第1回目は、Androidアプリを開発するにあたっての準備や心構え、そしてAndroidアプリ開発の醍醐味について紹介します。
まずは、ご挨拶
今回から12回にわたり、Androidアプリの開発の連載を担当させて頂くことになりました。よろしくお願いします。まずは、ご挨拶を兼ねた自己紹介から始めさせて頂きます。筆者は、Windows CE, Pocket PC, Palm OS向けにアプリを開発して経験があります。ご存知の方がいるかわかりませんが、稚作には「DMoney 」があります。当時は、PDA向けにアプリを開発していたのですが、スマートフォンと比較すると、潤沢とは言えないメモリとノンビリしたCPUをやりくりしながら、ライフワークとしてアプリ開発を楽しんでいました。
図1 想い出のマシン達とHT-03A。上から右回りで、IBM WorkPad、ご存知HT-03A、Palm Tungsten C、PHILIPS nino。
アプリ開発を始めるキッカケは「掌で自分のアプリを動かしたい!」という単純な動機です。その成果の評価はさておき、お使い頂いたユーザ様と数多く交流できたことが、良い経験となり、私自身に新たな視点を与えてくれたと思っています。また、これをキッカケに、交流を続けている方も居るので、筆者にとっては貴重な経験でした。
口はばったいことを書きますが、これから開発を始めようと考えている方は、技法や技術論だけに捕らわれず、自身の知見を広げたり経験を豊かにする気持ちでアプリ開発にチャレンジして下さい。ソフトは、工業製品の側面があり数値化して一定の品質を追求する必要がありますが、作るのも人であれば使うのも人です。品質なだけでなく、ユーザに個性や輝きを感じさせる必要があるはずです。先で、技法や技術論に捕らわれずと書いたのは、数値に表すことが出来ない個性や輝きは、作り手の「懐の深さ」が重要だと筆者は考えているからです。例えば、ユーザと向き合うことで得られた経験は、普遍的な物でもあるので、技術者としても自身の資産となるはずです。それが、自分なりの切り口を生み出し、個性的なソフトを作り出す基礎となる可能もあります。
微力ですが、この連載が何かのヒントになり「いいアプリ」を生み出すキッカケではなく、ユーザの心を掴む「すばらしいアプリ」を世界に送り出せるキッカケになればと考えています。
それでは、前振りが長くなりましたが、第1回は、開発に必要な環境や醍醐味をご紹介します。
言語は?環境は?費用は?
AndroidのアプリはJava言語で記述し、開発環境は、Java使いにはお馴染みのEclipse(3.4または3.5)に、Googleが配布しているAndroid SDKとEclipseのプラグインをインストールして使用します。OSは、Windows(XPは、32bitのみ), Mac OS X,(10.5.8以降、Intel Macのみ) Linux(Ubuntu)で開発でき環境を選びません。何かと話題のiPhoneは、Mac OS XでXCodeを使い、開発言語には馴染みの薄いObjective -Cを使いますが、Androidは、OSを選ぶことなく、お馴染みの開発環境と開発言語を使うので、PCとやる気さえあれば、すぐにでもアプリ開発が始められます。
図2 開発する様子。筆者はMac OS Xを使って開発をしています。
開発環境は無償ですが、Androidマーケットを通じてアプリを配布する場合は、初回のみ25ドルの登録料が必要になります。この登録料は、カードのみ支払いになるので注意が必要です。
図3 Androidマーケット。ここから世界へ扉が開かれています。
さて、Javaでの開発経験はあるが、スマートフォンのアプリは開発した経験がなく、どこから始めて良いか分からないと言う方や、スマートフォン向けアプリの開発は、セコセコしていて、面倒くさそうと思っている方がいらっしゃるかもしれません。
実際、OS特有のテクニックや技法は、大なり小なり存在し、気遣いが必要になりますが、アプリ開発に利用するJavaとEclipseは、ともにメジャーなので情報や書籍も多く初めての方も比較的楽に学習できるので、構える必要はないはずです。また、セコセコしているように感じ部分も、PCのようにはいきませんが、実行速度やメモリ操作に対して、大げさに注意する必要はありません。無論、まったくというワケではないので、ポイントを頭の片隅に置いて開発する必要があります。そうしたポイントは、この連載でご紹介したいと考えています。
醍醐味は?魅力は?
ここまでお付き合い頂いた方に、醍醐味や魅力の説明は必要ないかもしれませんが、一番は、日々の生活で使っているケータイを、力量次第で「さらに便利」とか「さらに楽しく」できることだと考えています。飛躍しすぎかもしれませんが、開発したアプリが、自分だけではなく、他人の生活にも変化をもたらす可能性があるわけです。これって、凄いことではありませんか?
次に、冒頭でも触れましたが、開発したアプリをAndroidマーケットを通じて、世界に公開できることです。原稿執筆時点で、無料アプリが配布できるのは17ヵ国、有料アプリが配布できるのは10ヵ国となっています。言語の課題がありますが、世界のAndroidユーザを相手に、自分の力量を試すことができるので、ワクワクして来ませんか?
最後は、アプリ開発の敷居が低いことです。
先でも書いたように、Windows, Mac, Linuxで開発でき、開発環境も無償なので敷居が低く、その気さえあれば、すぐにでもアプリの開発が行えます。また、Android OSのライブラリは、非常に練られたデザインで関心させられる部分が多くあるので、エンジニアとしてスキルアップの為にチャレンジすることも考えられます。
次回からはペースアップで!
第1回は、具体的な内容に触れることがありませんでしたが、第2回からは開発環境を構築する説明をしていきたいと思います。