はじめに
要求仕様をまとめるのは顧客の仕事だとか、
能力がない相手に対して、
#15:仕様調査法のいろは
合格点をつけられる要求仕様書はほとんどありません。それらの内容は多くの不明点や疑問点を必ず含んでいるという前提に立って以下のことを実行する必要があります。
- まずは仕様の全体像の把握から始める
- 疑問点・
不明点を発掘し、 その解消に向け要求元に対して積極的にアプローチする - 仕様検討の段階で要求者と徹底的に仕様を検討する
- 仕様決定のQ&Aは直接対話で確認する
- 不明なことは直ちにわかっている人に聞く
- 要求仕様の背景や意味を必ず明確にしておく
- 習得した内容を、
ドキュメントによって他のメンバーに伝える - 早期に仕様を凍結する
- 基幹の仕様が未決定なら開発に着手しない
それでも決まらない要求仕様。
- 着眼大局、
着手小局 - 全局のことでも、
また局部、 局部のことでも、 その一手の差を慎重に、 そして最善をつくす人が、 “勝ち” にゆくわけで、 一手ぐらいなどといって、 気楽にしとるやつが、 結局は敗北につながる。せんじつめていえば、 そのもっている欠点を長所にする、 これがプロの芸ということになるわけです。イチかバチかのやけっぱちみたいなことをやるのを勝負師という人があるが、 これは間違いです。そういうのは勝負師とはいわない、 賭博師という。
升田幸三、
#16:ぶれない軸~コンセプトの効用
コンセプトはものごとの全体像を一言で表したもので、
ものごとの大小を問わず、
叡智への最初の一歩は、
すべてのものに疑問をもつことだ。そして最後の一歩は、 すべてのものと折り合いをつけることだ。
ゲオルク・
#17:傑出することよりも高度の平凡さを
何かをやろうと思えば、
仕事には知恵も才能も大事。しかし、
より大事なのは平凡、 些細なことを疎かにしない心がけです。
松下幸之助、
#18:大事なことを聞き逃している~空気読みの空気知らず
論語読みの論語知らずということと同じように、
- 5分間の法則
- 依頼主はつねに自分の問題の解き方を知っていて、
その解答を最初の5分間に口にする。
G.
#19:アジャイル開発
Agile
- アジャイル開発の4つの価値
- 価値1:プロセスやツールの価値を認めつつも、
個人とその相互作用を重んじること - 価値2:包括的なドキュメントの価値を認めつつも、
動作するソフトウェアを重んじること - 価値3:契約交渉の価値を認めつつも、
顧客との強調を重んじること - 価値4:計画に従うことの価値を認めつつも、
変化への対応を重んじること
アジャイルソフトウェア開発宣言
#20:どこまでも譲れるわけもない(時間編)
物事の実行には一定の時間が必要だ。必要な時間は実行する者や組織の能力に依存するが、
要求を受ける立場にあるものは、
- 責任について考える
- 自由と義務を均衡させる手段の第一歩として人間の責任に関し、
もう一度自分の頭で何をすべきか個々人で考えなければならない。日本人全体を覆う無責任主義下における思考停止傾向から脱却し 「考える日本人」 にならなければならない。
朝日新聞 1998/
#21:日本語文章のあいまいさを避ける
論理性や正確性が要求される業務文書においては、
- 主語がない文章には主語を書き加える
- 可能な限り短い文にする
- 並列的な表現は箇条書きにする
- 時間軸にて整理したチャートで現在・
過去・ 未来の時制を明確にする - 読み聞かせで聞き手がきちんと理解できるか
- 単位・
期限・ 期間・ 対象範囲などの基準を明確にする - %表記は何を100%としたのかを明記する
- 程度表現を避け数値で表す
(例:すごく、 適当、 ちょうど、 およそ) - 強調表現を避け数値で表す
(例:ちゃんと、 しっかり) - 推測表現を避け数値で表す
(例:~くらい、 およそ~) - その他の曖昧表現を避ける
(~の予定、 できるだけ~)
- 日本語と英語の違い
日本語 英語 あいまいで明言を避ける 直接的、 断定的な表現 省略語 (主語などの省略) が多い 省略語が少ない 文が長くなりがち 比較的簡潔 無生物は主語になりにくい 無生物でも主語になる 結論 (話題の中心) が最後 結論 (話題の中心) が最初
出典:日英翻訳のコツ
おわりに
要求仕様を決定できない理由は、
- 仕様知識の低下
- 外注依存の傾向
- プロジェクト・
マネジメント力の低下 - 開発能力の低下
対して、
- 仕様ノウハウを学習・
蓄積する - 一定の割合で設計・
製造を実行し、 開発技術力を保持しておく - 外注まで含めた統合的プロジェクトマネジメントを実行する
さらに、
- 仕様ノウハウを学習・
蓄積する - 設計能力を進化させる
- 製造能力を進化させる
- 評価能力を進化させる
- プロジェクトマネジメントを実行する
要求仕様の精度はプロジェクト成功の必須要件のひとつであり、