そんな中、Javaは、「Write once, run anywhere」のコンセプトで開発され、インターネット、とくにWeb環境で動かすことを最重要視して開発された言語でした。このように、インターネットが一般的にはまだほとんど浸透していない時代から、“ネット”を意識していたことが、現在のIoT(Internet of things)と呼ばれる、すべてのデバイスがつながりはじめた時代でも注目され、利用されていることの裏付けと言えるでしょう。
この点に関して、寺田氏は「当時の開発元であったSun Microsystems, Inc.が掲げていた“The network is the computer.”の考え方がそのままJavaにも引き継がれていたことは大きなポイントだと考えています。Javaの父、James Gosling、そしてBill Joyの考えが強く反映され開発が進んでいたからでもあります」と振り返りました。
それぞれの普及にあると、寺田氏は説明しました。Java SE 8は2014年に、Java EE 7は2013年に正式リリースされ、さまざまな情報や各種勉強会などで取り上げられてきています。2015年は、開発者自身がこれらの技術に触れ、実際にコードを書いた次のステップとして、実運用として利用が高まっていく、こういう動きが注目すべきところだということになります。
その他、寺田氏がとくに2015年注目しておきたいJava SE 8の機能として「Date and Time API」を挙げました。名前のとおり日付を扱うAPIで、これまで人間にとってわかりづらい記述をしなければならなかった実装を、このAPIを使えば、人間が直感的にわかりやすい表記が行えるようになります。また、ISO 8601という国際標準規格に則っている点も押さえておきたいポイントです。
Java EE 7
次に、Java EE 7は2013年7月にリリースされ、すでに次のバージョン8の開発は進んでいます。しかし、エンタープライズの世界では、まだまだ7の普及率が低く、2015年は7がもっと浸透していくことが予想されます。
そのカギを握るのがCDI(Contexts and Dependency Injection)です。これは、汎用化されたDepencency Injectionをアプリケーションから利用できる技術で、6から仕様に追加されました。現在の7になり、CDIがEJBと同等の機能を持ち始めてきていることもあり、既存の開発スタイルを踏襲しながら、軽量開発を行っていけるという観点から7以降のカギになると見られています。
この他、最近のエンタープライズJavaは、フロントエンド開発をきちんと支えられるかどうかに注目が集まっており、とくにHTML5との連携が重要なポイントなっています。7では、クライアントAPIやフィルタなどを含むJAX-RS 2.0が含まれていることからも、RESTアーキテクチャによる開発効率が格段に高まりました。結果として、フロントエンドを支える技術としてのJava EE 7に注目が集まっているのです。
寺田氏は「これまでHTML5やJavaScriptに精通した開発者や開発企業が、フロントサイドを支える技術としてJava EE 7を選択し、利用していくと予想します」と述べました。