私と技評さんの関係
私は2004年から「オープンソースカンファレンス」というオープンソース関連のユーザーグループや企業や団体や個人の方々の集まるイベントの企画運営を担当しておりますが、2004年の開催当初から技術評論社さんにも厚くご協力をいただいております。
2007年の開催もよろしくお願いしますね、とご挨拶に伺ったところ、返す刀でこの記事を依頼されてしまいました。
というわけで2007年もがっちりと組んでいきたいと思います。
オープンソースカンファレンスのこと
「オープンソースカンファレンス」(以下OSC)に参加したことがない方に簡単にイベントの概要をご説明しますと、一言でいえば「オープンソースの文化祭」といった感じです。
オープンソースというとコミュニティ、コミュニティというとGeekでNerdな集まり、というのがステロタイプなイメージですが、OSCはさまざまなユーザ会だけでなくオープンソースに関連するビジネスをされている企業の方々や、とくにグループなどを形成していない個人のオープンソース開発者の方、さらにはお仕事に、あるいは趣味にオープンソースソフトウェアを使っている人たちまでひっくるめて坩堝(るつぼ)に投げ込んだようなお祭りになっています。
来場者も、スーツの人もいれば、デロンとした格好の人(わかります?)まで、本当に幅の広い人たちが1,000人以上集まるわけで、それはもう大騒ぎといった感じです。
2007年は3月16日(金)・17日(土)を皮切りに、日本全国の各地域での開催も行っていきますので、ぜひご参加ください。
2007年はバーチャルがリアルになる
さて、2007年、私自身のテーマは「バーチャルがリアルになる」です。もう少し言葉を追加すると
「バーチャル(テクノロジー)がリアル(ビジネス)になる」
ということです。
以前から仮想化技術には注目しており、『Software Design』誌ではVMwareやVirtual PCなど、さまざまな仮想マシンソフトウェアの記事を執筆させていただきましたが、これらは技術者が実験環境を作ったり、異なるOSを同時に走らせるなど比較的小規模な利用に留まっていました。
しかしCPUがマルチコア化されるに従って、サーバーリソースを効率的に利用するソリューションが求められるようになり、俄然注目されるようになったのが仮想化技術なわけです。従来のシステムが「マルチタスク」によるCPUリソースの有効活用を図っていたのに対して、あり余るリソースを論理分割して「マルチVM」を並列実行することで得られるメリットが十分現実的になってきたといえるのではないでしょうか。
そんな状況の中、GPLでライセンスされている「Xen」はすでに先行しているVMwareやWindowsサーバの仮想化に進もうとしているMicrosoftと並んで、仮想化技術を支えるコア技術として注目株といえるのではないかと思います。
新刊の『仮想化技術Expert』にも、Xenについて色々と書かせていただきました。そちらも是非ご覧ください。
2006年12月26日に、仮想化技術をリアルビジネスにするために「日本仮想化技術株式会社」を新たに設立しました。仮想化技術を利用したシステム構築のノウハウを蓄積し、より良い仮想化環境を提供するための体制を整えていく予定です。仮想化のビジネスはまだまだ先が見えない状況ですが、「本気でやる会社」が存在することが、ビジネスを加速させる大きな要因になると考えています。2007年は新しい会社のビジネスに全力投球していこうと思っています。
2007年のオープンソースはどうなる?
色々な方にお話を聞いていると、以前からオープンソースに関わっている人たちの「成熟感」と、まだまだこれからやっとオープンソースだという人たちの「未成熟感」の間に大きなギャップがあるように感じます。
オープンソース黎明期のころは皆が手探り状態だったのに比べると、現在のようにオープンソースがあたりまえのものとして受け入れられるようになったと感じる「慣れ」がさらなる拡大を阻害する要因になっているように思われます。
今一度、初心にかえり、何が必要なのかを考えるべき時にきているのかもしれませんね。