プロフィール
所属 | (株)チェンジビジョン 代表取締役社長 (株)永和システムマネジメント 取締役副社長 |
趣味 | ジャズギター(聴く方) |
主な出没地 | 福井県大野市、あっ宝んど(温泉施設) |
好きな言葉 | 神は細部にやどる |
仕事を始めてすぐ、90年最初に"オブジェクト指向"に出会い、これがソフトウェアの品質と再利用性を上げる技術だと直感しました。しかし、技術だけではソフトウェアは作れない。技術やプロセスではなく、「人」の視点が最も大きいことに2000年に気づきました。私はそれ以来、
という静的なモデルではなく、
- ソフトウェア開発 = デザイン + コミュニケーション
という動的モデルで、人の重要性を主張し続けています。ソフトウェアは、人が人のために作っている。どんなに優れた工学と管理手法をもってしても、この一点を忘れた瞬間に、よいものづくりはできないのです。
2006年に立ち上げた会社(チェンジビジョン)では、「見える化」をテーマにした製品、JUDE(ジュード)とTRICHORD(トライコード)を開発しています。デザインの見える化がJUDE、プロジェクトの見える化がTRICHORDです。
表紙写真で床に敷いているのは、マインドマップとJUDEで書いたクラス図です。JUDEは、UMLから始まり、マインドマップやER図、データフロー図などを積極的に取り入れたエディタです。海外でも人気が出てきており、ユーザ数は日本(11万人)よりも海外(14万人)のほうが多くなりました。最近ではAPIもそろえて、プログラムでJUDEのデータを扱うこともできます。ExcelやPowerPointで描かれた絵は、意味を繋ぐことができません。JUDEを使えば、設計図を単なる「絵」ではなく「意味を持った図面」として扱え、図の相互関係を維持して効率よく、間違いも少なく設計ができます。上流工程での勘違いをなくすために、さらに下流工程へデータで繋げるために、気軽に使える意味図形エディタ。そんな風に進化できたらよいと思い、開発を続けています。
今号のインタビュー記事として、マインドマップの利用法を紹介しました(4~7ページ)。これは、ソフトウェア開発の中で、もっと「ぼんやりしたもの」を「ぼんやりしたまま」で扱う方法がないかと探していた技術への、私なりの回答です。仕様が明確に決まっていないところから、考えを広げたり、いくつかのポイントに絞った思考フレームワークとして使ったり、と使い方はさまざまです。UMLを補って、上流の幅広い場面で活用できると思います。
私は開発の品質や効率を上げるためには、人のものづくりに対するこだわり、モチベーション、コミュニケーションが「中心」だという考えから、今まで工学として取り上げられなかった部分に興味の中心があります。それを、「ソーシャル工学」といってもいいでしょう。ここが、日本のものづくりのもともとの強さではないでしょうか? 日本のソフトウェア開発の現場が、生産的に、協調的に、そして、楽しくなるように活動を続けていきます。
表紙モデルをやってみて
連続で笑顔を出すのが難しかった。モノクロだと昭和初期のような暗い感じになるので、明るくしたいと思い、くだける方向でポーズをとりました。
Making photo