JvaOneレポート第2回は、展示製品の紹介やJavaOne Pavilionの模様を中心にお届けします。
Project Blackbox
今回のJavaOne Pavilionの中で一番目立っているのが、「 Project Blackbox」の展示でした。
Project Blackboxは、Sunが提供する移動可能なデータセンターソリューション です。2006年10月に発表され、プロトタイプの製作が進められていました。今回初めて一般向けに公開されまたした。
今回のプレスツアーを担当したProject Blackbox Sr. Product ManagerのMaurice Cloutier氏。後ろがProject Blackboxで提供されるデータセンター環境。
20フィートサイズのコンテナ内に、電源、ネットワーク、サーバ、その他各種インフラがすべて整っています。構成は、コンテナ部分と電源部分に分かれており、コンテナ側にはサーバを設置するラックの他、ネットワークや電源ケーブル、水冷装置などが用意されています。また、機器を制御するコントロールパネルは入り口にまとめられています。
コンテナ内部。人が1人やっと通れるぐらいの広さです。
※音が鳴ります。ご注意ください。
Project Blackboxのコントロールパネル
すでに商用版も完成しており、最初の導入はStanford大学で採用されることが決まっています(2007年第3四半期) 。今後の提供は、Sunからの直接販売の他、リースやレンタルなどのオプションも用意しているとのこと。提供価格は50万USドル以下に抑えたい意向があるそうです。
当面のターゲットは、HPCの分野をはじめ、高スペックシステムを必要とする企業や組織、中でも、現在すでにデータセンターを利用していて、さらに追加で増やしてきたいシーンを想定しているところとのこと。
Project Blackboxは、データセンターそのものを提供する、という斬新なコンセプトの下、発表当初から注目されていました。整備されたインフラ、限られた場所にも設置可能といった特徴は、今後日本でのニーズも高まることが予想されます。
詳細な仕様についてはオフィシャルサイト をご覧ください。
Project Blackboxオフィシャルサイト
URL :http://www.sun.com/emrkt/blackbox/
JavaOne Pavilion
General SessionやTechnical Keynoteとともに、来場者の注目を集めるのが、展示会場「JavaOne Pavilion」です。昨年に比べると出展社の数が減ったように感じました。一方で、前述のProject Blackboxや、昨日発表されたJavaFXなど、注目の展示が行われており、来場者の数は非常に多く、盛り上がっていました。
今回は、Sunのブースを中心に紹介します。
Project Wonderland
「 Open Source 3D Worlds」――このキーワードとともに展示されていたのが、「 Project Wonderland」です。これは、『 Software Design』での特集執筆でもおなじみの川原英哉氏が開発しているLG3D(Project Looking Glass)上のアプリケーションです。Project Wonderlandの開発はPaul Byrne氏が担当しています。
LG3D開発者、川原英哉氏。Poject Wonderlandブース前にて。
これは、LG3Dの機能を利用した仮想空間で、元々はMenlo ParkにあるSunLAB.内のコミュニケーションの場としてはじまったそうです。見た目は、今はやりの「Second Life」に近く、LG3D上に構築されているので、X Window SystemやLinuxアプリケーションを3D化して利用できます。
仮想空間上でメッセージなどのコミュニケーションがとれることに加えて、同じ環境内でアプリケーション実行を共有できます。オープンソースで開発されており、今後の可能性を感じる大変おもしろいアプリケーションです。
ちなみに、現在空間内の名称を「Building 20」と呼ばれています。これはMenlo ParkにあるSunLAB.の建物がBuilding 18まであり、それにちなんでつけたとのこと。ちょっとだけ雰囲気をお楽しみください。
Project Wonderland
※音が鳴ります。ご注意ください。
Project Caroline
今回、いくつかの新しいプロジェクト名を目にしました。その中の1つ「Project Carolin」 。これは、2日前に発表されたばかりの新プロジェクトで、研究開発向けのホスティングプラットフォームを提供します。仮想化技術を利用して、ホスティングサービスの共用サーバと同じく、複数の実行環境を提供します。
展示のデモは、1つはNetBeans上でのアプリケーションコンパイルとテストを、もう1つでは、ネットワークで離れた場所(マサチューセッツ)にあるホストから、複数ユーザによる利用が行われていました。
Project Carolineの実行デモ。手前がNetBeansを実行、奥が遠隔でのサーバ利用をしている画面を表示しています。
JavaFXやNetBeans 6も
初日のGeneral Sessionで発表されたJavaFXやNetBenas 6のプレビューも行われていました。とくにJavaFXは今回のJavaOneの中でも注目されており、たくさんの来場者を集めていました。
JavaFXのブース。リリースに先駆けてリッチアプリケーションの開発および実行のデモが見られました。
NetBeans 6のブース。担当者曰く、非公式ながら今年10~11月には正式リリースされるのでは、とのことです。
その他、jMakiによるAjax開発環境やJSF(JavaServer Faces)を使ったGUIでのWeb 2.0アプリ開発をテーマにしたブースにも、たくさんの人だかりができていました。Java開発者の中でも、今まさにMashupやWebサービス関連の開発に注目が集まっていることが伺えました。
マルチメディアロボットRobosapien
イベント会場内の通路やJavaOne Pavilionで、目立っていたのがWowWee のRobosapienです。
WowWeeは二足歩行も可能なマルチメディアロボット。簡単な動きの他、各種音声の出力などが行えます。制御にはJavaを利用しており、プログラミングに関するコミュニティサイト(http://www.robocommunity.com/) もあります。
会場内通路に設置されていたRobosapienの紹介ブース。この他JavaOne Pavilion内にもスペースが用意されていました。
JavaOne内で「Robosapiens Developer Contest」と題したプログラミングコンテストも実施されていて、結果は会期中に発表される予定です。
製品担当者に聞いたところ、当面日本での販売は予定していないとのことです。
※音が鳴ります。ご注意ください。