「絶対の正解」がない中でポイントになること
今回の問題は、
この質問は絶対の正解があるわけではありません。
- 「数値をどういう観点で見るか」
- 「そこからどういう気づきが見つけられるか」
- 「その気づきを施策に転換できるか」
という部分がポイントになります。
今回いただいた回答には、
では、
指標をどのように活用すればいいか
質問1は、
流入元と入口ページをどのように改善しますか?
以下が
流入元 | 流入回数 | 直帰率 | 詳細ページ到達数 | 商品購入完了回数 | 売上 |
---|---|---|---|---|---|
自然検索 | 112,117 | 29. | 52,469 | 353 | ¥852,495 |
リスティング | 39,325 | 35. | 31,002 | 151 | ¥407,266 |
バナー広告 | 21,542 | 22. | 9,857 | 123 | ¥224,352 |
ノーリファラー | 60,564 | 18. | 24,686 | 234 | ¥643,225 |
メールマガジン | 8,542 | 20. | 4,986 | 29 | ¥119,892 |
その他無料流入 | 38,169 | 44. | 17,570 | 216 | ¥476,486 |
その他有料流入 | 7,194 | 29. | 3,417 | 32 | ¥65,888 |
それぞれの指標をどのように活用するかを見てみましょう。
- 訪問回数
流入元のボリュームを表します。通常は、
ボリュームが多い流入元を改善の優先順位を高めます。というのは、 同じ1%の変化でも、 改善する 「実数」 が大きいからです。 - 直帰率
1ページだけ見て離脱してしまう割合です。1ページだけ見て購入完了まで行くことはできないので、
直帰率が高いページは優先的に改善する必要があります。 - 詳細ページへの到達数
商品購入完了数 これらはそのままの数値を利用するというよりは、
「流入のうち、 何%がたどり着いたか」 を見て、 サイト内の改善施策に反映させるために重要な情報です。 - 売上
「訪問回数」 と同様に、 売上金額が高い流入施策が大切になります。また、 売上だけ見るのではなく、 購入完了あたりの平均売り上げを算出することで、 改善効果が大きい施策を見つけることができます。
計算して出すべき数値もあわせた表が以下になります。数値が良いものを
流入元 | 流入回数 | 直帰率 | 詳細ページ到達数 | 詳細到達率 | 商品購入完了回数 | 購入完了率 | 売上 | 売上÷購入回数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
自然検索 | 112,117 | 29. | 52,469 | 46. | 353 | 0. | ¥852,495 | ¥2,415 |
リスティング | 39,325 | 35. | 31,002 | 78. | 151 | 0. | ¥407,266 | ¥2,697 |
バナー広告 | 21,542 | 22. | 9,857 | 45. | 123 | 0. | ¥224,352 | ¥1,824 |
ノーリファラー | 60,564 | 18. | 24,686 | 40. | 234 | 0. | ¥643,225 | ¥2,749 |
メールマガジン | 8,542 | 20. | 4,986 | 58. | 29 | 0. | ¥119,892 | ¥4,134 |
その他無料流入 | 38,169 | 44. | 17,570 | 46. | 216 | 0. | ¥476,486 | ¥2,206 |
その他有料流入 | 7,194 | 29. | 3,417 | 47. | 32 | 0. | ¥65,888 | ¥2,059 |
流入施策の特徴を洗い出す
それぞれの流入施策の特徴を洗い出してみましょう。
- 自然流入
流入や売上は高いものの、
購入完了率は最も低い。 - リスティング広告
流入・
購入完了率・ 売上などは平均的。自然流入と比べて直帰率が高いのが気になる。詳細到達率は非常に高い (ランディングページが詳細ページのものが多いと考えられる)。 - バナー広告
購入完了率は高いものの、
単価 (売上÷購入回数) は最も低い。比較的安い商品が売れていることがわかる - ノーリファラ
直帰率が低く、
