UNIXとの邂逅
私がはじめてUNIX系のOSに出会ったのは、入社間もない1996年の夏でした。
大学時代に英文学を専攻してした私には、在学時代にUNIXに触れるチャンスはほぼ皆無でした。それが電子マネーを担当することになり、SunOSが身近にある環境になるのですから、縁とは不思議なものです。
当時親に借金して買ったThinkPad 560に、ISDNテレホーダイを利用して一晩がかりでFreeBSD 2.1.5を導入したのを覚えています。
自宅サーバの構築、AWStatsとの出会い
2000年秋に自宅にフレッツISDNが開通したのを受け、TurboLinux 6.0で自宅サーバを立てたのが、本格的なOSSとの付き合いの始まりでした。自宅でWebサーバを構築すれば、そのアクセス状況を知りたくなるのは当然で、AnalogやWebalizerを試したものの、ビジュアル的にあまりに貧弱なことに失望し、海外のOSSの情報サイトで検索して見つけたのがAWStatsでした。
当時のAWStatsは英語版しか存在しなかったのですが、必要に応じて自分で手を加えることができるのがOSSの魅力です。自分の手で日本語化をはじめとする改造を施すという作業は、これまでにない新鮮な体験で、まさに夢中になったのを覚えています。
そしてそれを自らのWebページで公開したところ、実に多くの人がダウンロード/利用してくださったのですが、これもまったく未知の体験でした。官公庁系のサーバやco.jpドメインで稼動していることがわかったときには、にわかには信じられない思いでした。AWStatsの更新があると、暇を見て最新版に対応させる作業をしていますが、そのやる気の源は、今も昔も、目では見えない利用者の存在です。
2007年のOSS
数年前から、私が勤務しているデータセンタにもOSSの波が押し寄せています。アプリケーションとしてプラットフォームを問わずに利用されているApacheやBINDは言うまでもなく、Linuxサーバを預かることも珍しくなくなりました。監視系のシステムでもOSSが活躍していますし、私自身もPerlでちょっとしたスクリプトを書いて監視業務に利用していたりしています。
しかし、本気でOSSを業務で利用しようとすると、サポートがないという壁に当たることが少なくありません。外部に公開するサービスや基幹業務であれば、サポートが受けられないということは、すなわち採用できないということを意味する場合も少なくありません。しかし、国内でも徐々にOSSをサポートするベンダが登場してきました。今年は、OSSをサポートするベンダがさらに増加し、それを受けてOSSを本格的に業務で採用する企業が増えるのではないでしょうか。
一方、AWStatsですが、やることをやり尽くしたのか、開発スピードが低下しつつあります。日本での知名度もかなり上がったと思いますが、日本語の情報が少ないのは相変わらずです。ドキュメントの日本語化などを通じて、AWStatsのさらなる普及に貢献できればいいなぁと思っています。