エンジニアとして新卒入社した人たちが現場で使える技術を身につけられるように、
GoやSwiftなど新しい技術に積極的にチャレンジ
- ──サイバーエージェントでは、
どのような背景から新人研修に力を 入れているのでしょうか。 齊藤氏:サイバーエージェントには、
『21世紀を代表する会社を創る』 というビジョンがあるので、 その実現に向けてエンジニアの成長を一層促していく必要があります。そこで、 従来から内定者や新卒入社のエンジニアの方々を対象とする育成プログラムを充実させてきました。 この育成プログラムで特に力を入れていることの1つが、
「新しい技術への挑戦」 です。たとえば、 「ピグライフ」 の開発でいち早くNode. jsとMongoDBを採用したほか、 最近ではGoogleが開発した言語であるGoを利用したサービスの開発も進めるなど、 新しい技術に積極的にチャレンジする風土があります。 こうした姿勢は内定者研修でも変わりません。最近では、
Appleが開発した新しい言語であるSwiftを使ってゲームやユーティリティを開発するハッカソンを内定者向けの研修で実施しました (写真2)。制限時間内に企画から開発までを行うもので、 チームの中にデザイナーを含めたり、 社員によるコードレビューを実施したりと、 実際の開発に近い内容になっています。このような研修により、 新しい言語にもひるまずチャレンジしていく感覚を身につけていただけると思います。
幅広い技術を身につけるための制度も充実
- ──エンジニア向けの技術研修で、
特に意識していることは何でしょうか。 齊藤氏:研修では、
受講者を型にはめないことが最も大切なことだと考えています。具体的には、 優秀なエンジニアだと認めれば早期の配属を促し、 現場で活躍することに目を向けていただくということを意識しています。 ただ、
早いうちに現場に出ると、 技術的な知識に関して抜け漏れが生じる恐れがあります。また、 技術研修が終わったあとも、 それぞれの現場で必要な技術を身につけていかなければなりません。そこで 「チケット制研修」 を実施しています。そもそも、 サイバーエージェントでは開発から運用まで自社で行っているので、 フロントエンドやバックエンド、 インフラ、 ネイティブアプリの開発など、 業務によって異なる技術を身につけなければなりません。このように 「広い技術への挑戦」 を支援するための制度がチケット制研修です。UnityやCocos2d-xを使ったネイティブアプリの開発や最新のフロント技術、 インフラなど、 12種類もの中から自分に必要な技術に関する研修を選択して受講できます。また技術研修を終えてそれぞれの部門に配属される際には、 必ずトレーナーが付いてサポートする体制が整えられています。こうした取り組みを通じて、 実務経験を積みながら、 早いうちに一人前のエンジニアとして活躍できるように支援しています。
コンテストへの取り組みの中で深い技術を習得
- ──エンジニアとして成長していくことを考えた場合、
技術研修を受けるだけでなく、 レベルアップに向けて自らも能動的に学ぶ必要があると思います。そうした努力を支援するしくみはあるのでしょうか。 齊藤氏:そのような
「深い技術への挑戦」 のため、 新卒や中途入社のエンジニアの方々を対象として、 「TOTEC 2014」 というコンテストを実施しました (写真3)。これは、 インフラやフロントエンド、 サーバサイドのそれぞれの領域で、 エンジニアとしての腕を競い合うものです。 具体的には、
あるシステムについてチューニングを行い、 そのパフォーマンスを競い合います。さらに、 エンジニアの技術力を評価するために、 予選で出題される問題を言語非依存としたり、 リアルタイムで順位を集計するシステムを別に開発したりするなど、 さまざまな工夫を行っています。 エンジニアは縁の下の力持ちという立ち位置になることが多く、
よほど目立つ活躍をしなければ評価されづらい部分があります。そこでTOTEC 2014では、 エンジニア同士で技術レベルを競い合って常に高みを目指していく文化を醸成し、 エンジニアとしての質を高めていくことを目指しました。このような取り組みを今後も継続していきます。 - ──最後に、
来年度以降の研修について教えてください。 齊藤氏:今後の技術研修では、
エンジニアの基礎となる様々なプログラミング言語を扱い、 それぞれのプログラミング言語の特徴を理解しながら、 幅広い分野で活躍できるエンジニアを育成していきたいと考えています。 1つのプログラミング言語に固執するのではなく、
さまざまなプログラミング言語の長所や短所を理解し、 用途に応じて使い分けることができれば、 新しい言語や技術にも対応しやすくなります。技術の進化は速く、 今の時点で広く使われているものが将来廃れることも当然あります。そのため、 常に新しいプログラミング言語や技術に興味を持って取り組んでいただける、 柔軟性のある研修制度をこれからも目指していきます。