進呈しました。

日本マイクロソフトの渡辺氏、慶應義塾大学の高橋さん、慶應義塾大学大学院の萬屋さん
日本マイクロソフトの渡辺氏、慶應義塾大学の高橋さん、慶應義塾大学大学院の萬屋さん

実践! 企画応募フォームの書き方

続いてエキサイトのスマートフォン推進室プロデューサーであり、⁠2012TSPAA」の最優秀賞受賞者でもある小島靖彦氏が登壇し、⁠今年のテーマの切り口と企画応募フォームの記述の事例紹介」というセッションを行いました。エキサイトではOSにかかわらずスマートフォンの企画をしており、代表的なアプリには「エキサイトニュース」「エキサイト英語翻訳」などがあります。小島氏が担当するアプリはエンタメ系が多く、⁠女子トピ」「Smile by Inoue Takehiro⁠⁠、⁠チャンネルガイド-東京事変」などがあるといいます。

小島氏は昨年の2012TSPAA最優秀賞を受賞した「東京スカイツリー LIGHT UP TOKYO」のプロデューサーを務めました。チーム体制は小島氏のほかデザイナー1名、エンジニア1名、サポート要員1名であり、エンジニアとサポートは入社1年目という状態で、実質3.5名程度だったといいます。開発は2011年12月中旬からスタートし、年内はまだ建設中であったスカイツリーの調査で終わったといいます。2012年1月初旬から本格的な開発がスタートし、1月末にはデザインが完了、2月13日の締切当日17時にapkファイルを提出しました。

小島氏は応募シートになぞらえて受賞アプリについて紹介していきました。まず「タイトル」「このアプリをひと言で表すと」では、⁠東京スカイツリーを自分色に染められる夢たっぷりのアプリです」と記載しました。ちなみに昨年の東京スカイツリーのテーマは「東京スカイツリー開業を、より多くの方にお祝いいただき、楽しみ、訪れていただくためのアプリ」だったといいます。

「概要」では、オリジナルのライトアップデザインを楽しめること、プレビューで確認できること、実際の風景と重ね合わせられること、気に入ったライトアップデザインはギャラリーに保存して再編集が可能であること、操作がシンプルなことなどを記載しました。

なお、本アプリのためにスカイツリーのプラモデルを購入、制作したり、東京スカイツリーの公式サイトはもちろん、採用されたLEDのメーカーであるパナソニックのサイトもくまなくチェックしたといいます。

2012TSPAAの最優秀賞受賞者である
エキサイトの小島氏
2012TSPAAの最優秀賞受賞者であるエキサイトの小島氏

さらに「アピールポイント」⁠画面遷移またはサイトマップ」⁠使用する主なサービス」⁠プラットフォーム」⁠特記事項」の説明を行い、今回のテーマについて紹介しました。今回は主催者部門として「オリジナルLife Timeアプリ」⁠懐かしのレトロゲーム」⁠The APP APEを使ったゲームアプリ⁠⁠、企業部門としてANAの「⁠⁠旅』をテーマにお子様や親子で遊べて楽しめるアプリ⁠⁠、WWFジャパンの「WWFが推奨するエコラベルの付いた商品を、知らせるアプリ⁠⁠、明治の「明治のおかしをテーマにした、楽しいアプリ」の6テーマとなっています。小島氏はこれらについても説明やアイデアのポイントを紹介しました。

アプリにはぜひ、ソーシャルな要素を

最後に登壇したのは、ニワンゴの代表取締役社長である杉本誠司氏。⁠ニコニコ動画の未来戦略」としてセッションを行いました。杉本氏は、アプリもWebサービスであるという視点でユーザとサービスの指向性について話しました。現在は「あり得ないことがネットで成立する時代に突入した」として、ネットには世の中を変える可能性が十分にあるとしました。例えば、11月29日に開催された「ネット党首討論会」では、現役首相をはじめとする10政党の代表が一堂に会し、ネット番組で討論を展開しました。ネットの来場者数は146万人を超え、ニコニコ生放送最多を記録しました。⁠ニコニコ6年間の歴史の中で、最大の来場者数が政治コンテンツで記録された」と杉本氏は強調します。

また、ニコニコ動画、ニコニコ生放送は、個人や団体、企業、メディアなどが提供する「コンテンツ」が、オンラインでユーザを巻き込んでくソーシャル性が特徴であると説明しました。同様に、アプリにはソーシャル性を入れておくことも重要であるとし、⁠みなさんはプランナーでありプログラマーなのです」と呼びかけました。

ニワンゴの杉本氏は、ニコニコの
サービスを軸にアプリが目指すべき
ものを説明
ニワンゴの杉本氏は、ニコニコのサービスを軸にアプリが目指すべきものを説明

さらに、ニコニコのユーザは単体マス構造ではなく、セグメント複合体による構造。つまり、ユーザは分断された縦割り社会であり、12のセグメントがあれば12の文化、言語がある。アプリを制作する場合には、全体にリーチするのか、セグメントにリーチするのかを意識すべきとしました。

杉本氏は「情報発信は自己重視であり、自己認識を満たす機会。それをアプリ化、サービス化したのがニコニコです」として、利用者にとってアプリが幸せになれる場所、そこまでいかなくても「うれしい」のレベルでもいいので、それを提供できるアプリを目指してくださいとセッションを締めくくりました。

なお、今回のオリエンテーションの様子はTSPAAのサイトで順次公開されていく予定です。

2013年東京国際スマートフォン アプリアワード公式サイト
URL:http://www.tspaa.jp/

Twitterキャンペーン実施中

抽選で10名様にAmazonギフト券5,000円分をプレゼント!

2013TSPAAオフィシャルアンバサダーたちを中心にTwitterアカウント「@2013tspaa」「あったらいいなぁ~こんなアプリ」をツイートします。応募者は「@2013tspaa」をフォローしたうえで応募用ハッシュタグ「#2013tspaa」をつけて、ほしいなぁと考えるアプリを投稿していただきます。

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