売上も2番目に高い。詳細到達率は低いが、 ノーリファラの1つでもある 「ブックマーク」 で詳細ページではないページをブックマークしている可能性が考えられるため、 結果的に低い可能性がある。 - メールマガジン
全体的に数値は低調なものの、
購入単価は最も高い。ただしボリュームは少ないため、 売上のシェアは低い。 - その他無料流入
直帰率が高いが、
購入完了率も高い。内訳の中に、 効果が悪い流入元と、 効果が良い流入元が混在していることが想像される。 - その他有料流入
ボリュームが最も少ない。売上単価も2番目に少ない。
施策を考える時の2つのポイント
上記の結果を元に改善施策を考えていくのですが、
その時考えるべきことが2つあります。
- 1.どの指標を改善するか
数値を改善するには、
おもに2つの考え方があります。1つは 「良い数値をさらに良くする、 あるいはほかの施策に転用する」 というもの。もう1つは 「悪い数値を改善する、 あるいは影響を低くする」 というものです。 どちらが正解ということはありませんが、
片方だけにならないようにしましょう。 - 2.どの施策を優先するか
施策の優先順位は、
次の3つの要素で決めましょう。 - ボリューム⇒ 多いほうが良い
- 平均からのズレの大きさ⇒
(マイナスであれプラスであれ) 大きいほうが良い - 思いつく施策の数と実施難易度⇒ 低いほうが良い
上記の観点から、
どの流入施策を優先的に改善するかを3つピックアップしてみました。 - ① 自然流入⇒ ボリュームが多く、
購入完了率が悪い - ②メールマガジン⇒ ボリュームは低いものの、
単価が高く、 直帰率が低い - ③その他無料流入⇒ ボリュームや単価は平均的だが、
直帰率が高く、 購入完了率も高いという極端に平均から数値がずれている
ノーリファラは、
売上が2番目に多く直帰率も低いため、 気になる流入元です。しかし、 「思いつく施策の数と実施難易度」 という観点から、 3つの中には入れることができませんでした。 リスティングは、
自然検索より直帰率が高いので、 クリエイティブやランディングページの見直しだけはやっておきたいですね。
改善施策の考え方
優先する流入元が決まったら、
- 自然流入
主要キーワード群ごとの各指標を確認する。その中でも購入率が高いものがあれば、
それらのキーワードにマッチするコンテンツを作成し、 さらなる流入数の増加を目指す。逆に、 ボリュームが多いキーワード群で購入率が悪いものがあれば、 サイトとしてそのワードに対してコンテンツを提供するかを決める。提供する場合は、 コンテンツを作成し、 購入率を改善する。 - メールマガジン
メールマガジンの登録数を大量に増やすのは難しい
(ポイントサイトなどで増やすことはできるが、 直帰率の増加や、 単価の低下が想像できるため)。そのため、 購入率をさらに上げることを考えたい。そのためには、 まずメールマガジンごとの配信数・ 開封数・ クリック数・ 購入率を確認する。数値が高い場合は、 どのような内容やクリエイティブで配信しているかを確認し、 メールの配信に役立たせる。 また、
単価が高い理由を突き止めるために、 購入商品・ 同時に購入数などを確認する。特に人気が高い商品があれば、 サイト内でも大々的に取り上げる。 - その他無料流入
「直帰率が高く、 購入率も高い」 という、 通常だとありえない組み合わせになっている。それは、 効果が高い流入元と低い流入元が混在しているためと考えられる。そのため、 流入ドメイン単位で数値を確認する。そして、 効果が高いものに関しては、 そのサイトでのクリエイティブを横展開、 さらなる流入アップを実現するためのタイアップや記事投稿などの施策を実施する。 数値が悪いものに関しては、
同じようなクリエイティブを自社内で利用していないか確認し、 改善する。
上記が私の回答になります。
流入ページのデータを確認する
では、
- 詳細ページ到達率=詳細ページ到達数÷流入回数
- 購入完了率=購入回数÷流入回数
- 購入単価=売上÷購入回数
入口ページ | 流入回数 | 直帰率 | 詳細ページ到達数 | 詳細ページ到達率 | 商品購入完了回数 | 購入完了率 | 売上 | 購入単価 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
詳細直接流入 | 69,677 | 32. | 69,677 | 100. | 478 | 0. | ¥1,151,671 | ¥2,409 |
