Flash制作のトップクリエイター集団である「ザ・ストリッパーズ株式会社」さんへのインタビュー、中編です。
業務内容
――これまでに手がけられた作品のなかでは「タカインジャー」がおもしろかったです。
遠崎:ありがとうございます。
――あれはどういう経緯で仕事をすることになったんですか?
遠崎:前職のデザイン制作会社のときからHONDAさんの仕事をしていて、今でも広告代理店の人から僕のところに依頼が来るんですよ。
――その時点ではまだ「車のサイトを作ってほしい」というレベルなんですか?
遠崎:そうですね。「サイトをおもしろくするアイデアを何か考えてー」みたいな。もちろん、広告代理店の人が企画を立ててくることもあるんですが、こちらでアイデアを考えるほうが多いですね。
――依頼が来たらすぐに作品を作ってしまうんですか? それともその前に企画案を作るんですか?
遠崎:企画案を作りますね。
――それはどういった形なんですか?
遠崎:絵コンテだったりとか、字コンテだったりとか、あとはもうデザインカンプを作っちゃうときもあります。それをクライアントにプレゼンしますね。
――クライアントへのプレゼンまでやるんですか?
遠崎:ええ。
――Flashのコンテンツを作っている会社のことについてあまり知らないんですけど、絵コンテを作るところは多いんですか?
遠崎:僕もほかの会社のことは知らないですけど(笑)、あまりないんじゃないですかね。昔はWebの会社って、広告のグラフィックをポンって渡されてレイアウトしなおして終わり的なものが多くて、企画まで求められなかったんですよ。でも、Web独自で企画しようってなると、クライアントに案を通さないといけないじゃないですか。僕の頭の中だけで考えていてもしかたがないので、ちゃんと見てわかるような資料をきっちり揃えないといけないですよね。
――先ほどのタカインジャーでは研究者のインタビュー映像がありましたけど、ああいうのも作るんですか?
遠崎:ええ、作ってます。シナリオをこっちで書いて、役者の人に読んでもらっています。
――もともとはWebの制作だけをしていたんですよね。
遠崎:そうなんですけど、ちゃんとした画作りをするには自分たちで撮影をしないといけなくて。
――撮影はどこかで学ばれたんですか?
遠崎:前職のときに、僕が脚本を書いて、映像制作会社の知り合いに監督や撮影を全部お願いしたことがあって、そのときにずっと現場ついてまわって技術を盗んだというか、いろいろ学ばせてもらいました。
企画立案
――企画やアイデアをうまく出す方法はあるんですか?
遠崎:ブレストを全員でします。やり方は決まっていて、みんなで輪になって座って、最初に僕がオリエンテーションをしてアイデアを1つ出します。あとは一人ずつ順番に、なんでもいいからアイデアを言ってもらう。
高岡:パスしたら罰ゲームがあります(笑)。
――何周もするんですか?
遠崎:そうですね。2、3周くらいはしますね。
――2、3周くらいで「これだ!」って案が出てきます?
遠崎:出てくることもあるし、出てこないこともありますね。
高岡:出てこないときは「続きは明日」。
遠崎:3時間はツラいんで、2時間くらいやって出てこなければ、次の日にまたやりますね。次の日には、そこそこ形になりそうなおもしろい案がいくつか出てくるんで、それを広告代理店の人に持っていきます。
――システム的に無理だっていうアイデアが出ることはないですか?
大塚:今のところないですね。
遠崎:僕もシステムがわからないわけでもないので、そんなにめちゃくちゃなことは言わないですよ(笑)。
――Flashで無理なことはないんですか?
遠崎:それは僕が「できる」といったらできるんです(笑)。
――そういえば、ほかのWebサイトを見ないって本当ですか?
遠崎:Webサイトは見ますけど、デザインを参考にすることはないですね。
――でも、Flashって流行りの表現方法があったりするんじゃないですか?
遠崎:今はもうFlashの表現の流行りを語る時代ではないんですよ。ちゃんと企画に沿って、商品の内容に合ったものじゃないと意味がないんです。「伝えたいメッセージに対した演出ができているか」でしか僕は判断しないですね。
(つづく)