コンピュータが実行できる命令をまとめたISA
安価なTWSイヤホンなどで実用が進むRISC-V
先日、私は友人たちと
米中貿易戦争に関わらず、中国の中小企業は部品の自社化を進めています。よく売れる製品で、内部の複数のマイコン部品をまとめてSoC
たとえば両耳それぞれが無線接続のTWSイヤホンは、ここ2~3年で2000円以下の物も出てくるほど安価になりましたが、SoCを製造している珠海のJieLi、深圳のBluetrumなどの企業は、いずれもRISC-VをCPU部分で使用しています。
技術国産化として取り組む中国政府と、新分野に期待するベンチャー
RISC-Vのような新しいISAは、これまでのISAの置き換えと、これまでのISAで難しかった用途の両方に可能性があります。X86やArmの置き換え用途はあまり現実的ではありませんが、米中貿易摩擦のなかで技術の国産化に取り組む中国としては、外国企業の持つISAをオープンなRISC-Vに置き換えることは、政府補助を注ぎ込む価値があるプロジェクトです。これまでも、中国は国産X86プロセッサ、国産OSなどに予算を注ぎ込んできました。
もう1つの用途は、新しい分野や企業の進出です。X86もArmも、ISAの利用にはそれぞれの企業と契約と料金の支払いが必要ですが、RISC-VはFreeでOpenなISAなので、これまでプロセッサ製造と無縁だったさまざまな企業がプロセッサ製造に乗り出すことができます。深圳周辺の企業が作っている安価なTWSイヤホンなどの事例はこちらです。
ハイパワーRISC-Vにさまざまな支援を注ぎこむ中国政府とビッグテック企業
これまで、中国政府の独自CPU開発やX86CPUと独自サーバ開発などの資金は補助金が中心で、政府と関係の深い会社のみが取り組む、実効性の乏しいものでした。中国科学院も香山
アリババ集団は2018年に、RISC-Vのチップを開発するグループ企業平头哥
既存のサーバ/
また、中国政府の支援も、国費でCPUを開発するだけでなく、技術者の教育や民間企業の研究開発費支援など、サプライチェーン全体を強化する方向に幅を広げています。
国際団体のプレミアメンバーの57%が中国系企業や研究所
2018年、中国国内に中国开放指令生态(RISC-V)
- 中国开放指令生态(RISC-V)联盟 2018年11月設立 中国政府の工信部が主導
- 中国RISC-V产业联盟 2018年09月設立 民間の芯原微电子
(Verisilicon) が設立
中国开放指令生态
Arm ISAでも複数のISAバージョンがあり、Cortex-xxシリーズのような形で処理性能の高いコアと電力効率の高いコアなどさまざまなコアIP製品があるように、RISC-Vでも
中国は政府、企業ともに、RISC-Vに力を入れています。RISC-VのISAを管理・
中国OSS推進連盟が発表した中国オープンソース発展ブルーブック 2022
このブルーブックによると、2018年に6件、2019年に8件、2020年に15件、2021年に16件と、2020年からRISC-Vに関するニュースが一気に増えているのが伺えます。また、当初は白書の発行、大会の開催といった政府や業界団体主導の盛り上げ型のニュースが多かったものが、2021年8月の
Bluetrumはこのコラムの冒頭に上げたような安価なBluetoosh SoCを開発している企業で、日本の100円ショップやディスカウントショップで売られている安価なBTスピーカーやTWSイヤホンの多くで同社のRISC-Vチップが使われています。XuanTieシリーズも組み込み用のCPUで、おそらくアリババ集団のクラウドと接続する自動販売機他のIoT端末使われていると思われるので、組み込み分野で大きなシェアがすでに成立している状態と言えます。
中国のRISC-V活用については、毎月・