TOP流入 | 54,953 | 18. | 12,460 | 22. | 149 | 0. | ¥319,837 | ¥2,147 |
一覧流入 | 62,914 | 23. | 43,880 | 69. | 410 | 0. | ¥1,103,438 | ¥2,691 |
特集流入 | 39,398 | 42. | 5,094 | 12. | 19 | 0. | ¥33,052 | ¥1,740 |
その他流入 | 60,512 | 27. | 12,876 | 21. | 82 | 0. | ¥181,606 | ¥2,215 |
先ほどと同じように、
- 詳細直接流入
ボリューム多く、
全体的に数値が優秀。流入ページがゴールに近いことが大きな要因として考えられる。若干、 直帰率が高いところが懸念点。 - TOP流入
直帰率が低い。ほかの数値はすべて平均的な値となっている。
- 一覧流入
詳細流入と似たような数値になっている。しかし、
直帰率は詳細流入より数値が良い。購入単価がもっと高い。 - 特集流入
全体的に数値が悪い。購入完了率も低く、
単価も安い。 - その他流入
購入や売上の数値が悪い。しかし、
それ以外は平均的な数値。
流入ページの改善策を考える
先ほどの優先順位の観点から、
- ①特集流入⇒ 数値が全体的に悪い、
かつ特集は作成の手間もあるので見直し対象 - ②詳細+一覧流入⇒ 数値が全体的に多く、
さらに流入を増やしたい部分でもある
考えられる施策は以下のとおりです。
- 特集流入
流入元とのかけあわせを行い、
自然検索流入の割合を把握する。割合が全体の1/ 3未満であれば、 SEO効果も少ない。売上以上に作成のコスト (人件費) がかかっている場合は、 特集の作成を辞める、 あるいは効果がある特集だけ残し、 ほかのリソースを割り当てることを考える。割合が大きい場合は、 特集ページのレイアウトや内容を見直す。特に直帰率が高いため、 まずは直帰率を減らすような施策から実施する。 - 詳細+一覧流入
どちらも入口ページとしては優秀なため、
こちらも同じように流入元とかけあわせて分析する。ボリュームが多く効果が良いもの・ 悪いものを見つけ、 改善施策のネタ出しに活かす。
どちらもほぼ同じ効果なため、
以上が
回答ピックアップ
回答いただいた方の中から
流入元データから、「メールマガジンによる流入を増やす」ことを改善案として提案する
- [提案の根拠]
- 売上/
商品購入完了回数 の比をとったものを見るとメールマガジンの値は\4,134となっており、 他の流入経路よりも高く(平均は\2,583)、 高額な商品の購入または一度に沢山の購入であると考えられる。
売上の上位を占める、
また、
流入元データから、
- 1購入完了あたりの売り上げ金額を流入元ごとに計算する……A
- 流入回数を分母として購入完了回数のCVRをそれぞれ求める……B
AにBをかけて1流入当たりの売上期待値を求めると、
入口ページデータから、
- 1購入完了あたりの売り上げ金額を入口ページごとに計算する……C
- 流入回数を分母として購入完了回数のCVRをそれぞれ求める……D
CにDをかけて、
上記2つの指標から、
流入元では、
ここでは、
ロイヤルユーザが投稿したくなる、
商品購入完了をコンバージョンとして、
以上から、
- メールマガジンの内容をバナー広告やリスティングの文章に生かせないか検討する。
- その他の流入によるランディングするページを確かめ、
可能ならコンテンツの内容を改善する (「その他」 としてひと括りにされているため、 単一ページの対応だけでは難しい?)。 - メールマガジンの効果が高いので、
可能ならバックナンバーを表示するか、 特集ページにメルマガへの登録をメリット (メルマガ会員限定の商品があるなど) つきで促すようにする。 - 購入完了後にメールマガジンへの登録を促すようなメッセージをメリットとともに表示する。
- せっかく特集ページを設置しているのにも関わらず、
大きな効果を得られていないため、 訪問者のニーズを把握して特集ページを改善後、 リスティング広告などのランディングページとして購入に誘導する。
特集流入の直帰率が高く、CVRが低い
- →ランディングページを一覧に移す
- →特集ページのコンテンツ改善
優先度の高い5つのデータ
それでは、
分析のためにさらにどういうデータが欲しいですか?
