ソフトウェア開発における問題の大部分は技術的なことよりも社会学的ないしは心理学的な問題で占められています。すなわちソフトウェア開発における諸問題の解決にあたってはテクノロジ的なアプローチ以前に人間力の改善が必要です。
本連載は、
開発の流れに沿って、
はじめに― 見積もりとは?
「見積もり」
#1:見積もり回答は契約なのだ
「見積もり回答は契約だ」
単にこの仕事はどれくらいかかりそうだという見込みの回答程度の気持ちなのかもしれない。一旦見積回答書を発行し、
契約についての意識は欧米においては神にその履行を誓うものであり、
見積回答書の基本要件は、
契約交渉は、
双方が自分自身を見つめる絶好の機会である。
G.
#2:目には目を、歯には歯を
「目には目を、
「無理が通れば道理が引っ込む」
は許さない。
中坊公平、
言われてみれば
「そんなことはあたりまえさ」 といいたくなるが、 その 「あたりまえ」 に案外気づいておらず、 そのためにとんでもない誤解をうけたり、 廻り道をしたり、 無駄なエネルギーを費やしたり、 時には生涯を誤ったり破滅したりする。こういう例は、 一民族にとっても、 一個人にとってもけっして少なくないであろう。
山本七平、
#3:結果をあせるな、利をあせるな
土台を先に作らなければ家は建たない。基礎の杭打ちをいい加減にした結果、
- ナスよ早くなれ
- 植えたナスの苗に向かって、
早くなれなれといくら叫んでもなるわけはない。雑草を取り除き、 肥料を与え、 こまめに水をやり、 病虫害を除いた後でやっと実りが収穫できる。この道理に従って努力を続ければ仕事も商売もうまくいく。
二宮尊徳、
#4:今日やるべきこと、明日やればよいこと
今日やるべきことは今日中に済ませること。
- 明日やればいいことを今日やるな
- 明日にはやる必要がなくなっているかもしれないことを今日やるな。
G.
#5:当たり前は難しい
当たり前なことは簡単なことと同じではない。簡単なことが複数集まれば難しいことになる。そのことを理解していなければ簡単なことで簡単に失敗をすることになる。
- 当たり前のこと
- 群を抜く方法は、
当たり前の仕事を、 当たり前ではない情熱で行うことである。
レターマン、 米国の作家
#6:とりあえず高いという人種
モノを購入する消費者の賢い交渉方法は、
賢い開発マネージャは見積もり担当者に対して最初から決して高いとは言わない。これ安すぎないのか? 何か抜けや見落としがないの? 金額の高低よりも内容の妥当性を検証する。高い安いは、
- 見積り金額が安い理由
- 前回の見積もり金額に比べて今回再提示された金額はだいぶ下がったようだけど。下がった根拠を説明していただきたい。ただ安ければ良いというわけにはいかないでしょう。
某顧客責任者
#7:許容範囲~どこまでも許されるわけもない
量、
プロジェクトに許される許容範囲の中で、
- 時間を無駄にする方法
- 妥当であれば、
大幅な時間の節約になる。完璧主義のせいでパニックに襲われたことが何度かある。完璧な質を求めるのではなく、 許容できる質を考えるようにするのが主な治療法である。
G.
おわりに~見積回答書の重要性
受注者の最大の目的は、
さらに見積回答書は開発チームの仕事の原点であり、
- わかっている内容のみ見積もる
- わかっていない内容は見積もりに含んでいないことを明記する