インスタンスメソッドの可視性
インスタンスメソッドとはインスタンスに属するメソッドです。Javaでは、メソッドの可視性もフィールド変数と同じ4つです。メソッドの可視性は最小のprivateから始めて、必要に応じてpackage private、protected、publicと大きくしていくのが良いでしょう。
メソッドの引数の情報量
スコープから少し話はずれますが、メソッドの引数で渡す情報量をどの程度にするのかということも、依存性という面から見ると重要になってきます。
例を見てみましょう。以下はどちらも社員情報を取得するメソッドですが、[1]は引数が社員IDで、[2]は引数が社員オブジェクトになります。この2つのコード、どちらが良いコードだと思いますか?
一般的に[1]のほうが引数の情報量が少ないので、引数に対しての依存が少なく良いコードであると言えます。[2]は社員オブジェクトが持つすべての情報にアクセスできてしまうため、依存が大きくなります。[1]が依存するのは引数の社員IDのみなので、そこだけに注目してコードを書くことができます。
メソッドを利用する側から見ると、社員IDだけでメソッドを利用できるのと、社員オブジェクトが常に必要なのでは全然違います。しかも、[2]のメソッド内の具体的な処理では、社員オブジェクトの社員IDのみを使って社員情報を検索しています。このことがドキュメント化されていない場合、コードを読まないとその事実はわかりません。引数に余計な情報が含まれていると「社員IDがセットされた社員オブジェクトを渡すべし」といった暗黙的な仕様が生まれやすくなってしまいます。
上記のような問題から、メソッドの引数は必要最低限の情報を持つのが依存性が少なく良いコードであると言えます。
ただし、引数の数が多くなり過ぎる場合は、引数をオブジェクトに変更したほうがよいです。目安として引数の数が5つを超えるメソッドは、引数をオブジェクトに変更することを検討するとよいでしょう。
staticメソッド
staticメソッド(クラスメソッド)はクラスに属するメソッドです。Javaではstaticメソッドは、staticキーワードを付けて宣言します。staticメソッドの可視性はインスタンスメソッドの可視性と同様です。一方で異なる点として、「staticメソッドはフィールド変数にアクセスできない」ということが挙げられます。
フィールド変数から見ると、インスタンスメソッドをstaticメソッドに変更した場合、自分が影響を与えるメソッドが減ることになり、結果的にスコープは小さくなります。フィールド変数にアクセスする必要がなく、オーバライドなどの必要がないメソッドは、staticメソッドにしたほうが良い場合が多いです(リスト6~7)。