フランジアはシンガポールに本社を置き、ベトナム、日本、フィリピン、バングラデシュと5ヵ国9拠点、約1,000名の体制で、オフショア開発事業を中心に教育事業や投資/アクセラレータプログラムなどの事業を展開しています。ソフトウェア開発事業では、スタートアップのサービスを中心に150社200プロダクト超を開発してきました。
請負仕事ではなく、自分たちのプロダクトとして開発する
フランジアでは、ソフトウェアの開発そのものではなく、クライアントとともにサービスを通じたユーザーの感動体験にコミットすることをミッションにしています。それを象徴する事例の1つとして、次のようなクライアント(Basic社)からのコメントがあります。
「フランジアでは毎朝チームごとにミーティングをやっているんです。今日やることや昨日やったことを報告して、それが終わったらどこのチームもかけ声をかけて仕事を始めるんですが、僕もHomeup![1] というサービスの開発で初めて現地に行ったときに、チームメンバーが『Homeup!いくぞ!』『 おーっ!』ってやってるんですよ(写真1 ) 。急にみんなでっかい声で。僕は何も知らなかったので、それを見たとき『すげぇな、これ』ってゾクゾクっとしました。彼らにとっては請け負っている仕事ではなくて、自分たちのプロダクトとして仕事をしてくれているんだなと感じました。」
写真1 フランジアでは毎朝すべてのチームがかけ声とともに仕事を始める
挑戦と創造性がエンジニアを育てる
フランジアはサービスの成功を技術で最大限サポートしたいという想いから、「 スピード・柔軟性・品質」のすべてを高めるためにさまざまなチャレンジをしています。たとえば創業当初、ベトナムのオフショア開発会社の多くが海外の大規模な基幹システムの運用/保守などをやっている中、フランジアはスタートアップを成功に導くための開発スピードと柔軟性を求め、Ruby on Railsとアジャイルを導入しました。当時ベトナムにはRubyを扱えるエンジニアはゼロに近かったのですが、教育ベースでチャレンジしました。結果、今では500名を超えるRubyエンジニアが在籍しており、その数は各大学との提携による寄付講座などの提供によりさらに増え続けています。
また、アジャイルアプローチを導入したことで、「 言われたことをやる」というスタンスから、「 どうすればもっと良くなるか?」を考えて実行に移せるエンジニアが増えました。ソースコードの品質の担保にマンパワーがかかるのでCIツールを導入したのですが、プロジェクトの数が増え、さまざまなCI環境が乱立してくると、それならば一元管理できるようにみんなで総合CI/CD環境を構築しよう、というアイデアがエンジニアから発信されます。今ではDocker、Droneと静的なソースコード解析のライブラリなどを活用し、GitHub上にソースコードを上げた時点で自動でコードレビューが入ったり、ビルド/デプロイ時にチャットツールにレポートが上がったりする環境が構築されました。こういうことがエンジニア主導で行われています。
組織の垣根を越えた知見の共有が生む理想的なサイクル
プロジェクトを横断したインシデント共有会や、技術セミナー、勉強会、プログラミングイベントなどもかなりの頻度で自発的に開かれています。蓄積した資産を会社というカテゴリを越えてコミュニティに発信/共有することも積極的に行っています。たとえば、ベトナムをメインに運営しているVibloというナレッジ共有のプラットフォームには、12,000人以上のエンジニアがサービスに登録して日々情報を発信しています(写真2 ) 。月間のUUも12万、PVは50万を超えています。このように地道にエンジニアコミュニティやカルチャーの発展に貢献してきた結果、フランジアには月に2,000枚以上の履歴書が届くようになりました。
写真2 エンジニアカルチャーやコミュニティの形成に向けた活動
こうした活動を続ける中で、その想いに共感してくれたクライアントたちが「フランジア応援団」という団体を結成してくれました(写真3 ) 。テモナ、UZABASE、Basic、Lancers、teamLab、JapanTaxi、ReasonWhy、DMM.comラボ、EventRegistと、日本を代表するベンチャー企業のCTOや事業責任者が参加してくれています。プロジェクトや会社の垣根を越えてナレッジやノウハウを共有し、それをフランジアがアウトプットに落とし込んでいく。そういう理想的なサイクルができています。
写真3 フランジアの想いに共感するクライアントによって結成された「フランジア応援団」
国や人種を越えたオールスターでイノベーションを産み出す
サービスの成功にもっとコミットできるように、昨年からアジア各地のスタートアップへの投資、アクセラレータプログラムの提供や、サービスのアジア展開の協業なども始めました。
フランジアが事業を展開している国々を見ていると、それぞれの特性があります。たとえば、ベトナムでは理系の教育に力を入れており、エンジニアが人気職種です。優秀な理系人材がエンジニアになりやすい環境なので、アルゴリズムを考えたりする能力に長けた人材が多いです。しかし、UI/UXやサービスに対する意識や感性はまだ足りません。一方、日本は優秀な理系人材のエンジニアは不足していますが、サービスに対してクレイジーと言われるほど高い要求を求めることができる人材がたくさんいます。サービス先進国で生まれ育った経験がアジアでは活きます。
フランジアはそれぞれの特性を組み合わせ、国や人種を越えたオールスターでイノベーションを産み出し続けられるような事業創生のプラットフォームを目指しています。これを、大航海時代以降500年の歴史に対する大きなチャレンジだと思ってやっているメンバーもいます。
一番大きなハノイのオフィスでは7ヵ国のメンバーが入り乱れて仕事をしています。日本人も20名以上在籍していますが、みんな英語が特別得意なわけでもありません。海外に出ることはなんとなくハードルが高く思われがちですが、そういうチームにジョインしたいと思ったエンジニアたちがチャレンジしやすい環境を、もっと作っていきたいと思います。
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