Ingy döt Net(INGY)さん、Dave Rolsky(DROLSKY)さん、Jesse Vincent(JESSE)さん、C.L. Kao(高嘉良(CLKAO))さんとの対談の後編です。
読者に一言
DANKOGAI:では最後の質問です。本誌読者に一言どうぞ。
INGY:Webアプリケーションっていうのはコンピュータの歴史の中で最悪な出来事だ(笑)。なんでそれが最悪かっていったら、本当はコンピュータエンジニアっていったらもっと自由なはずなのに、Webブラウザが檻になってる。本当だったら、何してもいいはずなんだけど。まぁ少なくともWebのお陰で我々は飯を食えてるわけなので、あんまりバチあたりなことも言えないけれども。
DROLSKY:Ingyの意見には同意しかねるね。Webアプリケーション、いいじゃない。Google MapsみたいなものというのはWebがなければできなかったよね。確かにWebブラウザって言えば檻ではあるけれども、広大な檻。
DANKOGAI:我々も、地球という檻に閉じ込められている。
JESSE:Webアプリケーションというのは新たなPerlじゃないかな。どういうことかっていうと、Webアプリケーションは単にアプリケーションであるだけではなくて、他のWebアプリケーションのためのコンポーネントにもなっているわけです。コンポーネントを結びつけて何かを作るっていうのは、まさにPerlの一番得意としてきたところです。
DANKOGAI:Code 2.0?
全員:(笑)
JESSE:しかし、危険もあります。Gmailが止まったらどうするか?かつては各自で持っていたデータを、Webアプリケーションの世界では一カ所でまとめて管理することが多い。そこが止まったときの影響は、ローカルアプリケーションのバグ以上に深刻になり得る。
INGY:Webアプリケーションっていうのは結局、二次元の世界。世界はもっと広いところなのだから、これから次元数を増やしていくにはどうしたらいいかっていうことに興味がある。
DROLSKY:オープンソースはすでに板に付いた考えだと思うんだけど、これからさらに大事になっていくのは、オープンデータという考え方だと思う。
DANKOGAI:Wikipediaとか?
DROLSKY:地図データとか。
CLKAO:人間の意識とか(笑)。
DANKOGAI:でも、そこまでオープンになると、もう自我も意味なしにならない? 私が今話しているのはIngy? それとも私がIngyだと感じている妄想?
INGY:ちょっとおしっこ行ってくる。おれがおしっこ行きたくなったことまで妄想してくれた?
全員:(爆笑)
DANKOGAI:正気と狂気の違いって何だろ?
JESSE:いまどき正気の人はいません。みんなどこか狂ってます。だから大事なのは、正気か狂気かじゃなくて…。
全員:役に立つ狂気か役立たない狂気か(笑)。
DANKOGAI:我々の狂気が読者の皆さんに役立つことを祈りつつ、インタビューを締めさせていただきます。おあとがよろしいようで。