最終日、4日目に行われたGeneral Sessionは、Java関連デモンストレーションのオンパレードでした。
和太鼓の音ともに
オープニング前、会場を盛り上げたのはSan Francisco TAIKO DOJO のメンバーによる和太鼓演奏。参加者は皆、アメリカ西海岸で和風な音楽とともに、今年最後のGeneral Sessionを待ちわびました。
オープニング前の和太鼓演奏
James Gosling氏によるToy Show開幕!
最終日General Sessionのメインを務めたのは、おなじみJavaの産みの親、James Gosling氏。Toy Showと題し、華々しい2007年フィナーレの幕開けとなりました。
Toy Show―どんな製品が出てくるのかドキドキします
Project D-Light:DTrace for Developers
最初に登場したのは、米SunのDevelopment Tools Engineering、Roman Shaposhnik氏が紹介する「Project D-Light」 。これは、Sun Studio上で利用できる機能拡張で、Solaris 10での最大のカーネル拡張である「DTrace」( OS内の動向をチェックするための機構)を、NetBeans上で可視化し、さらに分析できます。
現在NetBeans向けのモジュールの開発も進んでおり、2007年5月末にはリリースされるとのことです。
Project D-Lightのデモ
Network.comによるグリッドコンピューティング
続いて、Sun Grid EngineeringのSenior Staff EngineerのRob Englander氏による、グリッドコンピューティングのデモが行われました。同氏は、Network.comにおいてさまざまなグリッドコンピューティングの研究開発を行っています。今回は33スタックのグリッドを構築し、StarOffice上のSpread Sheetに株価を表示するデモが行われました。
グリッドを使った計算結果の表示。200GPUを使ったフルタイム稼働も実現できるとのこと
NetBeans 6
その後は、初日のGeneral Session でも紹介されたNetBeans 6のプレビューが登場しました。
今回のデモでは、Tor Norbye氏により、サポートが発表されたJRuby、そしてその上で動くRuby on Railsのアプリケーションの他、SwingアプリによるMushupなどが紹介されました。
操作性に加えて、拡張性が上がったNetBeans 6
Javaで制御を!RICOHプリンタシステム
RICOH Corp.のGreg Anderson氏、SunのPetr Suchomel氏RICOHプリンタを使用した印刷システムの紹介が行われました。デモでは、携帯電話で撮影したJames Gosling氏の写真をGlassFishによるJava EEサーバへ転送し、RICOHプリンタで印刷する、というものでした。
このアプリケーションはNetBeansを使って開発されており、その生産性の高さを強調しました。
Gosling氏の笑顔の写真を。携帯電話→プリンタで即座に出力
Blu-ray
さて、開発系のデモに引き続き、組み込みおよびリアルタイムにフォーカスしたJavaのデモンストレーションが行われました。
最初に登場したのはBru-rayによるDVDのデモンストレーションです。映画『KINGDOM OF HEAVEN 』などの映像を紹介した後、実際のDVD映像に、各種トリビアなど質問を重ね合わせるインタラクティブソフトウェアを紹介しました。
この仕組みを利用すると、複数の視聴者が映像を見ながらその映画に関する知識の競い合いなど、新しいコミュニケーションを取ることができます。これを実現しているのが組み込みJavaで、インターネットを利用したデータベースと接続し、双方向性を持つコンテンツが生み出されます。
映像の上に参加者のポイントが表示される。新しいBru-rayコンテンツのデモ
Cine Shotで特撮を実現
続いて、ビデオカメラの制御に組み込みJavaを採用した「Cine Shot」が登場しました。これは、Swingを使って開発された映像処理アプリケーションで、ビデオカメラで撮影した動画を、リアルタイムで編集することが可能です。
実際のデモでは、壇上にいるGosling氏の後ろにグリーンシートを配置し、会場風景と合成する特撮のデモが行われました。画像処理スピードを含め、違和感のない体感速度で実行されており、Real Time Javaの進歩、可能性を感じることができました。
左がGosling氏の生の撮影画面。右が会場と合成した映像
Project Wonderland
さて、今度はうって変わって、バーチャルリアリティのデモが紹介されました。すでに「Project Wonderland 」です。
これは、Project Looking Glass(LG3D)の上に構築されているバーチャルリアリティのシステムで、Project Darkstarと呼ばれるサーバシステムとProject Wonderlandを合わせる形で、双方向での仮想空間を実現できます。
Project Wonderland。実際にSunLAB.で利用されているMPK20 の紹介も行わました
Robosapienたちの愉快なダンス
いよいよ、General Sessionのフィナーレが近づいてきました。「 FUN WITH DIVICES」というキーワードの下、最後は、実際のハードウェアを含めた楽しいデモを一挙公開。
最初はまず、市販されているロボット「Robosapien」たちによるダンスです。BGMとともに3台のRobosapienたちが踊り出します。
前回のレポート「Javaテクノロジの見本市 -会場展示+JavaOne Pavilion探訪 」も併せてご覧ください。
Robosapienたちのダンス
The ABB Robot Arm:not a toy
「おもちゃじゃないよ(not a toy) 」として紹介されたのが、The ABB Robot Arm。工業用のアームロボットです。プロットによる絵の描画、手の形をした置物の指の間を突くデモなど、操作性の高さを表現しました。
この置物の指の間を、速いスピードで寸分違わず突くデモが行われました
Javaで水中探索!S.O.N.I.A Project
今度はSysteme d'Operation Nautique Intelligent et Autonome(S.O.N.I.A.)による自律型水中自動車の製作プロジェクト「S.O.N.I.A. AUV Project」の登場です。壇上では、実際に制作したマシンを、内部を見せながら解説しました。
動きについては「John Gage氏およびJavaFXマーケティング担当へのインタビュー、S.O.N.I.A. Project(動画あり) 」をご覧ください。
S.O.N.I.A. Projectのメンバー
高機能画像認識も!自律ヘリコプターのデモ飛行
最後に登場したのはReal Time Systemで制御されるヘリコプターです。BGMに合わせて飛行のデモが行われ、壇上へ登場。
このヘリコプターには、3Dの画像認識技術が組み込まれており、実際のセンサーによる位置確認情報の出力を見ることができました。
飛行するヘリコプター。周囲のデータをきちんと認識できます
華々しく登場!
※音が鳴ります。ご注意ください。
最終日のGeneral SessionはJavaの今を体感できるさまざまなデモ、さまざまなデバイスが登場しました。今回のJavaOneは、OpenJDK、JavaFXと、デスクトップ/コンシューマ向けの話題を中心に構成され、さらに組み込みJava/Real Time JavaというJavaの商用での実用性をアピールする場でもありました。
昨年のJavaOneがJavaEEを中心としたエンタープライズに寄った話題に比べると大きな方向転換とも言えます。これからのJavaの広がり、可能性をさらに感じる4日間でした。
General Session終了後も、会場にはたくさんの参加者が残って会話を交わしていました。2008年は5月6~9日での開催が予定されています