児玉サヌールと田中ばびえの会社訪問

第4回未来検索ブラジル(前編) 「モリタポ」日本一の電子通貨にしたい!

はじめに

今回は2ちゃんねる検索オープンソースの全文検索エンジンSennaの開発で有名な未来検索ブラジルさんにお邪魔してきました。取材にあたっては、前回と同じく江渡浩一郎さん[1]からご紹介いただきました。この場を借りてお礼申し上げます。

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起業

――2ちゃんねる検索が元になって会社を設立されたとのことですが、事業部ではなくて、会社にしたのはどうしてですか?

取締役の竹中直純さん
未来検索ブラジルの創業者でもある
(写真:平野正樹)
取締役の竹中直純さん 未来検索ブラジルの創業者でもある(写真:平野正樹)

竹中:最初は私がいた別の会社ディジティ・ミニミで話が盛り上がったんですけど、その会社は主にSIやコンサルをしている会社なので、自社のサービスを始めることを受け止められる体勢じゃなかったんですよ。だから、新しい会社で始めるほうがいいんじゃないかと。なんか楽しそうじゃないですか。新しい会社の名前を考えたり、会社として成り立たせたりっていうのが。

深水:ひろゆき[2]とはいつ知り合ったの?

竹中:ある雑誌で対談連載をしていたときに、2番目か3番目の相手だったのかな。ひろゆきがネットに携帯電話の番号を公開してたので、全然知らないのに突然「すみません、対談してください」って電話をかけたのが始まり。

――それがいつごろなんですか?

竹中:2001年か2002年ですね。

――御社の設立の2年前くらいですか。

竹中:そうですね。いろいろゴタゴタがあったので(苦笑⁠⁠、設立に2年もかかったというか。で、検索みたいなエンドユーザ向けのサービスっていうのは、まぁGoogleもYahoo!もですが、結局は広告モデルでしかありませんよね。もちろん広告モデルがダメなわけじゃなくて、僕はどうせ自分たちでやるんだったら、広告モデル以外のことを試したいなーと。

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マイクロペイメントとモリタポ

――広告モデル以外というと?

竹中:通貨システムの「モリタポ」ですよ。

――あ、なるほど。

竹中:今、2ちゃんねる検索の本文検索は、1回日本円で1円、モリタポでいうと10モリタポ取ってますよね。それは情報に対する対価なわけです。形のないもの、しかもその場限りのものにパッっとお金を払うWeb上のシステムって、今の日本ではモリタポ以外にないと思うんです。

――他には思いつかないですね。

竹中:投げ銭なんかではなく、ちゃんと正価を決めて、それに対して小さいお金で決済するってことをやらなくちゃ、情報がどんどん安くなっていくと思ったんですよ。ブラジルが提供している2ちゃんねる検索には、僕らは確実に価値があると思っているので、そこに小さいお金でもいいから対価を発生させたいんです。まだマイクロペイメントでの大きな成功者というのはいませんから、今は一生懸命ナタで草刈りをしているような気分です。

――マイクロペイメントの分野の先駆者はいるんですか?

竹中:過去の屍はいっぱい(笑⁠⁠。たとえばDavid Chaumっていう人がオランダでやったデジキャッシュ社なんかがありますね。

――それは成功したんですか?

竹中:オランダの銀行とアメリカの銀行を結んで、為替みたいなことまで実現しようとしてたんですけど、結局消えましたね。彼は数学者でプログラマでもあるんですけど、お金を安全に匿名(アノニマス)で第三者に届けるっていう理論を作ったんですよ。僕は彼にインタビューしたことがあるんですが、数学的に完璧だったりシステム的に美しいものだったりしても、現実世界の都合で押し流されることがあるんだっていう言葉が強く印象に残っていますね。

――それは普通の通貨ではダメだったんですか?

代表取締役社長の深水英一郎さん
まぐまぐ開発者としても有名
代表取締役社長の深水英一郎さん まぐまぐ開発者としても有名

深水:簡単に送れれば全然いいですよ。

竹中:クレジットカードにしても、使うまでに名前入れたり、有効期限入れたり、番号入れたりとか手間がかかりますよね。

末永:むしろ現金に近づけようとしていますね。現金には名前が書いてあるわけじゃないけど、簡単に価値を他人に渡せますから。

――なるほど。それを実現するということですね。

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