はじめに
Agileの祭典を今年も「Agile Conference Tokyo 2013」として開催することになりました。今年のテーマは、次世代Agileとしての「KANBAN」を採り上げます。KANBANは、日本語が英語になったもので、トヨタ自動車の「カンバン方式」からきています。このKANBANが欧米ではかなりの人気で、多くのソフトウェア開発の現場で使われだしています。日本では生産管理の現場で見かけるだけですが、ソフトウェア開発ではこれから導入されて行くでしょう。
KANBANの凱旋(日本から輸出されて、日本にブーメランのように戻ってくる)
KANBANの概要
それでは、KANBANとはどういうものなのでしょうか? Agile開発はソフトウェア開発の工程がターゲットですが、KANBANはもっと広い範囲を扱います。製品やサービスの企画段階から、開発を含み、リリースまでを対象にしています。ソフトウェアだけでなく、すべてのアクティビティを含んだ工程のライフサイクルを管理するものです。
具体的に、KANBANの主要部分のKANBANボードは以下のようになります。
KANBANボードの概要(http://www.thoughtworks.com より引用)
KANBANボードの例(http://www.thoughtworks.com より引用)
一番左は、企画段階の作業が貼られています。Agile開発で使用するストーリーとして、企画項目がピックアップされます。その企画項目が企画から実際の実現段階になると、右の段階に移動します。さらに、実現段階から開発段階に入ると右に移動します。このように、工程をボード上で進めて、様々な企画の進捗を一目でわかるようにしていきます。
KANBANの本質は、ボードを使うだけではありません。問題があるアクティビティがあると、それを分割して、問題究明をしていきます。問題解決のための手段も提供するのです。さらに、このようにアクティビティを管理することで、全体の無駄を発見することができます。この「無駄」という日本語も「MUDA」として英語になっています。
日本語から、英語のKANBAN、MUDAなどが派生する
欧米と日本の両方のカンバンを紹介
今年のイベントでは、欧米のKANBANの状況をThoughtWorks社のKraig T.Parkinson氏よりお話いただきます。さらに、日本のトヨタ生産方式の最新版であるTMS(Total Management System)を、( 株)豊田マネジメント研究所の高木徹氏と( 株) 戦略スタッフ・サービスの三井伸行氏よりご紹介いただきます。日本で、欧米と日本の両方のカンバンに関するお話を伺うことは、本イベントが初めてでしょう。
KANBAN講演の概要
TMS講演の概要
次回は、KANBANの詳細について解説していきます。
「Agile Conference Tokyo 2013」 ご案内