こちらの質問は、
- ウェブサイトのゴール
(KGI) そもそも、
どのような売上目標があるのかを把握していないと、 「今の数値で足りているのか? (足りているのであればコストカット施策を優先する)」 「足りない場合はどれくらい足りないのか? またその見通しは?」 「それをふまえて、 どれくらいの量の施策が必要なのか?」
などがまったく見えてきません。分析する前に確認しておきたい内容です。
こちらに関して
「回答」 として書いていただいた方は、 1名しかいらっしゃいませんでした。 - コストに関する情報
特に有料の流入施策に関しては、
コストも含めて判断しないといけません。いくら、 売上が高くても、 赤字になっていたとしたら、 コストを減らすか、 施策そのものを止めることも考えないといけません。ゴール設定が 「売上」 の場合はあまり気にしなくてもよいのですが、 「利益」 の場合は必須の項目となりました。 こちらに関しては5名くらいの方に回答としていただきました。サイト運営や集客施策を運用されている方から出た意見のように感じました。
- 流入元
(流入キーワード含む) およびランディングページの内訳 これは私の回答や施策のところでも書きましたが、
改善施策の精度を上げるためには、 これらの情報は必ず必要になります。 「自然検索からの流入の直帰率を改善する」 「その他無料流入からの流入を増やす」
など、
改善施策を行ううえで、 実際にどのように実施するかを考え、 説明する時に必要です。 こちらに関しては、
多くの方から 「必要な情報」 として回答いただきました。 - 新規とリピーターでの内訳
新規とリピーターでは行動が大きく変わってきます。そもそも新規の人はどこから流入しているのか、
どちらのほうが購入金額・ 購入率・ 売上単価が高いのか? など、 様々な情報を得ることができます。そして、 これらの情報は施策を考える上でも非常に有用です。新規の人の直帰率が高いのであれば、 サイトにはいってきた時のナビゲーションや説明が不十分かもしれません。施策のアイデアと制度のために確認するべき情報です。 こちらに関して、
回答として書いていただいた方はいませんでした。 - 曜日・
時間帯別のアクセス 「新規とリピーターでの内訳」 とほぼ同じ理由で必要な情報になります。 「より多くの人が来ているのはいつなのか?」 「購入率が高いのは何曜日の何時なのか?」
といった情報は、
メールマガジンの配信やサイトの更新をするタイミングを決める際にも有効です。お客さんがいつ来ているかを把握するのは、 分析をするうえでの基本になります。 こちらを回答として書いていただいた方は2名いらっしゃいました。
上記が私の回答になります。いかがでしょうか?
ユニークな回答
他にも必要な情報もたくさんあるでしょうし、
- 他の同様サイトの分析結果
- 商品別の売上
- 顧客ポートフォリオ
(過去の売上累計、 最後に購入した日付) - デバイス別と新規・
リピータ別の同じデータ - 特集ページの詳細
- 売上貢献度の高い上位ページ
- サイト内検索があるならば、
その検索履歴の一覧 - カート破棄までの離脱状況
- メールマガジンの購買単価が高い理由が分かるデータ (コンテンツ、
ランディング先 など) - 地域、
新規とリピーター、 デバイス、 可能ならユーザーの性別や年齢などの属性 - 広告内容
アクセス解析で大事なこと
アクセス解析では、
今回紹介した2つの表は、
今までどのような施策を行ったことがあるのか。その結果がどうだったのか。そのような情報があると、
施策を考えるうえで有効な方法の1つは、
あらためてご回答いただいた方ありがとうございます!